いつまでに、何を、どうやって
経営者が求められる仕事の成果が儲けであることは、このコラムでも何度もお伝えしてきましたが、それを実現するためのツールとして古今東西のコンサルタントが勧めるのが「経営計画」を立てることです。
「計画を立てたからと言ってすぐに儲かるわけじゃなし」、それより少しでも営業に時間と労力を割くべきではないか、という意見もあるのかもしれません。でもちょっと考えれば分かることなのですが、むやみな営業行動に資源を割くというのは、全体を考えたときに果たしてベストの選択肢なのか?という疑問が常について回ります。
この発想は、たとえば頑張ってもなかなか数値が出ないとき、「あとは現場が何とかしてくれる」に全てを任せてしまうことと似ているような気がします。猪突猛進、とにかく営業、とにかく操業。
ちょっと発想を変えて、たとえば技術開発で課題解決を図るにはどうすれば良いか、という視点に立つと、思いのほかあっさりと問題が氷解したりする、そんな経験をお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。
そんな視点で経営計画を見直してみると、案外パワフルな内容であることが見えてきます。
1. いつまでに
まず、「いつまでに」を考えます。計画が計画たる所以は、そこに期限があることです。いつまでに計画を達成する必要があるのか、なぜその日が期限とされたのか、期限までに達成できないとどうなるのか(ここは「期限を守ることがもたらしてくれるメリット」、でも良いかもしれません)。それをコトバで表現し、可視化することで計画の第一段階はクリアです。
2. 何を
次に取り上げるのが「何を」です。経営を、というとテーマが大きすぎるので、もう少し捉えやすい大きさに切りそろえたほうが良いでしょう。「売上高」を、でも良いでしょうし、「営業利益率を」、でも良いと思います。「客数を」となるとさらに具体化されますね。「従業員満足度を」になると、極めて具体的な対象が浮かび上がります。
3. どうやって
最後にきめるのが「どうやって」、つまり具体的な達成方法を明らかにします。「プロジェクトチームを編成して」だったり、補助金等を使った「特別予算を組んで」などがありますが、もっとも単純なケースでは「〇〇君に任せて」みたいな決め方もあると思います。
経営計画と言ったって、何もすごく重たいものである必要はありません。要は社員と共有されていることが重要なので、小さな会社であれば、極端に言えばペラ一枚でも構わないのです。
むろん、同時に計画達成のための人事戦略や技術戦略なども、相応に裏付けのある形で可視化されていて課題とともに共有されているとすれば、それはそれで素晴らしいことですので、立派な計画を否定するわけではないのですが、経営者にお伝えしたいのは、「立派さよりも実効性を」求めてほしい、という点です。
仮に一つの経営課題を克服するために必要な年限が2~3年かかるとすると、経営者という立場で何年勝負できるのか、を併せ考えたとき、人生を通じて経営計画を10回以上立てられるという経営者はそう多くないと思います。であればなおのこと、経営者たるもの実効性ある計画を立てて、日々その実現に邁進すべきなのです。
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