海外ギフト、あの国では21兆円超のギフト市場が伸長を続けている!
「園さん、ギフトって海外市場進出!みたいなことは難しいんですかねえ?」
先週のある日、次に書く本の出版が決まっている出版社の社長に、本のタイトルや中身のテーマ設定のアイデアを相談していた時のことです。
その言葉を聞いて、私はハッと思い出しました。
日本で作られた製品は、世界中で質の高いものであることは私が言うまでもなく広く認知されていますよね。今では代表的な家電製品や自動車などの工業製品だけでなく、物流品質の進化もあって、日本産の農産物輸出も今大きく伸びています。
私がギフト会社に勤務していた頃、中国都市部にギフトの実験店舗を出していた時がありました。売りは日本のギフト商品を単にたくさん並べることだけでなく、ジャパンクオリティのラッピングなど、質の高いギフトサービスでした。
しかし、あえなく2年で撤退・・・。
ギフトビジネスの海外でのチャンスは本当に無かったのだろうか?
海外によく行かれる方や、海外在住経験のある方にはご存知かもしれませんが、日本と海外では歴史、文化、生活習慣の違いからギフトの文化も大きく異なります。
例えば、アメリカ。
ギフトの本場・・・とも言える国ですが、盛んに行われるホームパーティでは集まる人々それぞれ様々なギフトを持ち寄ります。日本ではお店がラッピングしてくれるケースが多いですが、アメリカではギフト商品を自身でラッピングすることが圧倒的に多いそうです。
私自身、アメリカ本土には長らく行けていませんが、昨年の11月に久しぶりにハワイに遅い夏休みを取って行きましたが、この時期はハロウィンも終わり、クリスマスシーズン。ノードストロームなどの百貨店、生活雑貨も扱っている大型スーパーには、ギフトラッピングに使う包装紙、リボン、クリスマスカードなどのアイテムが、日本のソニプラやLOFTのような店舗とは比べ物にならないほど、圧倒的な種類と量が陳列されていました。
1年間を通じて年中、クリスマス用品を扱う専門店もアメリカにはたくさんあります。クリスマスに関しては宗教的なことがあるので当然かもしれませんが。
結婚祝いや出産祝いのようなハレの日のギフトは、日本と同じようにあります。日本では贈る品物を先に相手に伝えることはほとんどありませんが、アメリカでは贈ってもらう人が、贈ってくれる相手や仲間に先に欲しいものを伝えておく・・・という文化があることはご存知の方も多いでしょう。祝いの品をもらったけど、どこかトンチンカン・・・みたいなことを防げる、現実的なギフト文化です。
さて、近くの巨大市場である隣国・中国のギフト文化はどうか?
そして、先に述べた、私が以前に勤めていたギフト会社の中国進出が、たった2年での撤退を余儀なくされたのか?
最も売りにしていた、”ジャパンクオリティの質の高いギフトサービス” が全く受け入れられなかったからです。中国だけではなく東南アジアで全体もそうですが、ギフト文化がない訳ではなく、大いにあります。
しかし、諸外国から見ると、過剰にも見えるほどの日本のようなギフト包装までは必要なく簡易な袋に入れて口を紐がわりのリボンで絞る程度で十分だったりします。
日本と海外のどちらが ”いい” ”悪い” ではなく、国・民族ごとの歴史・ギフト文化の違いから来るもので、もしあなたの会社の商品を海外でもギフトとして利用してもらいたい、海外のギフト市場に打って出たいなら、まずこの歴史・ギフト文化の違いを理解することが、最初の第一歩になります。
日本のギフト市場規模はここ数年10兆円で、微増を続けています。(コロナ禍で少し落ちましたが、今は回復傾向です)
一方、中国のギフト市場規模はどれだけあるのか?
コロナ禍においても2021年には21兆5000億円と日本の約2倍、2018年は15兆6,700億円でしたので、コロナ禍であったにも関わらず、日本以上にネット通販が急成長している中国ギフト市場はここ4年で4割も伸びており、人口比では日本の10倍以上、13億人の国内経済圏を持つ中国のギフト市場の伸びしろは、まだまだあるでしょう。
全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会が2021年に行った、中国市場での日本のコメ・コメ関連商品の需要性を高めることを目的とした、中国国内で日本産包装米飯およびコメ加工品のプロモーション事業、中国とのオンライン商談会ではこのような需要に向けて、箱入りの米加工品の詰合せギフト、贈答品として提案したそうです。
「中国では、春節・中秋節を中心に家族・知人にギフトを贈る習慣があり、また企業が福利厚生として従業員にギフトを贈るケースも浸透している。近年ではパッケージのデザイン性が高い商品や、高級品など、量より質が重視される傾向が強まっている。」というギフトシーンを狙って。
日本では見られない、法人から個人へのギフト文化の習慣です。
海外における単なる消費では、その国の人々の所得、年齢、性別、ライフスタイルなどによって欲しいモノ、足りないモノは何か?でニーズは探れるでしょう。
一方、ギフト向けとなると商品が優れていることは大前提として、ギフト特有の文化に沿うかどうか?が大きなキーになります。
「うちもギフトで海外進出を狙いたい。」という社長、この夢のある”大海原”がどんな歴史とギフト文化であるか。ここ、すごく大事です。
当社でも今後、海外ギフト市場開拓の可能性拡大に向けた調査、取り組みを進めてまいります。
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