海外ビジネスに必要な「画竜点睛」的考え方 ~展開理由の明確化「3要因」~
「画竜点睛を欠く」。皆さんは、この言葉の読み方と意味をご存じでしょうか? 一般的な読み方は「がりょうてんせいをかく」。また、意味は「物事を成し遂げるのに、最後に肝心な一点を仕上げることをしなかったため、全体が不完全になってしまうこと」です。同じくことわざの「仏作って魂入れず」の方が現代の我々には分かり易いでしょうか?
最近、「国内だけでビジネスを行なってきたが、海外市場を目指したい」というご相談が増えてきています。コロナ禍も一段落しつつある現状において、グローバルなヒト・モノの動きが戻りつつあるのは明らかなトレンドです。しかしながら、「なぜ貴社は海外ビジネスを目指すのですか?」とお聞きしても明確な答えが出てこないことが大半です。時々、「日本国内の市場が縮小しているので...」とお答えいただく経営者の方々がおられますが、「それは消去法的な理由であり、自社の主体的な展開理由にはなっていない」とお伝えしています。これまで長年の間、自社が主戦場としてきた国内とは勝手が異なる海外市場へ展開していくには「消去法(後ろ向き)的な理由」は全く【大義】にはなりません。また、結果も伴わないのは私のコンサルティング経験(これまで1000社以上)から断言できます。
それでは「画竜点睛」的な完全的・主体的な「海外ビジネスを目指すべき目的」とは、どのようなものなのでしょうか? そのような目的を構築するためのプロセスとして「3つの要因」を明確にする必要があるとお伝えしています。まず1つ目は「自社の強み」を明確にすること。「強み」というと難しくお考えになるかもしれませんが、それほど難しいことではありません。貴社が国内で長年お付き合いのある企業が「なぜ貴社を選定してくれているか?」がそれに直結します。自社で既に分かっているのであればそれで結構ですが、分からなければこの機会に改めて聞いてみればいいのです。次に2つ目は、「なぜ、その強みが日本国内で発揮しづらくなっているのか?」ということです。これは業界にもよりますが、マクロ的なトレンドの急激な変化や、しがらみの多い日本独特の商習慣等が、それにあたります。
ここまでの2つの要因は、我々(ヒアリングの訓練を受けた専門家)がお聞きすれば経営者の方から「引き出せる要因」です。しかしながら、最後の「3つ目の要因」はハードルが少し高いものです。その3つ目は「目指す海外の某市場においては、自社の強みが(日本国内以上に)発揮できるのか?」ということです。この分析には、「マクロ的な統計情報(鳥の目)」、「ミクロ的な市場情報(虫の目)」及び「現地市場の競合情報(虫の目)」が欠かせません。このような多様な視点での分析は「(海外の)各市場に信頼できる提携会社がある」当事務所のような海外市場のエキスパートに依頼することが得策です。この3つ目の要因が満たせていない海外展開理由はまさに「画竜点睛を欠く」不十分なものなのです。なお、その際に日本企業にお願いしているのは「経営者の方も現地市場へ同行して『目の当たり』にしていただきたい」ということです。
ようやく3年以上にも亘るコロナ禍が収束しつつあります。この機会に他社に先駆けて目指すべき「Target市場」を一緒に探索・視察してみませんか? 「いつやるか?今でしょ!(林修先生)」は単なる流行語ではなく、いつの時代でも通用する汎用的な言葉なのです。
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