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CES視察 スマートホームはより実用重視の時代へ変わる

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

前回に引き続きCES2023視察のダイジェストをお送りします。今回はスマートホーム用の各種デバイスのトレンドについて、です。

ここ数年、スタートアップ企業を多く生み出しつつ様々なホームデバイスを世に送り出してきた業界ですが、今回のCESでは今までの様な「目新しいデバイスを作って売るだけ」という時代は終わったと感じました。業界全体も新しいネタがほぼ尽きている様で、「斬新なものよりは、きちんと役に立つもの」という方向性の情報や意見があちこちから出されていました。

その筆頭が、Matterという共通規格です。従来スマートホーム用のデバイスは、全部独自規格を前提に作られてきました。その中でもいわゆるテック系の大企業がAI搭載スピーカーでデバイスを音声操作できるように機能を提供し、そこに多くのデバイスメーカーが参加するように個別に働きかけてきたわけですが、その場合「メーカーが違えば動かない」という言わばユーザー不在の事態を招いてきました。

それが今回是正される動きが出てきたことは、大いに歓迎するべき動きだと思います。これが思惑通りにきちんと普及していけば、例えば温度センサーで計測した温度によって、他社のエアコンを作動させるなどのことが簡単に実現できます。(現在でもメーカーが同じだったり、少し技術的に工夫すればできますが、それが普通にできるようになる、という意味です。)

つまり、デバイスの間でのデータ交換ができ、相互に通信できるようになる、ということになります。少し嫌みを込めた表現をすれば・・・

ユーザーが普通にできると思って購入したのに、実はメーカーが違うからできなかったことが、共通規格の登場によってようやくできるようになってきた

という「本来のあるべき姿に近づく」ということになります。今までがいかにメーカーの独りよがりだったか、ということを改めて感じますね。

さて、共通規格以外にもCESではスマートホームに関する様々な情報を得てきました。

例えば・・・今後ホットになるかもしれないデバイスは・・・

スマートサンシェード(LCDで調光するタイプで電源を必要としないもの)

水道消費マネジメント

目的別に専門機能を持ったカメラ

中身の解る冷蔵庫

IoTトイレ(用を足すと健康状態が計測される)

スマートメーター

等だと思われます。また、聞き慣れないテクノロジーですが、「睡眠の積極的マネジメントを実現するデバイス」が今後活発に発表されるだろう、という説も聞きました。睡眠時の温度や環境を測定するだけではなく、良い睡眠を得るために積極的に制御する技術になるだろうという予測です。睡眠障害を持っている人は潜在的に非常に大きな数だと思いますので、社会貢献度は高い分野ですね。

また、今回の展示でみつけた面白いものをいくつか紹介すると・・・

スマート圧力鍋(スマホでレシピを選択し、指示された材料を入れたらあとはお任せな鍋)

スマートレシピアドバイザー(レシピと人数を入力すると必要な材料に光でスポットライトを当てて必要な量を指し示す)

プール内部自動清掃ロボット(底面だけでなく側面にも張り付いて掃除してくれる、自動掃除機のようなもの)

スマート除雪機(GPSを搭載し、あらかじめ設定された範囲を自動認識しつつ、自動掃除機の様に自律的に動いて除雪してくれるもの)

等々、実に多種多様になってきています。今まで「温度を測る、明るさを測る、侵入者を検出する・・・」といった単機能なものが比較的多い分野でしたが、より利用者の生活を積極的に便利にする道具が今後続々と出てきそうですね。

 

このようにスマートホーム領域については、今までが「アーリーアダプター用のギミック」だったものが完全に普及の時代に突入したと思わせる情報が沢山ありました。業界と市場の成熟が徐々に進んでいる分野ですので、見守っていくことはとても勉強になります。今後もウォッチングしながら適宜情報をお伝えしたいと思います。

 

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