組織の輪を乱す人達が、次々に稼ぎ頭に変わっていくチェーンの社長は「元気良いね~」と言う。
どの組織にも
「こんな事やってられない」
「皆~、手を抜いちゃおう~」
などと、ボイコットに汗を流す人が現れます。
チェーンビジネスにおいてそれが厄介なのは、各店舗でも発生してしまうところです。
組織を混乱に陥れようと暗躍する扇動者達が、店舗で誕生してしまいますと、そう簡単に解決することができません。
なぜなら店舗の責任者とスタッフの関係は、本部の各部署長と従業員の関係と違って、お互いが離れてしまっているからです。
チェーン店舗は接客業がほとんどですから、お互いに距離を置いて働いているのが基本です。そして勤務形態はシフト制のところがほとんどで、店長とスタッフの勤務曜日も違えば、勤務時間も違います。
よって、店長が「あれ? なんだか、みんなの売ろうという意識が感じられないぞ・・・」「手を抜き出している人もいるし・・・」という違和感を感じても、お互いが離れている為、そこから「そうか、君が皆のヤル気を奪ってたんだな!」と発覚、改善に至るまでには、ものすごく苦労することになります。
あまりの困難さに、解決できる方が稀です。
その為、多くの店舗では
「誰かが、裏でみんなのヤル気を削いで回っている」
「たぶんあの人だ・・・」
「しかし・・・証拠が無いから何ともできない」
など、扇動者の目星はついているのに解決にまでこぎつけられない、という状態がいつまでも続いてしまうことも。
問題は、そんな「扇動者」を野放しにしていると、どうなるのか?です。
怖いのは扇動者に賛同する人が増えていく事。
「政策がおかしいのでは?」
「誰がそこまでやるんだよ」
「現場のことわかってないよね」
ヒソヒソ陰で不平不満を漏らしては
「会社がそんな態度なら、こっちだってテキトーにやっちゃうよ?」
などと暗に脅してきます。
やがて勢力が拡大してくると
「我々が正義だ」
「そんな仕事やらなくていいよ」
「だって会社や社長、店長がおかしいんだから」
「確かにな」
その行為はより過激になっていきます。
しかし、誰もが扇動者側に立ちたいわけでもありません。
中立を守ったり、リーダー側に立っていたいという方もいらっしゃることでしょう。
日々、扇動者の行動に頭を抱えるリーダーとしては、そんな人達に
「そんなことやめなよ」
「店長だって必死なんだから」
「陰から言わないで、堂々と言ったら?」
など、アシストしてもらいたいところです。
しかし、扇動者側の勢力が増していくのと比例して、そのアシストも期待できなくなります。なぜなら「あの人は我々の運動に楯突く反逆者だ」とみなされ、標的にされてしまうリスクも高まるからです。
ここで気を付けなければならないのは、「中立」や「リーダー側に立ちたい」と考えている人達であっても「リーダーが困るような行為はしないとは言い切れない」点です。
例えば、こんな例が挙げられます。
「店長、あなたは今『売れ売れ』と言ってるどころじゃないのでは?」
「まずは、陰からグチグチいってる〇〇さんら一派をどうにかして下さいよ」
「あの人達を何とか出来るのは店長だけでしょ」
「我々はずっと店長がガツンと言ってくれるのを期待して、待っているんですよ!」
しかし「だから何だというのだ?」という社長もいらっしゃるでしょう。
「組織にはそんな扇動者がつきものじゃないか」「そんな人達に構ってたらキリが無いぞ」「放っておけ」など。
それはそれで一つの経営判断と言えます。
そして私も強引に「いや、扇動者は必ず対処すべきだ!」と訴えたいわけでもありません。
しかし、一つ言える事は
「チェーンビジネスにおいて、各店に現れ暗躍する扇動者に対して、会社が有効な一手をうっていなければ、業績を上げていく事は困難だ」
という事です。なぜなら
「あなたは、店員同士が憎みあっているお店の商品やサービスを買いたいと思いますか?」
どんなに会社の社長が
「こんな素晴らしい商品は他社には無いぞ!」と自信満々でも
「うちのサービスは、絶対に満足してもらえる」と太鼓判が押されていても
販売店の人間関係が良くなければ、その売り物自体の品質に悪い影響を与えてしまいます。
チェーンビジネスの社長が「うちは、他社よりも業績を上げていきたいんだ」というお考えなのであれば、各店舗の人間関係は良好でなければなりません。
・いくら社長が、店長会議で汗を拭き出しつつ熱弁しても、
・いくら店舗の勤務環境の改善に、これでもかとコストをかけまくっても
店舗に現れる扇動者に対しての有効な一手が打てていなければ
「あれ、何であんなに頑張ったのに店舗の結果が上がっていかないんだ?」
となってしまい、上がっていくのは業績ではなく各店長の残業時間だけ、という笑えない結果になる事も・・・。
もしかしたら各店長は「社長のおかげで目が覚めた」「やってやるぞ!」と開眼できいるかもしれません。
しかし扇動者を放っておいて出せる結果は、せいぜい店長と数名のスタッフだけのわずかなエネルギーです。
社長が求めている「店舗の全員が結束した、莫大なエネルギー」はいつまでも得る事ができません。
ここでこう捉える社長もいらっしゃることでしょう。
「うちには関係ない」
「他人事」で済ませられればいいのですが、残念な事に彼らはあなたの会社の各店にも現れてしまいます。すでに存在して店長達を苦しめているかもしれません。
そう言えるのも、扇動者が店舗に発生する確率は、チェーン本部、本社に比べてはるかに高いからです。
なぜなら、チェーン店舗は隠れ蓑(みの)だらけだからです。
・リーダーとは距離を置いて仕事ができる。
・リーダーとは勤務日が違う
・リーダーとは勤務時間が違う
彼らにとってパラダイスです。
元気に陰でコソコソ動き回り、店長を挑発してはすぐ隠れ、いざ捕まった時には「私じゃない」と言い張り、会社や上司に対する不満を漏らしては、その不満がやがてリーダーの耳に入ればしめたもの、という他力本願。温室効果でスクスク育った彼らは、あの手この手で店長の生命エネルギーを吸い取ろうとします。
チェーンビジネスにおいて店長は重要な役職です。
「店長は私の分身だ!」とおっしゃる社長も。
そんな、目に入れても痛くない社長の分身は「社長、私は扇動者に困っているんです」など口にするはずがありません。
そして優しい社長が「わかった、私が何とかしてやる!」と代わってあげられるものでもありません。
もしかしたら「社長の大事な分身達が、心無い人達に毎日いじめられている」
店長としては「会社の為に、社長の為に、全力で売上を上げたいのに・・・思うように体が動かない」
そんな状況を放っておけますか?
あるチェーンビジネス企業のケースです。
見て下さい、と渡されたのは、自社の悪口や、従業員でしか知り得ない会社の情報がネット上に上がっている画像
「犯人の目星はついてるんですが・・・」
「伊東さん、何かうまい方法はないものでしょうか?」
社長のおっしゃるうまい方法とは、一言で言えばコンプライアンスに引っかからずにその人を除名したいという意味です。
昔に比べて会社組織のマネジメントは年々、大変になってきています。
別のある社長がかつてこうおっしゃいました。
「あれもやっちゃダメ、これもやっちゃダメ」
「一体どうなってるんですかね」
「もはや駄々をこねる従業員の方が自分らより上で、日々泣き寝入りもんですよ」
さて、当時の私は正直、返答に困りました。
その理由は、うまい方法が無かったわけではなく、当社ピアーズの事業はそんな「除名の方法を出してあげる」という内容ではないからです。
どちらかというと真逆です。
「扇動者を排除するのではなく、どうしたら自社の戦力になって、活躍してもらえるか?」
「しかも、そんなに労力もかけず、自動的に」
社長はその違いに自らお気付きになられました。
その後、当社が定期的に開催しているセミナーに社長の姿があったのです。
( https://pearze.jp/seminar-lp/ )
しばらくして、その社長は「扇動者が次々に稼ぎ頭へと自動的に切り替わっていくマネジメントの仕組み」を上手に作る事ができて、利益額はそれまでの2倍以上に跳ね上げられました。
それまで「やめようぜ~」と陰で暗躍していた邪悪な扇動者達は見事に
「私はこうやって結果を出しました」
「私はこんな事を試してみたら、こうなりました」
と一気に各店のエースへと変貌していったのです。
特に周りの人達に、その影響が強く
「え? あの頑固者が?」
「何でそこまで変わったの?」
とても驚いていました。
それまで「自分よりやる気がない〇〇さんがいるんだから・・・」と手を抜けていたのに、急に自分だけが「できない側」で目立つようになったからかもしれません。
そして勝手にこんな感情を抱くようになります。
「あの頑固者の〇〇さんがこんな成績を出しているのに、一方君はどうしたの?」
「そう思われたらヤバイ、何か結果を出さないと・・・」
さて、一体なぜその企業は、かつて店舗組織の転覆に精力的だった扇動者達が、稼ぎ頭へと変わっていくマネジメントの仕組みが上手に創れたのでしょうか?
いくつかのポイントがありますが、1つ挙げますとそれは
社長の 「お? 元気いいね~ッ」 です。
組織のリーダーであれば、転覆を図ろうと蠢く扇動者に対して、つい持ってしまう感情は
「この人さえ居なくなってくれたら・・・」
です。
その気持ちはよくわかります。
彼らはことあるごとに各店のリーダーを困らせているからです。
店長を守りたい社長としてはその挑発にのって
「やるか? 相手になるぞ」
「そっちがその気なら!」
などと、リングに上がりたくなるところでしょう。
ただし、その末路にはそんなに良い結果は待っていません。
しかしここで別の視点から彼らを分析できる経営者がいます。
その視点は大きく2つです。
1つ目 「なぜ彼らは辞めないのか?」
会社や店舗に不平不満があるならとっとと会社を去ればいいだけの話です。
なのに彼らは何故か辞めません。
そこには何らかの理由があるのではないでしょうか?
2つ目は 「彼らの特徴」です。
方向性は褒められたものではありませんが、人を扇動するという行為。
はたしてこの行為は、社内の全員を集めた際、それができる人は何人いるでしょうか?
その比率は、いくつかの組織のリーダーを経験された方であれば、大体わかるはずです。
ここで私から1つ質問です。
Q:あなたは人手不足気味のある企業の経営者だったとします。
嬉しい事に「あなたの会社で働きたい」という人が現れました。
その人の特徴は大きく二つです
1.多少働きにくい環境が続いても辞めない
2.人前に立って導くことが得意
さて、あなたはどんな結論を出しますか?
他社と大きな差をつけられるほど業績を上げていける社長には共通点があります。
それは
「そうか、その手があったか!」
などと「誰もが簡単に見つけられない、想像がつかないような視点を持っている」です。
しかしそれは「違う視点を持たなきゃ」といって簡単に持てるものではありません。
違う視点を持つにも様々な条件が必要だからです。
ではなぜ、今回ご紹介した組織を混乱に陥れようとする扇動者からヒントを得て、自社の業績を倍増させられた社長は、他社とは違う視点を持てたのか?
社長はなぜ
「おのれ、私のかわいい店長達に何をしてくれてるんだ!」
「目にもの見せてやる!」
とならず、
「お~、元気良いね~」
「そのエネルギーをどうにか業績UPに結び付けられないものか」
と捉えられたのか?
社長はこうおっしゃっていました。
「怒りも感じてましたけど、ふと気が付いたんです」
「彼らは敵じゃない。元は仲間なんだと」
「彼らがいつの間にか変貌してしまったのには理由があるはず」
「その理由が突き止められれば、元の頼もしい仲間に戻せるんじゃないか?・・・と」
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