時代が変わるときに
遥か未来の人類史において21世紀前半を振り返ったとき、人類社会を危機に晒した象徴的な事象として特筆されるのは、安全保障と気候変動であろうと思われます。そしておそらくいずれの事象においても、ビフォーアフターを比べると人類にとって危機的な場面を経験したことで大きく変化した、ということも共通するものと思われます。
安全保障で言えば、国連の機能不全を解決するための改革議論が、おそらくは同時多発的に起こってくるものと思われます。また核を使わず・使わせずに如何に戦うかと言った戦略論や、ドローン兵器・ロボット兵器が一気に発達するなどの変化がすでに起きています。加えて、イスラエル・パレスチナ問題とウクライナ戦争の関連性が国際情勢にもたらす影響の分析なども、多極的な視点に基づいた議論の重要性を気づかせてくれたという意味で重要な変化だと言えるのではないでしょうか。
現状あくまで仮説にすぎませんが、ハマスにイスラエルを攻めさせたのはイランそしてロシアに連なる勢力であろうと推察できます。ウクライナ戦争に関わる国際社会での政治的劣勢を、パレスチナを犠牲にすることで国連安保理を政治的に無力化した責任を西側にも負わせることに成功し、一勝一敗の五分へと挽回することに成功しつつあるわけです。人質問題の解決には、もしかするとウクライナ戦争と同じくらいの時間がかかるという事態もあり得なくはない状況です。
21世紀中盤の人類社会は、かくも複雑な安全保障問題を抱えたうえで、その行く末を設計する宿命を背負うことになりました。
このように社会が大きな変化を経験する中にあって、経営もまた新しい視点に基づいた議論を積極的に取り入れて行く必要性が出て来ます。一見距離があるテーマ、たとえば気候変動と安全保障の問題でも、その裏に隠れている経済・エネルギー・食料などの問題に焦点を当てれば、実は深くつながっていることが見えてきます。いずれも資源の有限性がボトルネックになっている、ということが見て取れるわけです。
そういう視点に立てば、資源の有限性に配慮した経営という方針を立てることは時代の要求に合ったものであり、先進的な経営判断として評価されうるものであることが見えてきます。自社の取り組みがサステナビリティ=人類社会の存続、という絵姿にしっかりと貢献するものであることを、世に問う責任を負うのは経営者です。経営者として時代の変化を正しく捉え、それに基づいた的確な判断をすること。そして遅滞ない情報発信を心掛けること。会社が社会に認められ、大きくなってゆくための、実はそれが「基本のキ」なのです。
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