大手企業を新規開拓したければ取引金融機関の「お墨付き」を活用すべし!
「これまで、個人相手のBtoCを中心に販売してきたのですが、人流・物流が戻ってきたので、販売数量を稼げる大手企業との新規取引を獲得したいのですが、なかなかハードルが高く厳しい状況です。何かよい方法・手段はありませんでしょうか?」──とある消費者向け食品業の社長からのご相談です。
人流・物流が戻ってきているので、販売単価の引き上げ・販売数量の拡大を目指して大手企業との新規取引を望まれる社長が増えてきています。
経営者であるあなたが会社の利益を増やすためには、次の4つの方法しかありません。
この中で、即効性と効果が見込めるのが①販売単価アップと②販売数量アップですので、この社長のご相談は理にかなっているのです。
一方で、経費削減による利益増加を目指すのであれば、③変動費率ダウンと④固定費ダウンも視野に入ってきます。特に、採算ギリギリの状況となっているのであれば、この2項目は一番最初に必ず対応して、収支を黒字確定にしていただく必要があります。
【利益を増加するための4つの方法】
①販売単価アップで売上増・利益増を目指す(効果:大)
②販売数量アップで売上増・利益増を目指す(効果:中)
③変動費率ダウン(=限界利益率アップ)
④固定費ダウン
今一度、あなたの会社の商品・サービスがきちんと儲かっているか否かを確認してください。限界利益で固定費をカバーできているか否かが損益の分かれ目となります。
【損益の3状態について】
<収支黒字の状態>
<収支トントンの状態>
<収支赤字の状態>
【利益を2倍にするために一番効果的な方法は?】
<設定条件:収支黒字の状態>
<利益倍増:販売単価10%アップでクリア>
<利益倍増:販売数量14%アップでクリア>
<利益倍増:変動費33%ダウンでクリア>
<利益倍増:固定費17%ダウンでクリア>
この事例は、限界利益率70%、固定費率60%という条件設定での数値ですので、ご自身の会社の実態に合わせてシミュレーションしてみてください。(変動費や固定費の区分が難しい場合には、顧問税理士・会計士などに確認してください。)
実際にシミュレーションしていただくと、ご理解いただけると思いますが、利益を増加するための4つの方法の中で一番クリアしやすいのは、販売数量の増加ではないでしょうか?!
つまり、大手企業の新規取引を獲得することで、販売数量を増加させることが利益倍増の近道なのです。
【大手企業の新規取引を獲得するために】
我々のような中小企業が、大手企業との新規取引を獲得する際には、越えなければならない壁がいくつもあります。
特に、上場企業やその子会社クラスになると、アポイントすら入らない状況が当たり前というのが正直なところではないでしょうか?
<新規取引基準の壁>
上場企業では、新規取引先のいろいろな基準があります。
資本金●●百万円以上、業歴●●年以上、最低取引ロット●●千個以上、etc・・・
このため、上場企業と取引可能な企業は、大手・中堅以上の企業がほとんどとなります。
では、中小企業が大手企業の新規取引を獲得することはできないのでしょうか?
確かにハードルは高いのですが、基準に未達な項目を補完することができれば、取引することも可能なのです。
例えば、資本金基準や業歴基準であれば、その上場企業と取引するに値するということをキチンと説明できればクリアできることが多いです。また、最低取引ロットであれば、工場などの生産設備を最新のものに更新したり、第二工場を新設することで対応可能になります。
しかし、これまでは個人相手のBtoCを中心に販売してきた社長であれば、上場企業との新規取引をどうやれば獲得できるのか、その基準をクリアできるのか想像すらできなくても仕方ないと思います。
<銀行・信金による「お墨付き」>
こんな時に役に立つのが、銀行・信金などの「お墨付き」なのです。
先ほどの資本金基準や業歴基準であれば、銀行・信金から「お墨付き」をもらうことで、上場企業での決裁文書で「資本金基準や業歴基準未達であるが、●●銀行・信金からの紹介案件であり取引検討したい。」という一文だけで、アポイント&面談が可能になったりします。
また、最低取引ロットであれば、工場などの生産設備を最新のものに更新したり、第二工場を新設する設備資金を銀行・信金が「事前に融資稟議を審査部に申請・決裁」することで、「現状、最低取引ロット未達であるが、●●銀行・信金からの設備投資資金稟議認可済であり、取引開始時には最低取引ロットクリア予定。」という決裁文書を回付してもらうことが可能になるのです。
実際に、今回ご相談のあった消費者向け食品業の社長の事例が、これに該当します。
これまでは個人相手のBtoCを中心に販売してこられたので、BtoBの販売実績はありません。当然ながら、上場企業との新規取引も想像すらできなかった状況でしたが、とある信金の「お墨付き」をいただき、上場企業中心の商談会にエントリーすることができました。
<大口取引先や社長友人・知人による紹介>
上場企業の大口取引先から紹介してもらうことや、社長友人・知人からの紹介で、いわゆるトップセールスのようなかたちでアポイントや面談が入ることもあります。
ゴルフ接待などで、DX(デジタルトランスフォーメーション)などのシステム対応の話題が出た際な、実際に導入した企業の社長からの評判を聞いて、アポイントや面談につながることがあります。
<代替が効かない独自の技術・ノウハウ>
これら以外にも、国内だけでなく、海外も含めて独自の技術・ノウハウを持っている中小企業では、他に代わることができる企業がありませんので、このようなことが可能になります。
他社で代替が効かない独自の技術・ノウハウがあれば、「高付加価値化・高単価化」でドンドン成長して、結果的に大手企業になることが多いです。
【何よりも大切なこと】
確かに、銀行・信金などの「お墨付き」や、大口取引先や社長友人・知人による紹介をあなたの会社が得ることができれば、上場企業の新規取引基準の壁を越えることが可能になります。
ただし、それ以前の問題として、あなたの会社が「お墨付き」や紹介を得られるだけの、しっかりとした強くて儲かっている企業になっていなければなりません。稼ぐ力もなくて、組織を仕組みで回すこともできないようでは、だれも「お墨付き」や紹介をしてくれません。
営業利益率12%超を稼ぐために、高付加価値化・高単価化することで「儲かるビジネスモデル」に変革し、従業員が自ら考え、対話し、行動する「自走する組織」を構築しなければなりません。
その上で、社長の夢を具現化した「事業未来図」を羅針盤とし、毎年、着実に利益を上げて億円単位の利益を稼ぎ出す「儲かる商売の仕組み」で強くて儲かっている会社にならなければならないのです。
あなたは、「社長としての夢」を従業員に語っていますか?
そして、その夢の実現のために、儲かるビジネスモデルと自走する組織を構築する努力・工夫をしていますか?
社長の熱意が、従業員だけでなく、銀行・信金、大口取引先や友人・知人をも動かすことを認識して、相手があなたのために動いてくれるよう情熱的に活動していってください。
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