赤字が止まらない会社の社長に共通すること
2023年5月8日から「新型コロナウイルス感染症」の感染症法上の位置付けが「5類感染症」へ変更になり、経営環境が大きく変わろうとしています。
いわゆるこのコロナ禍で、飲食店や観光産業・冠婚葬祭業など、飲食や人の移動を伴うビジネスが多くの打撃を受け、倒産や廃業を余儀なくされました。これは、非常に辛く厳しい現実です。
また、一般の製造業や建設業・サービス業などありとあらゆる業種業態が「非接触型」での事業遂行が求められました。キャッシュレス化・オンライン化なども急速に浸透し、その変化に「ついていけている会社」と「ついていけていない会社」で明暗が分かれました。
さらには、ウッドショックやメタルショック、エネルギー関係の高騰、水面下でジワリジワリと企業経営を圧迫する社会保険料の負担増加や、最低賃金の上昇などなど経営環境の厳しさは、増すばかりです。
そのため、多くの社長は、「毎日頑張っているのに、資金繰りの心配ばかりしている…」「銀行からの借入が思うように減っていかない…」「明るい未来を描けない…」と思っているのではないでしょうか。
どんな時代においても明確に言えることは、時代の流れに「逆らうことはできない」という事実です。国家や世界レベルの話をイチ中小企業がひっくり返そうと考えること自体がそもそも無理な話です。
世の中が悪い、景気が悪い、政府が悪い、お客さんが悪い、社員が悪い、このようなグチや不平不満を言っても、空にむかって唾をしているのと同じこと。1円の価値もなければ、なんのメリットもありません。むしろ自分で自分の首を絞めている行為です。
ですから、マイナスの影響であっても、社長自身が現実を正しく受け止めて、自社にとって「プラスの要因」に変換し、未来に向かっての一手を打つしかないのです。
当社では、コロナ禍の厳しい経営環境下においても、黒字決算を継続して、金融機関や社員などから厚い信頼を得ている社長を数多くみてきました。
中には、同業他社が次々と倒産を余儀なくされている大変厳しい経営環境下でも、業績を順調に伸ばして周囲を驚かせている会社も存在するぐらいです。
ここで彼ら、彼女らに共通しているのは、「売上至上主義」を捨て、社長自らが「財務至上主義」に経営判断の思考軸をシフトした点にあります。
大切なことなので、あえて申し上げます。事業永続のために最も重要な実務は、「財務」です。売上を増やすことよりも、お金を残すことの方が100倍大事なことです。
それにも関わらず、社長自身が財務を知らないまま、つまり経営上の正しい優先順位を知らない状態で、売上を増やすことだけを考えていれば、絶対に上手く行くワケがないのです。
売上至上主義の社長は、「まずは売上を増やすことが大事…」「競合との価格競争が厳しい…」「人を育てて組織作りをすれば…」と表面的な対処療法だけに執着します。しかし、そもそもの思考軸がズレている限り、何をやっても上手く行かないのです。
大切なことは、社長自身が売上減少の根底に潜んでいる真の経営課題や、赤字決算に陥っている根本的な経営上の問題点を正しく把握することです。そのために、財務が不可欠です。
社長自身が売上至上主義の経営から抜け出さない限り、借入依存・資金不足・赤字体質の負のスパイラルから抜け出せません。その結果、気づいた時には会社を潰しているのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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