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歓喜の「賃貸リノベ」その1

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

「罪滅ぼし」の出張大工

 

長女が就職してひとりで暮らすことになり、ワンルームマンションの部屋を借りました。もう10年以上前になります。高校を卒業して東京の美容専門学校に通っていたのですが、その間は寮母さんのいる寮で食事付きの生活をしていました。

娘たちのようにシンケンの家に住み慣れた子は、居心地レベルもさることながら機能的で美味しいご飯のつくれるキッチンがあたりまえになっていました。しかし、東京周辺でそのような物件に住もうと思うと、恐ろしい家賃水準になります。

そこでお父さんは、DIYで改修する前提で物件をチェックし始めました。化ける可能性のある部屋を「素材」として探し出すわけです。鹿児島に連れてきて以来土日の休みが少なくて、ほとんど遊びに連れていってあげられないうちに大きくなってしまった感があります。

娘たちには「シンケンの家を建てて屋根裏に念願の自分の部屋を」というところまでで精一杯でしたが、長女は6年あまりしか住めなかったのです。いざ家を出ていくとなると申し訳ないような気もしてきて、ワンルームの改修に挑むことにしたのです。

 

↑賃貸契約前に「ふたりが自炊できる部屋として成立するか?」見立て中

 

↑「手づくり家具」は鹿児島の自宅で加工しました

 

↑いったん仮組みしてから分解、発送しました(ご苦労さんな事です)

 

 

共通する「原理原則」

 

鹿児島に移り家を建てるまでは、ずっと賃貸物件での生活でした。「現状復帰のできる賃貸改修」は、大学卒業後のワンルームを手始めにずっと挑戦してきましたので、素人ながらも慣れていました。

そのテーマは共通して「ちゃんとご飯がつくれるキッチン」でした。大学を卒業するまでは実家で生活していた自分自身が、就職を機にひとり暮らしを始めるにあたって食費問題は切実だったからです。親から借金して車を買ったり敷金払ったりしていましたので、会社の近くに部屋を借りて昼ごはんも自炊する体制でないと苦しかったのです。

あっという間に自分の子供が同じような境遇になってしまいました。時が経つのは早いものです。「食べる」ことが詫びしいのはかわいそうです。せめて、お父さんの手で「ちゃんとご飯がつくれるキッチン」にしてあげようと思ったわけです。究極の空間利用のためには「手づくり家具」でカスタマイズするより手はありませんでした。

 

↑入居前の様子①インスタントラーメンぐらいしか作れなさそうなキッチンです

 

↑定員3名の小さなテーブル(椅子はスツールでがまんです)

 

↑テーブルは折りたたみ式です(スツールは冷蔵庫の上に収納できます)

 

↑玄関側から見た「手づくり家具」(上部は両面使いになっています)

 

↑キッチン側から見た「手づくり家具」(これでちゃんとご飯つくって食べられそうです)

 

↑カーテンを閉めると脱衣スペースが仕切れるようになりました💕

 

↑テーブルと反対側の「手づくり家具」側面は掃除機の定位置になっています(左のドアはトイレです)

 

 

 

期待を超えるための「ひと工夫」

 

借りた部屋は洋室8帖のワンルームですが、3歳年下の妹も1年ほどは同居させるつもりでした。彼女も東京の製菓専門学校を目指していたのです。1年東京で勉強して次の1年はフランスで学ぶコースを希望していましたので、諸々コストを考えて1年だけの同居生活です。

8帖ワンルームにふたり住まえるようにせねばなりませんので、必然的にベッドは2段ベッドになりました。そもそもお布団をしまう場所など最初からないのですから。鹿児島の家のローンを払いながら娘たちの家賃も増える訳ですから、お父さんも必死です。この頃、コスパの素晴らしいIKEA製品にも詳しくなりました。

IKEAでは無垢の木製製品が格安で手に入るのがありがたい。組立て作業は大変ですが、木製だと色々とカスタマイズしやすいのです。部屋とサイズが合っていさえすれば、ベースユニットとして大変重宝します。

 

↑入居前の様子②ちょうどIKEAの2段ベッドがここにピッタリでした

 

↑2段ベッドの下とハシゴの右側に収納スペースを足してあります

 

↑上のベッドスペースにも電源とパソコンカウンター完備

 

↑2段ベッドと「手づくり家具」はパソコンカウンターで繋いであります(下からみたところ)

 

↑ハシゴの踏板が薄すぎて土踏まずがあまりに痛いので、角材を足して踏み面を広くしました(赤い囲い部分)下のベッドにもパソコンカウンター完備です

 

↑垂直のハシゴはあちこち持たないと上り降りしづらいことが判明。手すりだらけに

 

↑ほどなく上のベッドまわりはカオスな状態に(喜んでくれてよかったです)

 

 

 

「賃貸」あるある

 

借りた部屋には洗面台がなく、ユニットバス一体のパターンでした。女子は「おめかし」に使うものも多いので、手持ちの残材でドレッサーをつくってプレゼントしました。IKEA製なら、こういうものを買っても安いのですが、いかんせんサイズがデカすぎるので断念しました。

 

↑お父さん自作のドレッサー(照明・コンセントつきです)

 

↑開閉式の三面鏡になっています(至れり尽くせりです)

 

入居前に現状の写真を撮りました。改修の計画にも必要でしたが、退去の際に現状復帰や費用負担で揉めないためにもこれは重要です。この部屋は、入居前に床の張り替えをしていませんでした。前の入居者の痕跡がそれを物語っていました。賃貸物件ではよくあることです。

ひどい場合は、前の入居者から回収した床の張り替え代金を浮かしておいて、後の入居者からも床の張り替え代金を取るというケースもあります。こういうやり方は結構常態化しているので、警戒が必要でした。(最近では法整備が進んでひどいケースは減少していると思われますが)

しかしこの部屋、案の定「悪徳」でした。娘の退去時に、クロスや床の張り替えなどの「二重請求」をしてきたのです。結果として、敷金の返還を受けられなかったのです。大家さんは同じ建物の1階に住んでいて「とってもいい人」のようでしたので、娘の部屋に出向く度にお土産を届けたりしていました。が、「悪人」でした。(不動産屋が「悪人」だったのかもしれませんが)

お父さんとしては、一応プロの端くれとして「正々堂々」と民事訴訟を提起、見事敷金を全額取り返しました。とてもいい勉強になりました。。。

 

↑入居前の様子③入居前に床の張り替えをしていないという証拠写真(訴訟にも使えます)

 

 

 

社長のところは子供さん独立されましたか?子供さん、あたらしい住まいでちゃんとご飯つくって食べてますか?

 

 

 

 

 

 

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