成功する経営計画に不可欠な数値目標の考え方
中小企業白書によると、経営計画を作成したことがある法人は64%と、3分の1近くの法人が経営計画書を作成したことがないという結果が出ています。
しかも、経営計画を作成した背景や動機の1位は「補助金申請で必要となったから」です。つまり、多くの中小企業にとって経営計画が形式的なものになっているのです。
経営計画は、経営理念や行動指針など会社が大切にしている「考え方」の部分からはじまり、中長期のゴールに達成するための「戦略」や「戦術」がベースになります。
会社が目指すゴールをより具体的なものにするのが「数字目標」です。この「数字目標」をどれだけ正確にイメージできるか、社長自身がどれだけ腹落ちしているかで、未来が変わってくるといっても過言ではありません。
なぜなら、多くの場合、「数字目標」がそもそもなかったり、あるいは「年商○億円突破!」などのざっくりとした売上目標だけだったりするからです。
そもそも数値目標自体がなければ、社長自身も「自分の会社は、どれだけの利益を出して、お金を残していくべきなのか?」がイメージできません。多くの社長は、毎年、顧問税理士に作成してもらった決算書を見て「今年は儲かった」「今年は苦しかった」という「結果」だけをみて同じことを繰り返します。
「現状維持でOKだし、将来の不安は何もない…」ならば、そのままでよいでしょう。
ですが、もし「今よりもっと社員の給料を上げたい!」「安心して設備投資をしていきたい!」「地域ナンバーワンの会社になりたい!」という夢や志があるのであれば、結果としての財務から、卒業しなければなりません。
経営の質を高め、社員や家族・取引先などを含めた社長を取り巻くすべての人々の豊かな暮らしを夢見るならば、今すぐにでも財務中心の会社づくりが必要です。
財務とは、財産管理の実務であり、社長と会社にお金が残る仕組みづくりのことをいいます。そして、財務のポイントは、ゴールから逆算して考えることです。
経営計画を財務の視点から考えるならば、次のような考え方になります。
例えば、「借入金の返済で困らないようにしたい!」なら、必要な利益を逆算で考えることがスタートです。もし、毎年700万円の借入金返済があるならば、税金負担を考慮して、700万円÷70%(1-30%)=1,000万円の税引前利益が必要です。
この1,000万円の税引前利益を獲得するために、利益率から逆算して、売上高の最低ライン、つまり「必達売上目標」を数字で逆算して考えられるようになることが大事なのです。
残したい利益から逆算して、最後に残るのが売上目標になるわけですが、この売上目標には、「必達売上目標」という絶対的に達成したい目線のものと、「理想売上目標」の二種類のものがあります。
「必達売上目標」は、絶対に達成したい目線のものです。借入金返済のため、最低限担保したいというレベルです。社長の精神的な安定を担保するものであり、金融機関向けなど「失敗」や「未達」を嫌がる利害関係者向けです。
「理想売上目標」は、チャレンジを伴う目線のものなので、社長だけでなく全社員のモチベーションアップが目的です。より高みを目指すことで成長ができるものであり、社内向けです。
社長には財務の視点から、会社の未来を数字で具体的に考えられるようになることが最も重要です。そのためには、まず自分の会社のお金の流れを社長自身が数字で具体的に語れるようになることが不可欠なのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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