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エコーチェンバー現象とは? ~自組織の方針決定プロセス~

SPECIAL

東南アジア進出コンサルタント

KJグローカル経営事務所

代表 

国内企業向けの、東南アジア市場進出の戦略・実務コンサルタント。大学卒業後20年以上の間、メーカー・商社・公的機関にて海外ビジネス(主に東南アジア・中国)に従事。東南アジア市場におけるマーケティング・拡販業務を成し遂げた後、大手自動車関連メーカーにて同社中国初の販売会社(ディストリビュータ)を立ち上げ、人事・財務・企画等の管理部門の統括などを歴任。その後、食品/アルコール・伝統工芸品・医薬品/医療機器など多岐に亘る業種のアジア市場開拓支援を経て、2018年にKJグローカル経営事務所を設立。現在同社代表。

Echo-chamber Effect(エコーチェンバー現象)という言葉をご存じでしょうか? 「エコーチェンバー」とは音響の実験を行うための部屋のことで、壁面等を加工して長い残響が生じるように設計された【残響室】のことです。その残響室での効果をたとえて造られた言葉が、この「エコーチェンバー現象」。自分と同じ意見があらゆる方向から返ってくる「反響室」のような狭いコミュニティーにて、同じような意見を見聞きし続けることにより、自分の意見が増幅・強化されていく現象を指します。2016年の米国大統領選挙でのトランプ氏当選を機に、一気にこの言葉が広まりました。

遠い国のことではなく、我々の身近な日常でもこの現象は多く見られます。一番典型的なのはインターネットの社会です。一般的に多くのSNSは参加や離脱が自由であり、同じような価値観を持つ人々だけが集まりがちです。同じような考え方の人々だけと交流すると、自分たちの意見が「普遍的」に受け入れられると【錯覚】。その結果、極端に先鋭化した意見を集団で持つようになる傾向が見られるのです。また、このような現象は政党支持者、カルト集団などにも時折見られます。

当事務所に相談に来られる海外展開「企業」にもそのような傾向が充てはまります。資本力もあり、一定水準以上の優秀な人材がいるにもかかわらず、なぜか海外ビジネスが上手く行っていないクライアント企業が多くありました。お話を聞けば、A社はこれまで長年一緒にやってきた自社内の限られたメンバーの知見だけで全てを決断、B社は狭い業界内での川上・川下企業にだけにヒアリングをして、共に「海外向けの新製品(商品・サービス)を開発し販売を始めた」とのこと。しかし、(海外市場のニーズを全く把握できておらず)満を持したつもりで海外市場に送り出した製品が全く売れず、当事務所に相談に来られたのです。

これらの企業に共通する点は、経営判断する際に「俎上に載せる情報」があまりにも【画一的】であり、組織としての視野が【狭すぎる】ということです。一個人としてもそうですが、従業員の雇用も守るべき立場にある経営者や組織幹部の皆さま方にとって、【(自身の周りにはない)多様な意見や考え】に触れる機会を「意識的・定期的」に持つことは極めて重要です。皆さまの会社や組織は如何でしょうか? 自己満足的な決断に陥ってはいませんか? ゴールデンウィークの時間を有効に使って、改めて「自社・自組織の方針は残響室の中だけ」で決められた偏ったものになっていないか?振り返ってみては如何でしょうか?

 

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