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ラグビーW杯と海外ビジネス ~経営者はスタンドの監督!~

SPECIAL

東南アジア進出コンサルタント

KJグローカル経営事務所

代表 

国内企業向けの、東南アジア市場進出の戦略・実務コンサルタント。大学卒業後20年以上の間、メーカー・商社・公的機関にて海外ビジネス(主に東南アジア・中国)に従事。東南アジア市場におけるマーケティング・拡販業務を成し遂げた後、大手自動車関連メーカーにて同社中国初の販売会社(ディストリビュータ)を立ち上げ、人事・財務・企画等の管理部門の統括などを歴任。その後、食品/アルコール・伝統工芸品・医薬品/医療機器など多岐に亘る業種のアジア市場開拓支援を経て、2018年にKJグローカル経営事務所を設立。現在同社代表。

 2023年9月の「ラグビーW杯2023:フランス大会」まであと1ヶ月。多くのテストマッチが組まれ、ようやく盛り上がってきました。皆さんは、ラグビーについて詳しいでしょうか? 一部では難しいとも言われるラグビーの「特徴的なルール」には2つあります。

まず1つ目は、「スローフォワード(Throw-forward)」という反則。これは文字通り、ボールを前に投げてはいけないということです。ラグビーでは真横もしくは後ろにボールを投げなければなりません。次に2つ目は、「ノットリリースザボール(Not-release-the-ball)」という反則。ボールを持った選手が倒された場合は、即座にボールを手放す必要があるのですが、保持し続けてしまうことで相手ボールとなってしまいます。

この2つの反則に似た現象はビジネスにおいても見られませんか? 立派な先代創業者や長年成果を挙げてきたベテラン社員をいつまでも頼りにして、後進の従業員へ一向に重要な仕事を任さない。また、経営者自らが多くの仕事を一人で抱え込み、従業員へ仕事を分担していない。結果、本来やるべき重要な仕事(経営判断)が疎かになっている。このようなケースをたくさん目の当たりにしてきました。

この2つの現象に共通して言えることは、「当事者たちも何となく違和感を抱いているものの、続けてしまっている」ということです。ラグビーの試合とは異なり、誰も笛を吹いてくれないというのが、その要因でしょう。

なお、ラグビーの監督は基本的に(ベンチではなく)グランド全体を見渡せるスタンドにて試合を観戦します。時にマイクで現場に指示は出しますが、原則グランドにいる選手たちに試合をゆだねています。そこには、「試合に挑むまでに、充分な準備をしてきた」という覚悟があるのです。

これをビジネスの場に当てはめてみましょう。これまでご支援してきた経営者の方も、最初は「任せられる若手人材がいない」と必ず言われます。しかしながら、それは口実にすぎません。そのような経営者の方にお伝えするのは、「不足しているのは社内の若手人材そのものではなく、(若手人材でも対応可能な)社内ノウハウの体系化」だということです。

海外ビジネスのご支援についても同じことが言えます。既存ビジネスへの対応で、海外ビジネス等の新規ビジネスにまで手が回らないとお考えの経営者の方は考え方自体を改めていただかなければいけません。限られた経営資源で「1つ上のStep」に行くためには、それ相応の「準備(社内へのノウハウの蓄積と後進への展開)」が必要なのです。ラグビーのように、「選手がボールを後ろにつなぎ、トライを(スタンドから)見守る仕組み」を一緒につくりませんか? フランスで開催されるラグビーW杯も、そのような観点から観戦してみてください。

 

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