何のために
あなたは何のために生きているのですか?と唐突に聞かれたとして、真正面から答えられる人はもしかしたらあまり多くないのかもしれません。何故なら日常にそういう会話が交わされることはたぶん決して多くなく、むしろ稀であるがゆえに答えの練習ができていないからです。
でも、これが会社となると事情はかなり変わります。あなたは何のためにこの会社をやっているのか。経営者である以上、この質問に1年365日中向き合わなくてはならない宿命を背負ったと言っても言い過ぎではありません。
最近では「パーパス経営」などと呼ばれることもありますが、経営目的をしっかり見据え、それを自らのコトバで語れるようになって、ようやく経営者の合格ラインに到達できたと言えるくらいではないかと思います。
前回このコラムで経営計画の重要性をお話しましたが、経営目標の確認はある意味でそれより更に重要なファクターである、とさえ言うことができます。何故なら、目的が決まればそのために何をすれば良いか(つまり経営計画の中身)がほぼ自動的に決まるとさえ言えるからです。
あなたは何のためにこの会社を経営しているのか?その答え自体は千差万別で、唯一無二の崇高な目的を掲げる会社もあるでしょうし、反対に俗世間にまみれた複数の目的を掲げる会社もあるかもしれません。でも目的がはっきりしないことには、そこから先の議論がむなしくなるばかりだというのは洋の東西も、企業規模の大小も問わない真実のようです。
そしてその目的を明快に語れるのは、これも現時点での社長のみ、と相場が決まっています。それだけ責任が重い社長の仕事ですが、経営目的を決めるには、慎重のうえにも慎重を期して、周りの意見をよく聞いて・・・というばかりがソリューションではありません。むしろそれとは真逆の行き方を考えてみることも時には必要だということを、優れた社長は経験値から知っていることが多いようです。
経営者として日頃それだけ息の詰まる暮らしをしていればこそ、個人の生き方について聞かれた時でも社長さんの答えは堂に入って落ち着いたものが多いです。真正面から生き方について聞かれた時も、社長さんは笑ってごまかすようなことは一切しません。真面目に考え、真面目に応えることでこそ、狭い日本のセキュリティ管理がしっかりしたものになるのだということを、社長さんたちはよくご認識されておいでだ、ということのようですね。
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