人にしかできないこと
先日、弊社主催で「Power Library」(実践型勉強会)を開催しました。ご参加の皆様、ありがとうございました。第1回となった今回は、僭越ながら私自身が講師として登壇し、経験に基づいた、現実的な店舗経営に関するノウハウをお話させていただきました。
普通にやれば半日はかかる内容でしたが、1時間半に圧縮し、相当な駆け足でお伝えしたのでご参加の皆様は消化不良になったかもしれません。セミナー後にお送りした資料にて復習していただければと思います。
さて、セミナーでお伝えしたかったのは、「仕組みの重要性」と、それ以上に重要な「仕組みに魂を入れる」ことです。これはスピリチュアルな話でも何でもありません。どんなに良くできた仕組みでも、動かすためには経営トップの想い、つまりビジョンが絶対的に必要であり、それがなければ仕組みは単なる「無用の長物」です。むしろ弊害の方が大きいかもしれません。
「他所で上手くいった仕組み」を多くのコンサル会社が導入支援しています。ですが、割と少なくない確率で上手くいかない会社が出てきます。例えば、「集客のための○○」や「効率化のための○○」「人材育成のための○○」など、仕組み自体は非常によくできていたとしても、まったく機能せず、ムダな買い物になるパターンはよく聞きます。
そもそも会社のステージと仕組みのレベルが合っていないことも理由の一つですが、仕組みだけお手軽に導入すれば解決すると思っている経営者が多いのも事実です。要は「他人事」なので成果が出るはずもありません。ただでさえ忙しい現場に新たな仕組みを導入して、「あとは任せた」では現場の負担ばかりが増え、逆に退職者が増加し存続の危機になる可能性すらあります。
良くできた仕組みは素晴らしい成果をもたらすかもしれませんが、それだけで勝手に動くことはありません。人が介在しなければ絵に描いた餅にもならないムダなものです。結局、人は「人の想い」や「行動」に影響を受け、そこからようやく動き始めます。お金やモノにも多少は魅力を感じますが、やはり最後は人なのです。
最近、ChatGPTなどAIの急激な進化が話題です。専門家ではないので詳しい話はわかりませんが、どうやら閾値を突破したらしく、アウトプットのレベルが飛躍的に上がったとのこと。これから加速的に人がやっていた仕事を代替する場面が増えてくるでしょう。
ただし、です。それでも人には人にしかできないこと、魅力があります。この点、今後はどんな業種でも「人である強み」を活かした高単価な商品・サービスの提供が最も大きな差別化要因となります。
「人である強み」の最たるものは将来の姿を思い描けることです。つまりビジョンが描けること。この点、個人的に「経営」が最もやりがいのある仕事だと思っています。経営は人にしかできない仕事の代表格なのです。
そして「経営」は社長のものだけではありません。経営という言葉は、もともと何もないところに畑を耕し、人々が生活できるようにすることを表していました。要は自ら人生を切り開くこと。つまり将来をつくっていくことが経営そのものです。
一人ひとりが自分なりの「将来をつくる(ビジョン実現)」ことが経営です。当コラムをお読みの皆さん。表面的なノウハウばかりに惑わされず、まずは自分自身のビジョンを何となくでも想像してみてください。最初は小さな種でも、それは自分にとってかけがえのないものです。自分サイズで育てていき、実りある人生を過ごしていきましょう。
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