良い価格で仕事を取るための条件とは?すべての会社はメーカーを目指せ!
システム開発業M社長が当社に相談に来られました。
以前、相談に来られてから5年が経っています。
私は、頂いた資料を見て言いました。
「順調のようですね。」
この5年間で売上も社員数も倍になっています。
M社長は、ゆっくり首を横に振りながら言いました。
「先生、そうではないのです。うちには、何も無いのです。」
良い価格を付けられること。
これは、年商10億円に限らず、どんな規模のビジネスにおいても、伸びるために必要な条件です。良い価格が付けられるからこそ、十分な資金を商品開発に投じることが出来ます。また、優秀な人材を採用したり、外注業者を選んだりすることが出来ます。
良い価格を付けるための条件の一つが次のものになります。
「価値を売ること」
良い値決めをするためには価値を売る、それは当たり前のことのように聞こえます。
唯の「オフィス内装」でなく、「社員がやる気を出す内装」を提供する。
唯の「食品」でなく、「外国人に売れる食品」を提供する。
唯の「ホームページ」でなく、「見込客を集めるホームページ」を提供する。
しかし、これが出来ていない会社は少なくないのです。
価値の反対である、唯の「物」や「手間」を売ってしまっているのです。
前者は物や手間であり、その価格はその積み上げになっています。
それに対し、後者は価値であり、それに見合うだけの価格になります。
唯のホームページは100万円、見込客を集めるホームページは400万円になります。
そして、それを販売していきます。
その価値が解る人、その価値を得るためにはお金を払う人を集めます。そして、カタログや提案書で価値で再教育します。
その結果、その価値ある商品は、その適正な価格で、価値が解る人に買われ、役立ててもらえることになります。WinWinの関係となるのです。
自社が提供している本当の価値を理解していない会社、そして、自らの手で物や手間に向かってしまっている会社は少なくありません。また、価値の解らない人に頑張って売ろうとします。
その結果、「高い」という理由で断られることになります。その言葉を真に受け、値引きに走るといよいよ悪い循環に入ることになります。
自社で価値あるものを企画する。
そして、その価値を解る人に販売する。
これこそが、儲かる会社の絶対的な法則です。
企画と販売です。
企画と販売ができる会社が強いのです。
これをメーカーといいます。
メーカーとは、企画と販売を生業とする会社のことを言います。
「社員がやる気を起こすオフィス内装」も「外国人観光客に売れる食品」も「見込客を集めるホームページ」も、これらを扱う会社はメーカーです。
そして、「飲食チェーン会社」、「〇〇専門システム会社」「〇〇系設計事務所」、「〇〇専門工事会社」、これらは自社の企画を、自社で販売しています。これらもメーカーです。
だから、儲かるのです。
逆に企画と販売をしなければ、当然弱いビジネスになります。
その会社は上記のメーカーにいいように使われることになります。物と手間の料金で使われることになるのです。そこに価格交渉権はありません。絶対儲からないのです。
我々は何かしらのメーカーになる必要があります。
冒頭のシステム開発業M社は、まさにこの状態にありました。
この時も、ある大手数社のシステム会社と取引がありました。
それらの会社から依頼されたシステムの開発の一部(時に全部)を行います。
それらのお客様達は、M社長の熱意と責任感に信頼を寄せてくれています。また、M社の技術力や対応力を高く評価しています。その称賛の言葉も多く頂いています。
そして、実際に仕事を増やしてくれます。その結果、5年前に年商2億円、社員20名だった会社は、今、年商4億円、社員数40名の会社になっていたのです。
M社長が、手元に視線を移し言いました。「しかし、儲かっていないのです。」
私は、黙ったままM社長の言葉を待ちます。
儲かっていない、それは仕方がないことなのです。企画と販売という大変なことを受け持っているのはお客様企業なのです。M社は、その後工程である製作を担っています。
これでは「お客様が良い価格で売り、M社には安い価格で出す」という関係で仕方が無いのです。
元請けと下請け、この言葉通りの関係なのです。
そして、M社長は、次の言葉を押し出しました。
「先生、うちには何も残っていないのです。」
私は、その言葉の意味をすぐに理解しました。
5年前に私は、その言葉をM社長に伝えていたのです。
「名前の残らない仕事はやってはいけません。」
物や手間を売っている以上、そこに自社の名前やそのサービス名が残ることはありません。
一つの仕事をしっかりやっても、自社の評判を高めることにはならないのです。何件やっても、業界でのその認知度やシェア率は上がっていかないのです。
その労力は、他人の社名やサービス名を残すためのものになります。
そして、それだけではありません。
そのノウハウも自社に残っていかないのです。
絶えず異なる案件をこなしています。1回納めるとまた別の案件です。
その一回のために、それを仕組化することはありません。また、その社員は、次の技術を一生懸命に身に付けます。社内に積み上がらないのです。
M社長は、それらのお客様企業よりも「自社のほうが技術力も社員の質も高い」と感じていました。そして、どこかで「お客様企業を支えているのは自社だ」と思っていました。お客様には「自社は不可欠な存在である」と思っていたのです。
しかし、実際には、お客様企業の社員のほうが、高い給与をもらっています。
そして、この夏に、その中の1社からの取引が無くなりました。その会社はM社の売上の3割を占めていました。調べてみると「競合のA社を使う」ということが解りました。
そのA社とは、M社を独立した社員が起こした会社で、より安い価格を提示し仕事を取っていることがわかりました。
この積み上がっていない状態をM社長は、「何もない」と表現をしたのでした。
売上も社員数も倍にはなった。しかし、自社の評判が積み上がっていることもなく、自社のサービス名が広まっているわけでもない。また、一つの分野でノウハウや仕組みが積み上がっているわけでもない。
これからM社長の改革が始まります。
まとめです。
何かしらのメーカーになる必要があります。企画と販売に本気で向き合うのです。
そして、そこに評判もノウハウも積み上げていくのです。それを何年も、何十年も積み上げるのです。
時間の経過と共に強くなる会社を作るのです。
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