チェーン事業の社長には「人が集まらない呪い」に、初めからかかっている
社長の中には、他社よりも利益をバンバン上げられ、従業員もドンドン集まってくる会社にできる方がいらっしゃいます。
しかしそんな社長は多くはありません。
その理由を1つ挙げますと、社長という役職に就いた人は、その時点ですでに
他社よりも利益を上げられず、仲間も集まってこない「呪い」
にかかってしまっているからです。
社長という座に就くには大きく2つのルートがあります。
それは 1.他の人達から推薦、任命された 2.自ら社長になった です。
一見全く違うルートに見えますが、どちらにも共通する点があります。
それは「組織のメンバーの立場をわかっている」です。
1のルートを実現するには、実績が求められます。
実績も無い人に、いきなり「この人こそ社長になるべきだ」と支持してくださる方など、まず存在しないからです。
そしてその実績を積み上げるには、自社、もしくは他社など、何らかの組織に属していなければなりませんし、どうやったら誰もが認めてくれる実績を上げられるか? その方法を体得するには、まずは自分が置かれている、組織の一員という立場をよくわかっていなければなりません。
他の可能性として世襲も挙げられますが、さすがに「実績ゼロ」では難しいものです。
もし社長の子供がまだ学生だったり、数年間ずっと家にこもりっきりで、社会経験ゼロという人だとしたら、はたして周りの人達から「あなたは今日から我々の運命を握る社長です。みんなが歓迎しますよ」などの支持を得られるでしょうか?
こちらのケースは「誰もが驚くほどの実績を出せ」などと、求められるハードルは前者よりは高くはないものの「あの人を社長に任命しても、反対意見はそう出てこないだろう」という「それなりの実績」はどうしても必要になってきます。
よって、どちらのケースであっても「組織のメンバーとしての立場を深く理解しておく」というステップは必要です。
一方2の「自ら社長になった」というルートを選んだ方は?といいますと、「社長という座」が必要だったということであり、「組織の一員ではダメだった」ということで、やはりその違いをよくわかっている上でのアクションです。
従業員という立場で何とかなるものなら、わざわざいくつかの法律上の手続きを踏んでまで、そしてわざわざ税負担が増してしまう社長の座に就くでしょうか。
ここで言いたい事は、
組織の一員という立場はどうあるべきか? その理解が深い人ほど、「いざ社長になった時、他社よりも利益を上げられず、仲間も集まってこない呪い」に深くかかってしまうということです。
どの組織にも必ずこんなルールが存在します。
「方針に従いなさい」
他の表現としては
・企業方針に沿って、結果を出すように
・「やれ」と言われたら「ハイ」が基本
・逐一報告。脱線は即修正。
・空気を読みなさい
・チームワークを重視しましょう
・スタンドプレーは控えるように
そうしている理由はシンプルで、組織とは皆で協力して力を合わせるほど大きな成果が得られるからです。
組織から新たな方針が打ち出されるごとに、不満げな態度を示していたり、仲間たちと陰でできない理由ばかり口にしてはワイワイ盛り上がっていたり、ああ言えばこう言う人などは「厄介者」です。
組織としてもそんな人を放っておくわけにもいきません。下手すると「あの人はいつも会社の方針に反抗的でかっこいい」「私もマネしよう」などと伝染し、まとまりが無い組織となっていってしまうからです。組織として大きな成果を出していくには、方針に素直で従順な人が多いに越したことはありません。
ここで鋭い方はもうお気づきのことでしょう。
ライバルを差し置いて圧倒的に稼げる会社を築ける社長とは、そんな人達とは違って、足並みを揃えよう、人と同じ事をしようという行為を避ける人です。
そんな社長を、組織に与していてる人達の目から見ると、どう映るのか?
それは「なんて気まぐれな人なんだ」とか「自分勝手な人だな~」「またワガママが始まったぞ」です。
好印象に映ることは少なく「距離を置きたい人」というカテゴリーに分別されるでしょう。
よって、今まではどこかの組織に属していて、なかなかの結果を出し続けてこれていた人が「よし、私は稼げる社長になるぞ!」と起ち上がるのであれば、それからは全然違った視点を持って、アクションも大胆に変更しなければなりません。
簡単に言えば 「常識に捉われるな」 です。
他の表現としては
・「やれ」と言われたら「疑う」が基本
・報告、軌道修正に囚われず、いかに脱線できるか?
・空気は読むな
・チームワークなど不要
・スタンドプレーは当たり前
日々こういった社長の視点と行動が、「他社が思いもつかない独創性」を生み出すことにつながり「その会社にしかできない強み」がどんどん磨かれていきます。
さて、だからといって
「私はいざ社長となったらすぐに成功を掴みたいぞ!」
「呪いにかかるだなんて冗談じゃない!」
と考えていたとしても「事前に予習、準備をしておこう」と動くことは難しいものです。
なぜなら、どこかの組織内で給料をもらいつつ、コソコソそんなことをしていたら、ただの不穏分子です。
下手したら反逆者です。
「あの人は協力しようともしない輪を乱す悪者だ」と見られ、いつ追放されてもおかしくない状態となってしまうでしょう。
成功を掴んだ人達はよく「結果を出すまでは、誰も応援してくれなかった」とおっしゃる方が多いですが、これはしょうがないのかもしれません。
なぜなら、もしそんな人を応援する人が現れたら、「不穏分子に手を貸す反逆者一味」と捉えられてしまうからです。
組織の一員という立場を良く知っている人が社長となった時点で、すでに「他社よりも利益を上げられない呪い」がかかったままスタートしてしまうのは、まず避けられない事と言えるでしょう。
ではチェーンビジネスの社長だと、どんな違い出てくるのか?
チェーンビジネスの特徴の1つを挙げるとすれば「人の力で稼ぐ」です。
ヒトモノカネのうち、特に「ヒト」が重要で、社長がやるぞ!と一たび拳を振り上げたなら「オ~ッ」と地面が割れんばかりの賛同が欲しいビジネスです。
しかし現実は厳しいもので、チェーンビジネス歴は長いのに、人手不足が続いているという企業も多く、社長とともに拳を振り上げ続けてくれる仲間がどんどん集まってくるチェーンはほんの一握りです。
その理由は何なのか?
こちらのケースでその理由を1つ挙げるとすれば、社長自身がチェーンビジネスという組織の一員という立場をよくわかっているから、「人が集まってこない呪い」にかかってしまっているです。
チェーンビジネスに身を置いていた人にはこんな癖が身についています。
物事を考える時 「何かをベースにしよう」
チェーンビジネスの強みといえば、なんといっても事例共有、情報共有、ケーススタディです。
他業種と比較して、事業所の数は多いですし、働く人達の数はスタッフもあわせると圧倒的です。その為、組織内では様々な考え方が生まれては、多方面に挑戦することができていて「その手があったか」と仲間達に影響を与えられては「僕も、私も」と触発されていきます。
やがて「じゃあ今度はこうしてみよう」「こんなのはどうかな?」など、気になる事例を元に自分色に肉付けしていこうというアクションが当り前となっていき、その連鎖はチェーン組織ならではの強みとなり、業績を上げていけるようになります。
よって、チェーンビジネスのヒトの要素をマスターできている企業は圧倒的です。
波に乗れさえすればどんどん好循環となっていき、業績を跳ね上げていくことができるからです。チェーンビジネス以外のヒトの数が少ない企業の社長は真似したくてもできません。
ところがそんなチェーンビジネスだからこそ弱点が存在します。
それが「無から有を生み出す」という行為。
既に存在しているモノや事例を強化するのはお手の物ですが、何も無いところから創造していくのは滅法苦手という方が多いのです。
この時点で、敏感な方はもう「ああ、それはマズイね」とお気づきのことでしょう
人がバンバン集まってくる組織とは、そこで働いている人達が
「この会社じゃなきゃダメ」
「こんな会社他にないぞ」
など、代えが効かない企業です。
重要なのは独創性、オリジナリティーです。
既存の何かをもじった、真似した、どこかで見た事、聞いた事のある事例に手を加えてみた、などの行為は、厳しい表現になってしまいますが「けっこうどの会社でもできちゃうこと」なのです。
社長の繰り出す一手が、どの企業でもできている、やれている事ばかりでは、ドンドン人が集まってこないのは当たり前なのです。
チェーンビジネスの一員としての立場に詳しく、それに慣れてきている社長ほどオリジナリティーを打ち出すのが苦手です。
しかし、同じチェーンビジネスの社長でも、どんどん人が集まってくる企業を築ける社長もいらっしゃいます。
そんな社長は「何かを参考にしよう」「それに肉付けしてみよう」という行為を好みません。
むしろ嫌います。
「ライバルなんか見たくもない」
「自分の考えがブレてしまう」
という考え方です。
だからこそそんな社長が築く会社で働いている人達は
「私はこの会社でしか働きたくない」
「他で働け? 冗談じゃない」
「他社に移ったりしたら、きっと私は今より不幸になってしまう」
「ここが私の最高の楽園なんだ」
という気持ちで働けているのです。
呪いにかかったまま、社長をスタートするのは大変です。
完全に呪いを解くまでの道のりは平たんではないからです。
しかしこう捉えてはいかがでしょうか?
「どの社長も呪いにかかってるのならチャンスじゃないか?」・・・と。
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