多店舗型ビジネスは、社長にウソをついてもバレないようにできている
「店長ですか? 1年以上会ってませんが・・・」
不徹底が目立つ店舗で、一体どんな指導を受けているのか?
疑問に思った社長がスタッフに質問してみた際の返答でした。
その後、会社が穏やかではなかったのはご想像の通りです。
社長はおっしゃいました。
「指導どころか、会ってさえいなかったというからびっくり」
「しかもそれが1年以上ですよ?」
広くはない店舗なのに一体どうやったら同じ屋根の下、1年以上もスタッフと会わずに仕事ができるのか?
不満が止まらない社長でしたが、怒り心頭かと思いきや全て笑顔で笑いながらおっしゃいました。
なぜなら、それはもう数年前の話だからです。
すでに社長は当時の反省を踏まえ、新たな対策を講じ、当時の倍以上の利益を出し続けられています。
このエピソードをご覧になった方は、こう思うのではないでしょうか?
「その会社はよほど管理がずさんだったんでしょうね」
しかし多店舗型ビジネスの経営者ならば、逆にこう感じている方もいらっしゃることでしょう。
「他人事ではない。ありえることだ」と。
私のこれまでの経験上、多店舗型ビジネスにおいて、社長が店舗のマネジメントの問題を発見、改善できたケースはめずらしい方で、更にそれを自力で業績にまでオンできたというケースがどのくらいあったのか?と問われますと、それは0社となってしまいます。
なぜ、店舗のマネジメントがおろそかになってしまうのか?
それは、多店舗型ビジネスはもともと「社長にウソをついてもバレないようにできている」からです。
ここで1つ質問です。
Q:御社の売上額の報告を、今日から「口頭だけの報告でOK」に変える事ができますか?
この質問で「できます」と応える社長など存在しないでしょう。
それどころか「できるわけがない」「バカげてる」と呆れられるかもしれません。
それもそのはず、口頭で報告OKにするということは「誤魔化される可能性がある」からです。
極端な話、ある店舗の昨日の1日の売上が50万円だったとしても、売上の報告額は「5万円でした」と言われることもあり得るということです。
こんな会社がその後どうなっていくのか・・・?
やがてこうなることは明らかです。
「あれ? 実際の売上額が帳簿の数値より少ないぞ・・・」
「大変だ! いつからだ?」
「一体、何店舗が合わないんだ?」
経営者にとって、想像もしたくない未来が待っている事でしょう。
つまり、マネジメントには重要な部分とそれほどではない部分の2種類が存在していて、
重要な部分には必ず「確実性」が含まれていなければならないということなのです。
さて、ここで問題なのは多店舗型ビジネスのマネジメントにおいて、どの部分が重要なのか?です。
「各部署長や各店長が、社長のイメージ通りにマネジメントをしたのかどうか?」
これは重要な部分でしょうか?
それとも、それほど重要ではない部分なのでしょうか?
問題なのは、多店舗型ビジネスを展開している多くの企業において、「各部署長や各店長が、社長のイメージ通りにマネジメントをしたのかどうか?」を重要だと位置付けているはずなのに、確実性が無いままになっていることなのです。
そしてそれを問題視できていないままだと、社長は日々
「きっと各部署長や各店長は、私(社長)のイメージ通りにうまく指導してくれているはずだ」
と、できることはせいぜい「信じてあげる」ことくらいです。
もし社長が
「会社の方針を、従業員達に何度も、強く繰り返し伝えているのに、なぜか全員に浸透していかない」
「打ち出した方針を、都合よく解釈され、臨まぬ方向に捉えられることもあり、思うような結果が出てこない」
このような事を感じたことがあるとしたら、それは「確実性」が無いままだから・・・かもしれません。
社長が多店舗型ビジネスの業績を伸ばしていきたいしているのであれば、
「各部署長や各店長が、社長のイメージ通りにマネジメントをしたのかどうか?」
それが誤魔化せないように、手をうっておかなければならないのです。
逆に、その問題にいち早く気が付き、手をうてている企業は、冒頭でご紹介した社長のように、細部まで社長の熱い想いが伝わり、各部署、各店舗で業績を上げていけるようになります。
たとえ社長が
・突然、地方の果ての店舗に赴き
・とてもお客様がいらっしゃらないような暇で暇で仕方が無い時間帯に、店内に足を踏み入れたとしても
・その時間に勤務しているのが、仕事に慣れてきて、遊びたい盛りの20代のスタッフであったとしても
「うむ、思った通りの動きをしている」
もしくは
「そうそうそう、それなのよ! そういう動きが欲しかったんだ」
となるのです。
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