資金繰りの悩みから卒業できない社長の特徴
資金繰りの悩みそのものは、氷山の一角です。大切なのは、その先の「打ち手」をどうするか。資金繰りの悩みを経験すること自体は、決して悪いことではありません。
むしろ、その経験を糧に、財務中心の会社づくりをすることで経営基盤をさらに強化していく社長もいます。そういう意味では、資金繰りの悩みは、会社を成長させるための一時的な「通過点」、登竜門とも言えるでしょう。
もし、資金繰りで悩んだことがない・・・という場合は、自分が社長に就任する前の段階で、「潤沢な資金」と「盤石な財務体質」が準備されていたか、あるいは、自分がわかっていないことがワカッテイナイ…のどちらかです。
一方で、その場しのぎの対処療法を繰り返して経営を悪化させていき、最後は、資金ショートを起こして倒産の憂き目にあう会社も存在します。
「資金繰り」を改善するための表面的な手は、あくまでも短期的な対処療法であり、近視眼的な打ち手でしかありません。
時間の経過とともに、メッキがはがれ、本当に解決すべき根本的な問題点が、何度も繰り返し目の前に現れ続けます。
そして、「本当に解決すべき根本的な問題点」は、より深刻な状況になっていくとともに、解決のための選択肢が徐々に限られていくのです。
会社経営において、時間の経過とともに「自然に良くなっていく」ことは、残念ながらありません。むしろ、どんな経営上の課題も、時間の経過とともに「徐々に悪化していく」ものです。
さらにいうと、表面的な対処療法で、目先の資金繰りの不安が払しょくされたとしても、自社のビジネスが根本的に、お金が残らない、利益がでないものであれば、5年経っても、10年経っても、経営は苦しいままです。
大変厳しいようですが、多くの「世の中から消えていった企業」がその現実を物語っています。そのため、仮に、目先の資金繰りが回っていたとしても、本当の意味での自社の経営課題が解決されていなければ、経営の質が上がることはないのです。
あまりにもツライ現実ですが、最悪の場合は、資金が尽きて銀行に見限られ、その後は倒産が待っています。社長個人が連帯保証人になっている場合は、自己破産も待っています。
つまり、社長が悩むべき問題は、目先の資金繰りの問題だけではない…ということです。「資金繰りの問題」だけを見るのではなく、その先の「資金繰りの問題」を引き起こしている真の問題点を特定することが大切なのです。
そもそも、「なぜ、資金が不足してしまうのか?」に関して、数字で具体的に語れる社長は、意外と少ないものです。
さらに、本当の問題点を解決するための具体的な打ち手を見いだせる社長は、もっと少なくなります。誤解を恐れずに申し上げるのなら、具体的な打ち手を実行できる社長は、ごく一握りです。
なぜなら、人間誰しもそうですが、「自分のこと」は、自分自身が一番よくわかっていないものだからです。だからこそ、優れた経営者ほど必ず信頼できる第三者の相談相手や専門家を、意図してつくっています。
さらに同族会社の場合は、会社と社長自身がある意味表裏一体の関係にあります。そのため、社長は、どうしても「感情のバイアス」や「過去からの思い込み」などで、真の会社の姿が正しく見えなくなってしまうものなのです。
優れた経営者ほど、「会社の中の一番の問題児は、社長である自分自身」といいます。これは、自分の会社のことを第三者の視点で客観的に見ることの大切さを物語っています。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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