売上高30億を100億にする
長年頑張って商売の仕組みを作り、組織を作って人を育て、客先からの評価も確立して、売上高は30億円に迫る事業規模まで到達した。次の目標としての売上高100億は、経営者なら誰しもが取り組みたい数字だろうと思います。仲間と始めた1億の事業に客先がついて3億になり、組織を作って10億を超えたところから人財育成を頑張ってどうにか30億まで辿り着いた。ここから100億への道筋はどう描けば良いのでしょうか?
それ自体は大変な金額ですが、組織を含むビジネスの仕組みを作って大口の客先を複数確保できれば、売上高30億は必ずしも困難な数字ではありません。多くの事業においては広域展開が必須になる段階ではありますが、しっかりした管理システムに投資することで~つまり、自社努力によって~到達できる水準だと言えます。
しかし売上高100億は、同じ努力を拡大すれば到達できるというものではありません。質的に全く異なる要素、すなわち「多角化」「技術開発」「海外展開」など、新しい市場や新しい商材への取り組みが必須となる数字だとご認識ください。
売上高30億に達するまでに、多くの企業は広域展開して全国の主要都市に営業拠点を築いていることと思います。ということは「すでに先々の市場がある程度開拓されてしまっている」ことを意味しますので、自社にとって未開拓市場は枯渇した状態にある、と認識すべきなのです。理由の如何を問わず、売上が見込めない事業は育ちません。いわんや売上高100億を達成するためには、全く視点が異なる取り組みが必要だということです。
一つ目の切り口として「技術開発による多角化」を考えてみたいのですが、その理由は「全く新たな市場に取り組める」という点にあります。
「取り組みたいけど、ウチには技術部みたいな受け皿がないんだよ。」そうおっしゃる経営者の皆さんにお伝えしているのは、「なければ作ってしまえば良いんです。」という、極めてシンプルな解決策です。幸いにも、世の中には転職市場がどんどん整備されていて、今では外国人材や中高年までがヘッドハンティングの対象になっているのです。
技術のコアは知財も含めてぜひ自社で賄う体制を組まれてください。その意思がしっかりしていれば、技術部を持てなかった中小企業であっても、たとえば産学連携事業への参画を通じて技術の強みを模索することは十分に可能です。
二つ目の切り口として「海外展開による市場拡大」を見てみましょう。こちらも、日本とは文化も歴史も異なる海外でビジネスを展開しようとするものですから、現地パートナー探しを含めて、その土地のことが分かった人のサポートが大変重要になってきます。
技術開発も海外展開も、突き詰めて言えば「他人に頼る」ことが、売上高30億円に至るこれまでの経営とは確実に一線を画するものだということを改めて認識いただけますでしょうか。経営のゴールを「他人を頼れるビジネスの仕組み作り」へとシフトさせること、それこそがステップアップのために最も重要な点なのです。
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