投資を決断するときに
経営者としてプレッシャーに晒される局面は数あれど、大規模投資案件に関わる意思決定はその中でもけた違いに大きなものだと思います。設備更新、技術開発、M&Aその他、支払金額の大きさは時に自身の純資産を金額的に凌ぐことも珍しくありません。
投資によって得られる便益を金額に換算して評価する、いわゆるフィージビリティスタディはコンサルタントお得意の未来予測の一つですが、外部環境に大きな変化がないものと仮定するなどの前提があるため、あくまで参考値の域を出ないものです。
経済全体が上向きな時代であれば、さほどのプレッシャーを受けることなく意思決定できる事例もあると思います。しかし今の日本は残念ながらそうではなく、加えて情報開示に関する投資家からの要求は年々厳しくなってゆく流れにあり、昔に比べると経営者の立場はずいぶんと厳しいものになっていると言えます。
「勝ちに不思議の勝ちあれど、負けに不思議の負けなし。」
投資するとき、誰もがその結果について思い悩むわけですが、一つ言えることはまさにこの諺どおり、負ける時に不思議はありえない、ということだと思います。だとすれば、負けの要因を論理的に洗い出して潰しておくことで、投資の失敗を予防することはある程度可能になると言えます。
一つの例として;売れない(失敗)→見込み客はいるか→いる→情報は見込み客に届いているか→いない→情報を届ける(失敗の予防)、というように、一つずつ理詰めで失敗の原因を潰しておくことです。全方位的に目配りができるのは、経営者を置いて他にいないはずですから、「これで良し!」と思えるまで何度も見直して、失敗の原因を潰しておくことです。そうすることで失敗の確率を確実に低減させることができます。
投資をするとき、上手く行けばどうなるかを可視化するのがフィージビリティスタディだとするならば、負けないために何をすれば良いかを考えることが経営者のタスクである、というような整理がつくと、意思決定に臨む覚悟も固めやすくなるのではないでしょうか。秋は勝負の時、投資の意思決定に臨む経営者を、当社は全力で応援いたします。
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