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社員が意見を出さない、そんな会社の5つの特徴。そして、その対策とは?

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

「昔は、社員を叱りつけていました。」
この日は、当社のコンサルティングへの推薦の声を頂くための、特殊工事業M社長へのインタビューです。

この言葉を聴いてインタビュアーの女性が驚きます。
「すごくお優しそうですが・・・」

M社長は言葉を続けます。
「そのため、社員達はいつもびくびくして、雰囲気の悪い会社でした。それが、今ではどんどん意見を出してくれるようになりました。」

インタビュアーは、訊きます。
「具体的に何をしたのですか?」

M社長、「具体的には・・・」と、その後の言葉が出てきません。

具体的に何か?と訊かれて答えられない、これは正しい反応です。
改革に成功した社長の正しい反応なのです。


社員が意見を出さない理由は大きく5つあります。
この5つが当てはまる会社は、間違いなく「社員が意見を出さない会社」となります。

理由その1.仕組みが無いため、現状が見えない
案件の流れが、見えるようになっていません。
また、一つひとつの業務の基準が解りません。
そして、その業務の目的やその手順の意図を知るすべはありません。

何がどうなっているのか、解らないのです。
解らなければ意見することが出来るはずありません。もしかすると他の誰かは知っており、知らないのは自分だけかもしれません。

私は、この状況をこのようにご説明しています。
「基盤となる仕組みが無いから」

その2.未来が解らない
事業をどう伸ばしていくのか、仕組みの何を強化するのか、という会社の未来が解りません。
そのため、自分が何に取り組めばよいのか、何を考えればよいのか、考えることができないのです。

その結果、昨日と同じ作業を、今日もすることになります。
多少の改善は出来たとしても、先回りしての改善や準備はできません。
そして、意見も出せないことになります。

その3.機会が無い
定例化された意見交換する場が会社内に存在しません。
会議というものが無いのです。
そのため、「疑問に思うこと」や「アイディア」を社長や上司に出すことに、非常にパワーが要ります。「いまよろしいでしょうか」と許可を得る必要があるのです。

また、会社が何に取り組んでいるのか、他の部署が何をやっているのかを、知る機会が無いのです。会社のその多くは「社長の思い付き」で動いているように感じてしまいます。

その4.しゃべらせない
そのうえ、自分が話す機会がありません。会議の場、朝礼の場、そこでは、社長と一部の社員が、殆ど口を開いています。
その他多くの社員は、何も準備をせずにそこに参加し、それを浴びているだけなのです。そして、「突然」意見を求められます。

情報を得るすべもなく、自分が発言するために準備する時間もなく、まともな意見など出せるはずがありません。少なくともその本人は、そう思っています。

その5.社長の態度
促されて何とか発言するものの、その内容を聞いて、社長は不満そうです。
「なぜそんなことを言うのか」、「そんなことしか言えないのか」
そして、自分の発言に対し、社長から早口での説明があります。
自分が責められている感じがします。また、他の社員がそうなっている姿を見てきました。

以上、この5つです。
この5つによって「社員が意見を出さない会社」となっているのです。
逆を言えば、これと逆の状態にすれば、社員は意見を出すようになるということです。


「うちの社員が意見を出さない」と悩む社長は、少なくありません。
その時に、直接的にそれに向かってはいけません。
コミュニケーション研修、飲み会の開催、社員との面談の実施。

どれも無いよりは有ったほうがマシですが、これらでその課題が解決することはありません。一時は改善されたとしても、それは会社としての「仕掛け」になっていないために、必ず元の状態に戻ることになります。

これらをつくる必要があります。
基盤となる仕組み、未来のことを書いた経営計画、定例化された会議、分業(役割分担)の機能。

それも、これら全部を一緒に構築していくことで、最大の効果を発揮することになります。その結果、最速で、「社員が意見を出す会社」に変えることができます。

どれか一つの導入でも効果はありますが、決して強力なものではありません。
また、どれか一つで成り立つものでも無いのです。それぞれが支え合い、結び付きながら、それらは成立、機能するのです。

これらを獲得することは、やはり大変です。いままでの長い歴史によって染みついた会社のすべてを変えることになるのです。

その取組みの最短の期間は、2年となります。
会社を本当の意味で変えるのには、2年が必要になります。

冒頭の特殊工事業のM社長は、この変革を見事やり切りました。
最初の1年で作り切り、そして、次の1年で完全に自社のものにしました。

そして、会社は完全に変わってしまいました。
何かあると、その関係者が集まり意見を出し合っています。
定例の会議では、中堅の社員が進行係を担い、若手が疑問やアイディアをどんどん出しています。そして、パートの女性陣も遠慮なく口を開いています。

そこにあるのは、全く違う会社なのです。

その変化の様子を聞いて、インタビュアーも熱を持ちます。
「いい会社ですね。私も、そんな会社で働きたいです。」(一同笑)

そして、訊きます。「具体的に、何をやられたのですか?」
その質問にM社長は困った表情をつくります。「何をと言われても・・・。」

この反応が正しいのです。
これが変革を遂げた社長の正しい反応です。すべてを繋げながら構築してきたのです。
何か一つを挙げることができたのであれば、それは間違いです。
本当の変革は起きていないのです。

そして、この過程で、5つ目の変革が起きたのです。
社長が変わったのです。

社員に怒ることもありません。
人に向かうことはなく、原因は仕組みにあるという考えに完全に変わったのです。

その結果、M社長の発言も、そして、顔つきも変わったのです。
そこには、穏やかに話す紳士がいます。

ちなみに、次がM社の年商の変化です。
3期前は4.5億、変革に着手した年に5.5億、そして、2年目で7.0億です。
今期は8.0億を予定、そして、翌期の10億円が見えてきました。
変革に着手した年の末に事務所移転も行っています。

いま、M社はピカピカの会社になっています。

(まとめ)

  • 社員が意見を出さない5つの理由、「仕組みが無いため、現状が見えない」、「未来が解らない」、「機会がない」、「しゃべらせない」、「社長の態度」。
  • 基盤となる仕組み、未来のことを書いた経営計画、定例化された会議、分業(役割分担)の機能。何か一つだけの施策で会社が変わることはない、これらを繋げて構築すること。
  • その過程で社長は大きく変わる。その期間は2年。それで、会社を全く違う会社にすることができる。

 

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