年商数億企業は、早く大きくなって、ある規模を超えることが重要
専門コンテンツをネットで販売しているF社長が、事務所に来られました。
F社長は、「先生、つまらないものですが。」と紙袋を私に手渡します。
「ありがとうございます。」と私も受け取ります。
席に座るとすぐに、F社長は話を始めました。
「先生、その後、思ったほど伸びていません。」
事前に頂いた資料を見ると、確かにここ2年間の売上げの伸びが鈍化しています。
しかし、利益は十分過ぎるほど出ています。
そして、広告費はそれほど多くはありません。
私は、F社長が「のんびり病」に掛かってしまっているのではないかと予測を立てました。
この病気にかかって、多くの「一度は成功を掴んだはずの事業家」がその後没落する姿を沢山見てきました。
事業展開には、スピードが大切です。
その理由は大きく二つあります。
一つは、シェアを取るため、です。
その業界で一番知られている会社、
その分野で一番使われているサービス、
我々は、そのポジションを取りに行っているのです。
一度シェアナンバー1を取ると、それを後続企業がひっくり返すことは、難しくなります。
また、シェアナンバー1企業の利益率は、ナンバー2以下の企業と10%以上の差が付きます。
そして、二つ目の理由が次のものになります。
それは、早く大きくするため、です。
私は、こちらの理由の方が、大事だと考えております。
それも、年商数億円規模の会社にとっては、特に、です。
そのため、当社のクライアントには、強くお願いをしています。
「早く大きくなることを、本気で考えてください」と。
年商数億円規模の企業は、早く大きくなって、ある規模を超えることが重要です。
ある規模を超えると、すべてが変わります。
事業モデルはもちろんのこと、組織も、そして、事務所も、すべてが変わります。そこで働く社員のレベルもその動きも、そして、社長と社員の関係も変わります。
また、世の中からの自社や自分の扱われ方も変わります。
そこを一度超えると、社長自身の「当たり前」レベルがガラリと変わります。
世のすべてが違うように見え、完全に生まれ変わったような感じがします。
そして、それが元に戻ってしまうことはありません。
(一人でも多くの社長に、「ぜひこれを経験してほしい」と私は日夜励んでおります。)
逆を言えば、それを超えられないと、いつまでも「年商数億社長」から脱することができないのです。年商数億円社長の考え方、そして、その動きのままなのです。
その境を一気に超えたいのです。一気とは、2、3年で、です。
だから、「早く行きましょう」、「スピードが大事」と言っているのです。
この提言には、次の言葉を添えます。
「今の勢いがあるうちに・・・」
いつまでも、そのビジネスの絶好調期間は続かないということです。
ビジネスには、必ず競合がいます。
そのビジネスが素晴らしいものであり、一人勝ちできるものであるほど、競合は現れます。容赦なくその事業モデルもマーケティング手法も、そして、料金体系まで真似をしてきます。
そして、その相手は、自社よりも大きな会社なのです。(その市場が大きいものであれば、中堅企業や大手企業が、それを真似し、参入してきます。)
また、顧客のニーズも変化してきます。世の中全体の志向が変わるのです。いまウケているサービスがこの先も同様にウケることも、その当たっている集客方法がこの先も通用することの補償は、何も無いのです。それどころか、5年後には確実に、それらは廃れているのです。
今の勢いのあるうちに、超えてください。
ここで超えないと、また次、このような「当たる機会」がつくれるかどうかは解りません。
それどころか、無い確率の方が高いのです。
世の多くの社長は、順調に行きだすと「のんびり病」にかかってしまいます。
事業モデルができた、仕組みもできた、そして、売上げが伸びはじめた。その中で、「競合の存在」や「顧客の変化」を忘れてしまうのです。そして、その業績の伸びと良さに、のんびりしてしまうのです。その結果、勢いは無くなり、その境を超えられないことになります。
私は、冒頭のF社長はその状態にあると予測しました。
事業モデルの改革に成功して5年が経っています。
F社長は頑張って2年で改革のプロセスを終えました。あれから、すでに3年が経っています。
数字を見ると、確かに、この2年間の売上げの伸びが鈍化しているのが解ります。
それでも十分な儲けは出しています。
そして、十分な利益を出して、税金を納めています。
私は、この点をF社長に突っ込みました。
「F社長、今の御社には、納税している余裕など無いはずですが。」
その理由は、先ほどの通りです。いまのF社に必要なのはスピードなのです。
シェアを取ること。そして、早く大きくなることです。
特に、F社のような「ネット」関係の事業ではスピードが重要になります。その当たっている期間は、長く無いのです。すぐに真似されます、すぐに廃れていきます。
今は、全パワーを掛けて、大きくしていく時なのです。
F社長は、このことを思い出したようです。そして、言われました。
「集客1件当たりの単価が高くなっていたので、広告費の投下を抑えてしまいました。」
それで、その理由が解りました。
この段階にあるF社にしては、広告費が少なすぎるのです。
この段階では、広告の効率が悪くなっても投じ続けることが必要です。
今はシェアが欲しいのです、大きくなりたいのです。それが実現できれば、いま投じているものは、すぐに回収できます。
また、今の売上げで十分固定費を賄えているのです。これ以降の売上げは、すべて利益になります。今は、ガンガン広告費を投じなければならない段階なのです(当然、改善は続けます)。
F社長は、言われました。
「マーケティング業者と担当者の意見を聴いてしまいました。」
これは、彼らが悪いわけではありません。
彼らは、「1件の獲得単価が倍以上になっている。また、これ以上かけてもそれほどの増えはない」と提言したのです。それは、彼らの立場から言えば正解です。
しかし、経営という視点で考えた時には、それはNOなのです。
社長としては、その彼らからの提案に対し礼を言い、次の指示を出さなければなりません。
「効率の悪いのは目をつむり、このまま続けてください。いまは、顧客を1件でも増やすことを優先してください。」
または、別の集客手法を試すことです。
早く大きくする。今の勢いで、境を超える。
そして、更に次に進むことです。
この今のビジネスでの儲けを「種銭」にします。
獲得したビジネス構築や仕組みの作り方という「ノウハウ」もあります。
優秀な人材もいます。
次のより大きなビジネスに進むのです。
より大きな市場を取りに行きます。
年商10億の次は、年商30億円のステージに上げるのです。
それが、この段階にきた御社には出来るのです。
世のベンチャー企業を見てください、
一つの事業でステージを超え、そして、それを元手に多事業化やより大きな市場に進んでいます。
だから、スピードなのです。のんびり病にかかっている暇など無いのです。
F社長、「先生、参りました。これ以上言わないでください。私は、その大きな野望を忘れていました。次を目指します。」と、両手の掌をこちらにブンブン振りながら言われます(笑)。
ちょうどそのタイミングで、当社の女性スタッフが、F社長のお土産のケーキを皿に出し持ってきてくれました。ここで、少しのブレークタイムを取ることにしました。
(まとめ)
- 事業展開する際には、スピードが大事。特に、真似されやすい、廃れやすい事業では。
- その勢いで、境を越え、ステージを上げること。その際には、多少効率が悪くても広告をガンガンかけること。納税している暇はない。
- その伸びている状況に満足せず、その大きな欲と、その銭とノウハウを元手に次のステージに挑戦すること。
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