無人ショールームと有人ショールーム。何がどう違うのか?
先日、コラムを読んだという方からこんな電話がかかってきました。
「先生のコラムを毎回読ませていただいていますが、ちょっと気になるコラムがありますので質問したいです」
「無人ショールームでは集客できないし、契約はなおさらできないと書かれていました」
「ウチは無人ショールームを作ろうと考えているのですが、どうしたらいいもんでしょう?」
話を詳しくお聞きしたところ、コロナ対策とコスト削減、また、お客様に気軽に見てもらうという目的でショールームの無人化を考えているとのことでした。
コラムは書き言葉ですので真意がうまく伝わらないこともあり、なるべく丁寧に書こうと心がけています。しかし、そうすると文章がくどくなり、読み手にとっては読みにくい文章になってしまいます。
この辺りが悩ましいのですが、要するに、無人ショールームを否定しているわけではなく、「無人化するときは注意をしてね!」ということを強調したかったのです。
それでは、何をどう注意すれば良いのかということですね。
以前のコラムにも書きましたが、ショールームで契約を勝ち取るには「三種の仕掛け」が不可欠です。三種の仕掛けとは「おもてなし」「ズレの修正」「驚きと感動」のことを言います。
おもてなしとは、一般的にはお茶を出すとか心遣いをするとかという意味ですが、ショールーム営業では「私はあなたのことをよく知っていますよ」ということをお客様に分かってもらうことです。これにより、お客様に安心感を与えます。
ズレの修正とは、通常こちらの製品とお客様が持っているイメージがずれています。このズレをショールームで修正することを言います。要するに、製品にお客様の目線を合わせてもらうことです。
驚きと感動とは、ショールームで自社製品やサービスを説明するのに、様々な表現方法を使ってお客様と驚きと感動を共有することを言います。
以上、三種の仕掛けでお客様との契約を確実にしていくというものです。
ところが無人ショールームの場合、この三種の仕掛けを仕掛けにくいというデメリットがあります。おもてなしも、ズレの修正も、驚きと感動も、人と人で完成するからです。文字や動画でも伝わりますが、人が直接伝えるのに勝るものはありません。
したがって、コスト削減をコロナで理由付けするのは根本的に間違っているということです。これはお客様目線ではなく、自社目線で戦略を考えているということになります。したがってダメだと言っているのです。これは消極的な無人化です。
「じゃあどうしたらいいの?」ということになりますが、アバターを使った接客方法、もしくは必要な時だけ遠隔で接客する方法があります。これは積極的な無人化といえるでしょう。
ある中小企業が開発したシステムを体験したことがあります。館内に入ると接客用に置かれた鏡の中から突然アバターが現れ、製品説明の概要をしてくれます。また、別な場所にいるアドバイザーが遠隔操作で受付・接客をするというものです。
この方法は、無人でありながら「見込み客を放っておかない」という意味では優れていますし、見込み客を本物かどうかふるいにかけることができます。加えて気軽に見てもらえるため、利用価値は非常に高いです。
一方、見込み客の願望や悩みといったコアな情報は、アバターや遠隔では得にくいといったデメリットもあります。そこは接客方法を工夫することで多少は解消できるでしょう。システムは道具ですので使い方次第だということです。
どちらにしても一長一短がありますが、要するに、何を目的にしているかによって有人、無人を選択する必要があります。
本物の見込み客をショールームに集客し、商談まで持ち込むのか、それとも多数の来館者の中からコストをかけずに見込み客を見つけ出すのか、端的に言えばそういう違いだと言えるでしょう。
すなわち、有人ではショールームに集客する前に本物の見込み客を見つける。無人ではショールーム集客時に本物の見込み客を見つける。こういった違いがあります。同じなのは、本物の見込み客を集客して、その後商談をするということです。
いかがでしょう。あなたは本物の見込み客をどのように見つけていますか? そしてその後、商談に持ち込めていますか? まさか、違う人をショールームに集めたり、勝手に見てくださいなんてことはないですよね。
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