経営者なら金融機関主催の商談会を最大限活用すべし!
「金融機関から商談会のお誘いをいただいたのですが、ウチのように社長一人だけの会社でも参加して意味があるのでしょうか?これまで、一般消費者向けのBtoCしかしたことがなく、企業相手のBtoBができれば大変ありがたいのですが、どうしたらいいかも分からないので、初歩的なことから教えてもらえませんか?」──とある食品関連事業を営む社長からのご相談です。
【商談会を活用しないのはもったいない!】
経営者の皆さんならば、取引金融機関からの商談会や取引先紹介(=ビジネスマッチング)のお誘いが、これまで何度もあったと思います。
そして、一回または数回参加してみたものの、思ったような成果もなく・・・
お誘いがあっても何かと理由をつけてお断りしているうちに、金融機関からのお誘いも来なくなったという状況ではないでしょうか?
結論から申し上げますが、「社長一人の会社であろうとなかろうと、金融機関主催の商談会はどんどん活用して商談の機会を増やし、業績拡大に役立ててください!!!」
さらに一歩踏み込んで、商談会に参加されていないバイヤー企業との取引を金融機関にリクエストして、取引先紹介(=ビジネスマッチング)をしてもらうぐらいでないと、もったいないです。
【商談会で社長が認識しておくべきこと】
この食品関連事業を営む社長には、下記についてご説明させていただきました。
<金融機関主催の商談会と一般的な商談会の違い>
①立ち位置が逆
金融機関主催の商談会では、バイヤーが金融機関の大会議室に陣取っているところに、商品やサービスを売りたい企業が参加する形態です。一般的な商談会では、商品やサービスを売りたい企業が出展しているところに、バイヤーが参加する形態なので、全く逆の対応になります。
ちなみに、今回ご相談いただいた社長が参加された商談会では、食品と雑貨についての商材を探しているバイヤーを集めていましたので、食品と雑貨を製造・販売する事業者が対象となっていました。
②事前書類審査の有無
金融機関主催の商談会では、バイヤーの要望が事前に開示されており、その内容を踏まえて商品やサービスを売りたい企業がエントリーシートに記入したものを提出、バイヤーが商談の可否を決定します。
このため、バイヤーの関心が得られない商品やサービスの場合には、商談のテーブルにたどり着くことができません。
一見、厳しいように思われるかも知れませんが、ニーズのミスマッチを無くすことで、双方の無駄を無くすことができるので、非常に有効なやり方だと思います。
一般的な商談会では、商品やサービスを売りたい企業が出展している会場に、バイヤーが足を運び商談をするか否かを現地で判断しますので、会場の自社ブースに来てくれることを願って声がけをすることになります。実際やったことのなる方ならわかるのですが、強靭な精神力を要求されますので、覚悟を決めてください。
③取引先のフィルタリングの有無
金融機関主催の商談会では、参加要件として、「金融機関との取引がある取引先であること」となっていますので、取引先のフィルタリング(=選別)が行われています。
預金取引だけであっても、金融機関所定の審査がありますので、バイヤーは「○○銀行、○○信金の取引先」ということで安心して商談に臨めるのです。
特殊な場合を除いて、一般的な商談会では、取引先のフィルタリング(=選別)が行われていません。出展料さえ支払えば出展できますので、取引先のフィルタリング(=選別)はバイヤーが実施する必要があります。
<商談会での心構え>
何のために商談会に参加するのか?!ゴールは何なのか?!という目的を明確にした上で、ゴールに到達するための戦略を立てます。
例えば、今回の社長の場合、一般消費者向けのBtoCしかしたことがなく、企業相手のBtoBにチャレンジしたい。そのために、「誰もが知っているような大手企業との新規取引を獲得して、その後に裾野を広げていく」という戦略を立てました。
そのためには、競合他社の商品と比較して、唯一無二の存在であることをきちんと説明することで、バイヤーとして「当社がこの商品を取り扱わなければいけない。他社にこの商品を扱わせる訳にはいかない。」と危機感を持っていただかなければなりません。
どのようなプレゼンをするのが効果的なのか?を考え、競合他社の商品と比較して、唯一無二の存在であることを、ポジショニングマップなどを使って説明する戦術を実施することにしました。
<商談相手のニーズ把握>
当然のことなのですが、商談相手のニーズを把握し、それに合わせて「刺さる提案」をしなければ成果にはつながりません。
金融機関主催の商談会であれば、バイヤーにどのようなニーズがあり、どのような商品やサービスを求めているかが事前に開示されていますので、簡単に確認できます。
一般的な商談会では、出展した商談会に足を運んでくれたバイヤーの情報を収集し、商談中に質問をすることで、バイヤーにどのようなニーズがあるかを確認しなければなりません。最近では、事前に商談時間や場所を予約できるサービスを実施しているところも増えてきているので、是非とも活用したいところです。
<事前準備>
商談会に参加する前に、商談する相手企業の情報を事前に収集することで、商談の流れをどのようにするか決定します。
例えば、今回の社長の場合、バイヤーの品揃えや店舗の立地、バイヤーの顧客層などの情報を収集することで、事前に開示されているバイヤーの要望・ニーズがどのような背景から出てきているかを確認できます。
要望やニーズの背景を知ることで、それらを踏まえたエントリーシートを提出できますので、商談の可能性が高められるのです。
「商談可」の吉報を受け取った後は、自社の商品やサービスについての特徴を整理し、パンフレットやプレゼン資料を準備します。
この時に留意すべき点は、今回の社長の場合、「美味しい」のは当たり前であり商談の前提条件なので、競合他社の商品と比較して、どのような点がどのような理由で唯一無二の存在であるのかをプレゼンしなければならない点なのです。
実際、この点に留意してプレゼンの準備をした結果、最大手百貨店のバイヤーの方からは、「ターゲット、用途が明確であり、商品の特徴もあるので前向きに検討したい。」とのコメントをいただきました。
<商談時の対応>
商談はバイヤーとの真剣勝負の場です。
真剣勝負の場に、「持ち帰って検討の上で、ご回答させていただきます。」などという余裕はありません。
バイヤーからは、容赦ない条件交渉や無理難題を突きつけられることが多いのですが、その場で一刀両断の対応をしなければ、契約にたどり着くことはできません。
「持ち帰って検討の上で、ご回答させていただきます。」などと回答した時点で、「あっ、この会社はこの程度なんだ。取引しても仕方ないね。」とバッサリ切り捨てられてしまうのです。
このため、商談会では、最高経営責任者であるあなたが先頭に立たなければなりません。そして、バイヤーからの要望や質問には即答するのです。バイヤーから、「わかりました。今回の商談の内容を検討させていただき、回答差し上げます。」と言わせなければならないのです。
万が一、どうしても出席できないのであれば、全権を委任した担当役員を代わりに出席させてください。そして、全権を委任した以上、その担当役員がバイヤーに対して回答した事項については厳守してください。
<商談後のフォロー>
商談後は、必ずフォローをしてください。
商談で話した内容を中心に、メールや電話でフォローすることで、バイヤーの検討状況を確認するとともに、信頼関係を構築し、長期的なビジネスチャンスに繋げることができます。
【あなたが社長として商談会を活用するためにすべきこと】
<とにかくやってみる>
もし、あなたの会社が金融機関主催の商談会に、一回または数回参加してみたものの、思ったような成果もなく・・・
お誘いがあっても何かと理由をつけてお断りしているうちに、金融機関からのお誘いも来なくなったという状況であれば、とにかく商談会の申し込んで見ましょう!そして商談会をどんどん活用して商談の機会を増やし、業績拡大に役立ててください!!!
<何も難しいことはない>
これまでご説明してきたように、あなたが社長として普段行っている「トップセールス」と何ら変わるところはありません。むしろ、主催する金融機関が商談の場に同席してくれたり、バイヤーの反応や検討状況などもフォローしてくれたりすることがあるくらいなので、通常のセールスよりも格段にやりやすいはずです。
また、プレゼンの資料なども、今一度見直して、作り直すことで営業部隊のツールをレベルアップすることもできるようになります。
さらに、最高経営責任者であるあなたが最前線に立って、大手バイヤーを相手に真剣勝負を挑むことで、同席した社員を奮い立たせることにもなるのです。
<どうせやるなら、もう一歩踏み込んで>
金融機関の支店長や担当者が同席してくれることで、さらに金融機関側でのあなたの会社の商品やサービスへの理解度が上がり、商談会に参加している企業以外でも同様のニーズがありそうな企業への取引先紹介(=ビジネスマッチング)をしてくれるように依頼することもできるようになるのです。
実際に、今回の社長の場合は、大手バイヤー4社との商談後、同席してくれた金融機関の担当者に「このような商品なので、ポジショニングマップで示したような唯一無二の商品を探しているような大手バイヤーを紹介して欲しい。」との依頼をし、金融機関の担当者からは「承知いたしました。本部を活用して善処いたします。」との回答を得ております。
はじめての商談会参加で、「さらに一歩踏み込んで、商談会に参加されていないバイヤー企業との取引を金融機関にリクエストして、取引先紹介(=ビジネスマッチング)をしてもらう」ことを実践しているのです。
<イメージを膨らませよう>
この会社の社長の頭の中には、次のような展開が既にイメージされています。
①(商談会活用による)大手バイヤーとの商談定例化
商談会に参加する大手バイヤーとは、商談会に定例的に参加することで商談を定例化して機会を増やす。
②(商談会不参加の大手バイヤーへの)取引先紹介による商談定例化
商談会に参加しない大手バイヤーには、金融機関の支店長や担当者を経由して取引先紹介(=ビジネスマッチング)を依頼することで商談を定例化して機会を増やす。
③大手バイヤーとの新規取引獲得後、中堅・中小バイヤー宛て個別商談の実施
商談会や取引先紹介を活用して大手バイヤーとの新規取引を獲得した後、その実績をベースに特徴のある中堅・中小バイヤー宛て個別商談を実施することで、唯一無二の商品を扱っていただくバイヤーの拡大を目指す。
④生産上限の3倍程度の販売先を確保することで盤石の販売網を構築
この混沌とした世の中で、天災・人災などのリスクにも備えなければならず、仕入先の安定稼働を確保するためには、販売先の拡大・確保は必須条件。生産上限の3倍程度の販売先を確保することで、盤石の販売網を構築する。
⑤販売網を構築することで、単価引き上げをしやすい環境を整え、原材料・人件費などの高騰に備える
これまでも、何度か原材料・人件費などの高騰に伴い、販売単価を引き上げたが、その際に交渉がまとまらない販売先もあった。販売網を生産上限の3倍確保することで、交渉がまとまらない際には、他の販売先でカバーできる環境を整える。
⑥他の商品のクロスセルを検討・実施することで、売上高10倍超を目指す
単一商品だと、時代の変化や消費者ニーズの変化の影響を直接的に受けるので、唯一無二であるが異なる分野の商品のクロスセルをしていくことで、売上・収益拡大だけでなく、強くて稼げる会社を目指すとともに業績の安定化を狙う。
【まとめ】
金融機関主催の商談会では、一般的な商談会と異なりメリットが多数ある。
実際にやることとしては、あなたが社長としてやっている通常の「トップセールス」と変わらない。
最高経営責任者であるあなたが最前線に立って、大手バイヤーを相手に真剣勝負を挑むことで、同席した社員を奮い立たせることにもつながる。
さらに、さらに一歩踏み込んで、商談会に参加されていないバイヤー企業との取引を金融機関にリクエストして、取引先紹介(=ビジネスマッチング)をしてもらうことも可能。
大手バイヤーとの商談定例化などにより、販売網の拡大による単価引き上げ環境の整備、他の商品のクロスセルを検討・実施することで、売上高10倍超も視野に入ってくる。
あなたは、社長として金融機関主催の商談会を活用されていますか?
商談会で大手バイヤーとの商談機会を増やし、最高経営責任者として真剣勝負を挑むことで、社員を奮い立たせるとともに、強くて儲かる会社にしていきましょう。
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