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打ち出した社内政策がうまくいく社長と、失敗し続ける社長の違いとは?

SPECIAL

チェーン企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

 「この仕事って、やったもん負けですよね?」

あるチェーン企業にて、「それだけは口にしてはいけないのでは?」という言葉が、上司に向かってためらいも無く放たれました。

 

質問した社員を、一言で表現するとアウトロー。

彼はそのせいか、これまで他の社員達よりも多くの異動をつきつけられてきていますが、自分のやり方を変えようとしません。

会社にどう扱われようと、疑問に思った事は口に出す。己が信念を貫き続けている人でした。

 

一方、上司はというと「まさかそれを言われるとは・・・」と面食らい。

現場経験も重ねてきた人だった為、やったもん負けというニュアンスはすぐに察知。

しかし共感してはまずい立場もあってか、誤魔化すのに必死でした。

 

さて、実際にその会社の指示がどうだったのか?と問われますと、とても業績に結び付くような一手とは言えません。

 

勘の良い社員であれば

 「あ、これは気合入れなくてもいいヤツだな」

と即座に軽視確定です。

 

もし実直に従って努力し、満足な結果を出せなくて、もがいていた社員が居たとしたら

 「そんなこといいから、さっさと次の仕事に集中しなさい」

などと、上司も承知の上だったことでしょう。

 

そして同僚達からは

 「お前、あんな指示を真に受けてんじゃないよ」

 「誰もやってないんだから」

と言われ、真に受けた本人はそこではじめて

  「マジっすか?」

  「頑張って損した」

となってしまう、そんな未来が見え見えの一手でした。

 

 

さて、このように会社が、従業員を動かせない政策を繰り返してしまっているとどうなっていくのか?

 

その未来は会社全体のマネジメント力の低下、つまり社長の指導力低下という最悪な結果につながっていきます。

 

ビジネスは、いつ大きく稼げるチャンスが訪れるかわかりません。

 「何でこんなに売れまくるの?」

 「一体、どうなってるんだ?」

 「好調過ぎて、逆に怖い」

そんなタイミングはいきなりやってきます。

そんな時にこそ社長は

 「全員、売る事に集中しなさい」

 「いつでもできる仕事は後回しでいい。私が許可する」

などと全軍突撃のラッパを盛大に吹きたいものです。

滅多に訪れないチャンスを数字に変えられる企業には、強い指導力を持った社長が必要なのです。

 

 

多店舗型ビジネスを経営する社長の中には、会社で働く従業員、全員から常に本気を引き出し続けたい、そのためには何か工夫が必要なのではないか?と、日々努力されている方もいらっしゃることでしょう。

 

しかし、そうは思っても実際に行動できるか?となると難しいものです。

何しろ社長の日々の業務がありますし、更に時間を割いてまで作りあげた工夫がうまく機能するかどうかもわからないからです。

 

もしかしたら「何日も苦労したのに全く効果が出なかった・・・」

下手すると「逆に社内環境が悪くなってしまった・・・」ということもありえるからです。 

その為か「今はいいや」とか、「気が向いたらやろう」など、保留中にしておきたい社長の方が多いものです。

 

ところが稀に、即行動に移せる社長がいらっしゃいます。

まるで自分だけの希少な時間が、いくらビジネスに費やされようが構わないと言わんばかりに。

 

そんな行動派の社長にこそ結果が伴って欲しいものですが、工夫はそう簡単にできるものではありません。

困ったことに何度工夫を重ね、新しくルールをつくっても、社員、スタッフが誰も使わなくなった、苦労して用意した仕組みがゴミになった・・・などのケースはザラです。

そして問題なのは、なかなか全員のヤル気を引き出せず、工夫してはやり直しというループにはまってしまう社長がいらっしゃることです。

 

では、社長の工夫がうまくいかない原因は何なのか?

 

それは会社によって違いますが、今回のコラムにて失敗の理由として1つ挙げるとしますと「社長が、ルールや仕組み先行で人を動かそうとしているから」 です。

 

結論から言いますと、会社のような組織において、リーダーが全員から本気を引き出し続けたいとした際、陣頭指揮を執るべきはリーダー本人であるべきです。

 

これは当たり前すぎて「伊東さん、何言ってるの?」「そんなことわかってますよ」とつっこまれるところでしょう。

しかし、人はそれをわかっていても、いざ全員を動かそうとするリーダーという立場に立つと、逆のことをしてしまうのです。

そしてこう言ってしまうのです。

 「新しくこんなルールを創りました。皆さん、これに従ってください。」

 

 

なぜリーダー本人が陣頭指揮を執ろうとしなくなるのか?

その理由はこれです。
 「みんなから反対されたらどうしよう・・・」

 

 「誰もついて来てくれなくなってしまうんじゃないか?」

 「もしそうなってしまったら、会社を自分一人で回さなければならなくなる」

 「それだけは避けたい」

 「なんとか失敗せずに、皆から本気を引き出す方法は無いものか?」

 

そんな社長には、ある誘惑が近寄ってきます。

それは「工夫や仕組みに組織の先頭を走らせたらどうか?」です。

 

社長がこの誘惑に負けてしまいますと、良い結果は得られません。

自分の代わりにルールや仕組みを先頭に走らせようとしたくなるお気持ちはよくわかります。 

しかし、ルールや仕組みは組織の先頭に立つことができないのです。

組織の先頭というVIP席には、「皆を導いてやる」という強い意志を持った、生身の人間しか立てないようにできているのです。

 

そして恐いのは「自分ではなくルールや仕組みを先頭に立たせようとする、社長のためらい」は従業員達にも伝わってしまうものなのです。

 

やがて

 「この仕事・・・やったもん負けじゃね?」

 「スルー確定だな」

 「頑張っても、自分だけ損するに決まってる」

など、捉えられてしまいます。

 

ビジネスの経験が長い方であれば、「気が付いたら自分だけが会社の指示に従っていて、独り相撲を取っていた。しかも何も得られなかった」という空振りを経験されたことがあるのではないでしょうか?

他の人より命令に忠実に従って努力を重ねたのに、結果が得られなかった・・・。
これほど残念な事はありません。

 

人がついていきたいと感じる対象は必ず「人」なのです。

ルールや仕組み、コンテンツなどの無生物ではありません。

大事なのは「組織の陣頭指揮を執れる場所に、社長以外を置いてはならない」ということ。

ルールや仕組みは、あくまで社長の補助なのです。

 

たとえ、社長が

 ・新たなルールや仕組みを、寝ずに苦労して作ったとしても、

 ・従業員が、ボタン1つで扱えるほどの使い勝手の良さを実現したとしても

 ・誰もが知っている有力者、大手企業が使っている仕組みを取り入れたとしても

社長ご自身が、組織の先頭に立っていなければ高確率で失敗します。

 

なぜなら従業員の本音、

それは「社長についていきたい!」だからです。

 

もし、社長の繰り出した新たな一手に一人の従業員からも賛同が得られなかったとしても、

 「だからなんだ」

 「それでも前進あるのみ」

 「失敗したら、やり直せばいいだけ」

そんな不退転の気持ちを持った社長だけが、やがて人を惹きつけるオーラを纏うことができ、全員から本気を引き出し続ける事が可能となり、他社よりも業績を上げていけるのです。

 

 

もし、御社の作ったルールや仕組みがうまく機能しない。

そしてまた新しく作っては無かったことにしてまた新しく作る、というループを繰り返しているとしたら・・・

その原因はもしかしたら、組織の先頭に「社長ご自身が居ないから」かもしれません。

 

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