時代の変化に合わせて事業転換
「競合店が増えて、存続が難しい」
I氏は、10年前に接骨院を開業。柔整師の育成にも努めて治療院を3店舗に拡大してきたものの、各地域で競合店が続々出店し、全社的にはここ数年伸び悩みを続けていました。
接骨院という業界自体、今後拡大する要因が見当たらない中、I氏には地域に根差したコミュニティを作りたいという夢、ビジョンがありました。
STEP1.会員制度のコンセプト立案
ビジョンのある経営者は、会員制・ロイヤル顧客づくりが容易です。
I氏の場合、これまで近所の老夫婦から、部活で故障した学生など、幅広い年代層の顧客が来店していたため、どうしても既存の顧客全員をカバーしたいという欲求が強かったのですが、コンセプト立案の際に、「市場の変化を大きくとらえましょう」という会話から、少子高齢化社会におけるデイケアサービスに着目していたことが分かりました。
デイケアサービスという視点に立てば、ビジョンは実現できる。
ターゲット分析では、地域の老夫婦にフォーカスする。
ニーズ分析として、「いつまでも自分の足で歩いていたい。」というニーズに応える。
そのために、自社分析では、治療院としての実績を活かして、デイケアサービスとリハビリを融合させて、新たな市場を創造する。
ゴール設定として、老夫婦とコミュニティを展開する。
コンセプトとしてはI氏とともに簡単に組めましたが、学生をターゲットから外すことに躊躇してしまい、「意思決定するために時間をくれ」という会話でその日の面談を終えました。
しかし、後日、お電話で「新たな市場を創造することに決めたから、協力して欲しい」という意思決定を伺ってからの動きは早いものでした。
デイケアサービスの認可取得期間中に計画立案
デイケアサービスの認可取得には半年を要しましたが、その半年のおかげで、
STEP2.購入サイクルの設計→STEP3.ロイヤルティシナリオの設計→STEP4.顧客接点の再構築
を詳細に立案することができました。
STEP2.購入サイクルの設計
購入サイクルはデイケアサービスというサービス展開のおかげで、安定した来院が見込めるようになります。しかも、デイケアサービスにリハビリとフィットネスを追加したので、近隣のデイケアサービスにも接骨院にも会員顧客を奪われにくくなり、独自の競争優位性を築くことができました。
STEP3.ロイヤルティシナリオの設計
I氏が望んでいた地域のコミュニティの場として発展させるために、餅つき大会などのイベントを定期的に実施すると、年間計画で決定しました。
元気よく身体を動かして餅つき、掛け声が一体感を増してくれる
お餅を一緒に食べるひと時が、コミュニティを拡大してくれる
ターゲットから外していた学生も、リハビリ後に来店して餅つき大会に参加し、I氏が望んでいた老若男女を問わないコミュニティが実現したのでした。
STEP4.顧客接点の再構築
接骨院では、来店を待つ状態でしたが、デイケアサービスに事業転換したおかげで、お客様をこちらからお迎えに行くことが当たり前になりました。競合店を選択する機会を与えないという意味で、事業転換は大きな成果を挙げています。
継続利用率90%を誇るサービスに
リハビリ&フィットネス型デイケアサービスとして再出発してから1年あまり。
当初は初年度の目標を、既存店+新規3店舗の開業としていましたが、顧客定着率が非常に高く、しかも誘い合って来店するお客様も増えたため、店舗数が足りなくなり、2年度の計画を前倒しにして、事業を急速に拡大させています。
I氏からのコメント
「以前は成熟産業で厳しい競争に巻き込まれていましたが、ロイヤル顧客を増やすために必要な事業とは?を考えさせられた末、顧客の生活に役立つ方法は他にもあるということに気づき、事業転換してから、急速に拡大を続けています。継続利用率90%を誇るサービスとなり、現在は出店計画を前倒しできるようになりました。」
ロイヤル顧客づくりには、既存事業の再構築も必須要件です。
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