顧客満足から顧客感動へ『スタッフのホスピタリティ力向上計画』
前回、顧客満足から顧客感動に必要な2大要素について書かせていただきましたが、今回は、それをより具体的に掘り下げます。
顧客感動に必要な要素として「スタッフのホスピタリティ力向上」と、「顧客感動を生む仕組みづくり」を挙げさせていただきましたが、今回は、そのひとつ「スタッフのホスピタリティ力向上」についてです。
スタッフの顧客に対するホスピタリティ向上の為には、幾つかのエッセンスがあるのですが、本日はその中でも最も重要である「仕事の原点、喜びを理解させる。」についてです。
お客様に良いサービスを提供する、一番の源泉は「お客様に喜んでいただきたい!」というスタッフの想いです。
まずはこの想いが無いと、自主的に目の前のお客様が喜んでいただくことを考えて実践することは皆無と考えて良いでしょう。
ではどのようにしたら、スタッフ自身が「お客様に喜んでいただきたいと思うのでしょうか?」
人は元来、人の喜びが自分の喜びだと思える生き物です。
これがホスピタリティの原点なのですが、皆さんに「この仕事の喜びは?」と質問すると、ほぼ全員が、自分の喜びではなく、お客様の喜びを言います。
例えば、あるサービスエリアの食堂スタッフは、お客様から「おばちゃん、そば美味しかったよ、また来るね。」という声だったり、
ある老人ホームのスタッフは、入居者様から「普段自分で食べることができなかったおばあちゃんが自分で食べられるようになった。」ことであったり、
ある、マッサージをしているセラピストは、お客様から「お陰様で体が楽になった、明日からまた頑張れるよ。」とう声であったり。
このように、「自分のこの仕事の喜び」は「お客様の喜びから得られる」ということを理解させることが重要です。
そして、自分がもっと喜びたかったり、仕事のやりがいを感じたいのであれば、
「お客様に喜んでいただくこと。」
これを考えの中心に置いて仕事をすることです。
自分が一生懸命サービスをする ⇒ お客様が喜んでいただける ⇒ もっと喜んでいただく為に何をしようか考える ⇒ もっといいサービスをする ⇒ 喜んでいただけるお客様が増えるこのようなスパイラルを醸成することです。
このマインドの醸成するには、2つの大切な要素があります。
ひとつめは、「自分の目指すサービス、なりたい自分」を考えさせることです。
目標が無ければ、計画もありませんし、実行もありません。まず、半年後、1年後に自分はどうなりたいのかを書いてもらい、それを目指す為の具体的なアクションを記入、毎月、それについて反省、振り返り、次月のアクションを記入、それを形骸化しないようにフィードバック、チェックしていくという仕組みです。
会社がなりたい自分の為にバックアップしてくれているというスタンスで実施していただくと、スタッフの自社に対するロイヤリティも上がり、良いホスピタリティを提供してくれるでしょう。
あるバスガイドは「記憶に残る旅を私の笑顔で彩りたい」というなりたい自分を設定しました。
今でも、そのなりたい自分になる為に様々な努力をしています。
もうひとつは、自社が「ホスピタリティ」を考えの中心に置くということです。会社自体が、お客様の喜びよりも、売上至上主義が前面に出ていれば、当然、スタッフは、本当はお客様に喜んでいただきたいけど、会社は売上を稼げというからしょうがない・・・。と自分の心とは裏腹な心情の中で仕事をすることを与儀なくされます。
実は、このようなことが一番、スタッフのやる気を削ぎます。
表向きは「お客様第一主義」と言いながら、実態はそうでないケースが多いのです。自社の会議できちんと「お客様をもっと喜んでいただく為に」という議題がありますか?売上の報告会になっていませんか?
後者であれば危険信号です。
「お客様の喜びがあるから、自分たちはその代償としてお金を貰えて売上が立ち、商売が成り立つ。」この商売の原理原則が自社に浸透していないと、個人のマインド任せでは限界があります。
逆に言えば、自社に「ホスピタリティ」が浸透していれば、新しく入ったスタッフはすぐにそれに染まります。
もっと言えば、採用にも、離職率にもこのことは大きく影響してきます。
この時代を生き抜く中で、目先の売上だけではなく、商売の本質、仕事の本質をどう貫けるかで、良いスパイラルで良い方向に行く企業と、悪いスパイラルでどんどん業績が落ち、人が離れていく企業が分かれていく気がしてなりません。
皆さまの会社は良いスパイラルで仕事できていますか?
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