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経営者なら環境を整えて自走する組織づくりを部下に任せるべし!

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銀行活用で新規開拓コンサルタント

株式会社結コンサルティング

代表取締役 

銀行活用で新規開拓の仕組みづくりを行うスペシャリスト。31年間の銀行員経験で、法人4,000社以上を担当、審査部担当者としての企業審査は1,000社超の実績を誇る金融のプロフェショナル。
売上が倍増した雑貨メーカー、バックメーカー、新事業を立ち上げた化粧品メーカー、更には海外進出に成功した事例など、累計で100社以上の会社を成功に導いた実績を持つ。

「自走する組織づくりって、なかなか難しいと思うのですが、そんなにうまくいくものなのでしょうか?理屈は理解できますし、本当に実現できればとても素晴らしいのですが、どうも眉唾な感じがしていまして・・・」──とある経営者懇談会でご一緒したソフトウエア開発業の社長からのご質問です。

私の定義する自走する組織とは、「従業員が自ら考え、対話し、行動する組織」であり、従来のトップダウンのマネジメントとは真逆になります。

トップダウンのマネジメントでさえ、従業員がなかなか言うことを聞かずに手を焼いているのに、真逆の「従業員が自ら考え、対話し、行動する組織」はどうやったらできるんだ!?あれだけ言っても、ちゃんと行動さえできないのに・・・というお気持ちになることは十分に理解できます。

【私の1994年の実体験】

でも、自走する組織に必須である、「心理的安全性」という言葉が使われるより前、1994年に実際に自走する組織づくりで従来の2倍の業績をあげた経験が私にはあります。(心理的安全性は、組織行動学を研究するエドモンドソンが1999年に提唱した心理学用語)

1.恐怖統治から心理的安全へ

当時、都市銀行の中規模支店に勤務しており、1994年9月には支店長が交代となり、その1ケ月後に支店長命令で融資課から取引先課(営業)に配置換えになりました。

交代前の支店長が、超有名なワンマン支店長で究極のトップダウン型、気に入らない・使えない行員には容赦無くパワハラするだけでなく、転勤してきたばかりの行員を人事部に掛け合って2ケ月で左遷・異動させてしまう恐怖統治の状況でした。

交代してきた支店長は、当時の銀行では珍しい部下に寄り添う支店長でしたが、交代前の支店長の元部下であり、究極のトップダウン型を経験&実践してきていたので、それだけではうまくいかないことを理解されていたのです。

2.新支店長がやったこと

このため、交代直後から、「みなさんが良いと思うことを思う存分やってください。ただし、やる前に、ひとこと私に相談するように。支店長判断でどうしてもダメであれば止めますが、チャレンジする価値があれば、OKを出します。私がOKを出した以上、結果がどうであれ、支店長責任で全責任を負います。みなさんには責任を負わせませんので、思う存分にやってください!」と常々発言されていました。

ただ、これまでが究極の恐怖統治でしたので、最初のうちは全く浸透しませんでした・・・

3.組織改革断行

1ケ月経っても、職場の空気がこれまでとあまり変わらないことに業を煮やした新支店長は、組織改革を実行します。

手始めに、役職のない私を融資課から取引先課(営業)に配置換えするとともに、取引先課の支店長代理を私の部下にしたのです(驚)。管理職が平社員の部下になるのですから、通常あり得ません。

そもそも管理職の経験さえもないのに、管理職の方を部下に持つなんて・・・とても務まるとは思えませんでしたので、新支店長にお断りしたのですが、「業務命令だ!なんでも相談に乗るからやってくれ!責任は俺が取る!」のひとことで却下されました。

そこからは、本当に我武者羅という言葉がピッタリなくらい頑張って働きました。

指示された数字をどうこなすかだけを考えていればよかった平社員から、どうやって部下を率いて自分のチームの数字をクリアするかという管理職の職責を担わなければならなくなったのですから・・・

単に、平社員が管理職に上がったのではなく、平社員が管理職やその他の平社員を率いてチームをまとめなくてはならないという、あり得ない状況と重圧に押し潰されそうになりながら、できるかできないかではなく、どうやったらできるのかだけを考えて突き進んだのです。

その当時の私自身が、「従業員が自ら考え、対話し、行動する」を実践していました。

そして、その前提となったのが、1999年に組織行動学を研究するエドモンドソンが提唱した「心理的安全性:チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」であり、提唱される5年も前に当時の新支店長がその状態をつくってくれていたのです。

現在では、「心理的安全性」や「自走する組織」という言葉が一般的になっていますが、当時は定義すらありませんでしたので、「支店長(=経営者)が、(支店の)最高経営責任者として、率先垂範し、目標を明確化し、権限を移譲するとともに(最終責任を取る)覚悟を示す」ことで、行員(=社員)が自ら考え、対話し、行動するということが経験できたのです。

私は、当時の3名の部下を従え、チームとして与えられた目標をどのようにクリアするのが望ましいのかを、支店長代理の部下とトコトン議論したり、本部や関連各部と連携してお客様のお役に立てることは何かを探したり、預金窓口の責任者や担当者とお客様の取引状況を鑑みてどうするのが望ましいかを打ち合わせしたり、、、

とにかくできる限りのことを考え、議論して、行動する。そして、行動した結果に対してまた議論し改善していく、という形ができてきました。

4.パート社員の台頭

そんな中で、一人のパート社員の方が頭角を表したのです。議論では活発に発言され、事務対応などもとても優秀でした。働きぶりと賃金が見合っていませんでしたので、私から支店長に「○○さんのパート代を2倍にしてください。そうでないと、働きに見合いませんし、今辞められたら困ります!」と直談判しました。

一人のパート社員のパート代を、他のパートより高くする・・・今から29年前の都市銀行でのことですので、あり得ないことだったのですが、そこは新支店長の剛腕で、1.5倍になりました。

このことは、すぐに支店内で話題になり、私のところに「私にもできる仕事はありませんか?なんでもやります!」ということで、パート社員さんからたくさんお声がけをいただきました。

このように、従業員に対しての心理的安全性だけでなく、賃金アップという果実まで用意できると、本当の意味で歯車が回り出し、「自走する組織」づくりができるようになります。

ここまで、お話したところで、ソフトウエア開発業の社長に「社長、どうですか?あまり堅苦しく考えないで、何を言っても、やっても大丈夫という心理的安全性を確保して、社員に任せてみるだけですよ。」と申し上げると、「そうですね。そんな昔から、やる気があればできていたのですね。頭デッカチにならずに、やってみたいと思います。」との回答をいただきました。

【自走する組織づくりのポイント】

従来、経営者はトップダウンのマネジメントによって部下に指示を出し、その遂行を監視することが求められていました。しかし、現代のビジネス環境は変動性が高く、不確実で複雑、さらに曖昧さを含んでおり、組織が単独で成功することはますます困難になってきています。そこで、自走する組織づくりが求められるようになってきました。自走する組織とは、従業員が自ら考え、対話し、行動する組織を指します。

自走する組織を実現するためには、経営者が環境を整えて心理的安全性を確保することが最も重要です。

以下に、自走する組織づくりのポイントを示します。

1.社長の率先垂範

経営者は、自走する組織を目指すために自身が率先して行動を起こすことが必要です。自身が先頭に立って考え、対話し、行動することで、従業員に自走することの重要性を示し、共感を得ることができます。

2.心理的安全性を確保する

自走する組織を実現するためには、従業員が自分の意見や考えを自由に言いやすい環境を整えることが必要です。そのためには、経営者が心理的安全性を確保することが重要です。従業員が何か言いたいことがあれば、それを遠慮なく言えるような環境を整え、聞き入れることで、従業員の自己実現が促進されます。

3.目標を明確にする

自走する組織を実現するためには、目標を明確にすることが必要です。目標が明確であれば、従業員は自ら考えて、行動することができます。また、目標に向かって自走することで、従業員のモチベーションも高まります。

4.権限を委譲する

自走する組織を実現するためには、経営者が部下に権限を委譲することが必要です。経営者が常に全ての判断を下すことは不可能であり、部下の能力を信頼し、彼らに自主性と責任を与えることで、自走する組織を実現することができます。

【心理的安全性を確保するために】

では、経営者はどのように心理的安全性を確保することができるのでしょうか?以下に、具体的な方法を紹介します。

1.オープンなコミュニケーションを行う

経営者は、従業員とオープンなコミュニケーションを行うことが重要です。従業員が自由に意見を言える環境を作ることで、失敗を恐れずに新しいアイデアを提案できるようになります。また、経営者自身が率先して積極的にコミュニケーションを行うことで、従業員の信頼を得ることができます。

2.フィードバックを積極的に行う

従業員に対して、経営者は積極的にフィードバックを行うことが大切です。フィードバックを通じて、従業員が自ら考え、対話し、行動することができるようになります。また、フィードバックは、従業員が自分の能力を向上させるための貴重な情報源となります。

3.失敗を容認する

経営者は、失敗を容認することが必要です。失敗を恐れるあまり、従業員は新しいアイデアを提案することを躊躇するようになります。失敗を容認することで、従業員が自ら考え、対話し、行動する組織を実現することができます。最終責任は、最高経営責任者である自分が取ることを常に宣言してください。

4.従業員の成長をサポートする

自走する組織を作るためには、従業員の成長をサポートすることが欠かせません。従業員が成長することで、より良いアイデアや提案が出てきますし、自走する組織を作るためのリーダー候補も育成できます。

【従業員の成長のために必要なこと】

従業員の成長をサポートすることは、自走する組織づくりにとって欠かせない要素です。経営者は、従業員が成長するための機会を提供し、彼らが自己啓発を行うための環境を整えることが重要です。以下は、従業員の成長をサポートするために経営者ができることの具体例です。

1.トレーニングと開発プログラムを提供する

経営者は、従業員にトレーニングと開発プログラムを提供することで、彼らのスキルや能力を向上させることができます。トレーニングや開発プログラムには、技術的なスキルやリーダーシップスキルを磨くためのものなど、多岐にわたります。経営者は、従業員が個々のキャリアパスを選択できるよう、複数のトレーニングや開発プログラムを提供することが重要です。

2.目標設定を行い、フィードバックを提供する

経営者は、従業員が目標を設定し、達成することをサポートすることができます。目標を達成するために必要なリソースやサポートを提供し、従業員が目標に向かって進むのを支援します。また、定期的なフィードバックを提供することで、従業員が自己評価を行い、改善に取り組むことができるようにします。

3.キャリアアップの機会を提供する

従業員には、自分のキャリアを追求する機会を与えることが必要です。経営者は、キャリアアップのためのポジションを提供し、従業員が自己啓発を行い、新しいスキルを習得することができるようにすることが重要です。また、内部昇進の機会を提供することで、従業員が組織内で成長し続けることができます。

4.従業員の意見を聴く

経営者は、従業員が自己啓発を行うために必要な環境を作るため、彼らの意見を聴くことが重要です。従業員がフィードバックやアイデアを提供することで、組織全体のクリエイティブな問題解決力が向上し、自走する組織を実現することができます。

さらに、従業員の成長を促すために、経営者は定期的なフィードバックやキャリアパスの策定を行うことが重要です。従業員が自分自身の成長を見出せる環境を作ることで、彼らはより生産的で貢献度の高い仕事をすることができます。

また、経営者自身も従業員と同じく自己啓発を行うことが重要です。経営者が自己啓発を行い、新しいアイデアや知識を獲得することで、組織全体の創造力とイノベーション力が向上します。

従業員の成長をサポートするためには、研修や勉強会などの機会を提供することも重要です。経営者は、従業員のスキルや知識の向上をサポートするために、研修や勉強会の参加費用を補助するなどの措置を講じることができます。

さらに、従業員の成長をサポートするためには、適切な評価制度を導入することも重要です。従業員は、自分自身の成長が正当に評価され、報酬や昇進の機会が与えられることを望んでいます。経営者は、従業員の成長を促進するために、適切な評価制度を導入し、従業員の努力と成果を公正に評価することが重要です。

以上のように、従業員の成長をサポートすることは、自走する組織づくりにとって欠かせない要素です。経営者は、従業員の成長を促進するための環境を整えることで、組織全体の生産性とイノベーション力を向上させることができます。

【まとめ】

自走する組織づくりは、従業員が自ら考え、対話し、行動する組織を目指すことを言います。このような組織づくりを実現するためには、経営者が環境を整え、従業員に権限を委譲し、心理的安全性を確保することが重要です。

自走する組織を実現するために、経営者は以下のことを実践する必要があります。
 ・自分自身が率先して行動し、従業員にとっての理想像を示す。
 ・従業員に権限を委譲し、自己判断力や自己責任を持たせる。
 ・心理的安全性を確保するために、従業員がフィードバックやアイデアを自由に提供できる環境を作る。
 ・従業員の成長をサポートし、彼らが自己啓発を行えるような環境を整える。

これらの取り組みを行うことで、従業員は自己実現や成長を実感し、自ら考え、対話し、行動する組織を作り上げることができます。結果として、自走する組織は、より柔軟で創造的なアイデアを生み出し、競争力を高めることができます。

中小企業オーナー経営者にとっては、従来のトップダウンのマネジメントからの転換が必要です。自走する組織づくりを実現するためには、経営者が部下に権限を委譲し、心理的安全性を確保することが必要です。また、従業員の成長をサポートすることで、自走する組織を実現することができます。

これらのステップを実践することによって、経営者は自走する組織づくりを実現し、中小企業の成長につなげることができます。従業員が自分たちで考え、対話し、行動する組織を作り上げることで、中小企業は柔軟性と創造性を持った競争力のある組織づくりを実現し、業績向上につなげることができるのです。

あなたは社長として、どのように自走する組織に変革されますか?
経営者であるあなた自身の姿勢を変えるとともに、環境を整えて自走する組織づくりを部下に任せることで儲かる強い会社にしていきましょう。

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