中小企業のオーナー社長ほど経営を分かっている経営者はいない
「朝令暮改」という言葉があります。この言葉は社長(最高責任者)の特権のようなものです。社員から「うちの社長はすぐに言うことが変わる」「勘弁してほしいよな」などと、陰口をたたかれても気にしてはいけません。
なぜ朝令暮改になるかと言えば、それはあなたが会社のことを一番考えているからです。いろいろ考えた結果、指示したことがコロッと変わってしまった。こんなことはよくありますね。
理論で考えて、実践してみたらうまく行かなかった。だから方針を変えた。それでいいじゃないですか。理論で考えてそのあとは知らん顔。そんな社長よりよっぽどましです。
社員には社長のそのような事情は分かりませんし、知らせる必要もありません。堂々と朝令暮改しましょう。
オーナー社長は経営権も資本も所有しています。したがって、その会社の中では絶対の存在です。
その代わり、その分責任も大きいです。銀行から個人保証をとられ、会社がうまく行かなければ全財産がなくなります。売上、利益、資金繰り、社員教育、取引先、銀行、後継者問題・・・、挙げだしたらきりがありません。
そんながんじがらめの中で経営をしているのです。順調に行っているときもあれば、何をやってもうまく行かない時もあるでしょう。それでも経営をしていかなければなりません。
当社のお客さまで、こんな会社の社長がいます。
その方は、ごく普通の会社員でした。会社員としてはとても優秀な方で、若くして昇進もしていましたし、期待もされていました。このままいけば、将来は経営幹部とまで言われていた方です。
ところが突然会社を辞めたのです。理由は、後継者として今の会社に入社するためです。
実は、奥様の実家が会社を経営していました。その会社を経営していたお義父様が、ある日病気で亡くなりました。前社長のお義父様は亡くなり際、娘婿に、会社を託したいと懇願しました。「苦労を掛けるが頼みたい」と。
そこで会社員をやめ、後継社長として奥様の実家の会社に入社したというわけです。
前社長の言う通り苦労の連続です。すべての責任が肩にのしかかります。業績のいい時も悪い時もあります。しかも全く畑違いの業種の会社に入社しましたので、右も左も分かりません。会社には古参の従業員もいます。
「会社経営ってこんなに大変だったのか・・・」。こんな風に独り言を言うようになっていました。
入社してすぐに社長ということではありませんでしたが、数年社長業を学んで社長に就任です。
「さあ、自分の経営をするぞ」と思って、いろいろ試してみるのですが、うまく行きません。そのたびに指示を変えます。周りの重役や社員からは「朝令暮改社長」と言われる始末です。
しかし、です。
いろいろ試しているうちに、何か一つ成功の芽が出ました。社長はその芽を大切に育てます。そしてやがて大きな花を咲かせたのでした。その会社の収益の柱に育ったのです。
朝令暮改社長と周りから言われながらも、めげずに頑張りました。
なぜ頑張れたのでしょう? それは、自分以上に会社や社員のことを思っている人間はいないと考えていたからです。
言ってみれば、社長以外は全員外野です。外野でヤジを飛ばしているも同然です。ヤジを飛ばすだけの人に、何ができるというのでしょう。
この会社は、社長の「いろいろ試してみて間違っていたらやり方を変える」やり方で成功しました。社長が朝令暮改だったから成功したのです。
朝令暮改を恐れてはいけません。間違っていたらさっさと指示を変える。そんなの当たり前です。
それともあなたは、朝令暮改を恐れて間違ったまま会社を経営するつもりですか? 理論に頼らず、実際にいろいろやってみることが大切ですよ。
自信を持ってください。中小企業のオーナー社長ほど経営を分かっている経営者はいません。
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