「私なんかが・・・」と陰に隠れたがる人達が「私だからこそ」と我先に動くようになっていく組織が守る【人事の原則】とは?
「こんな発言をしちゃう人に社長を任せるなんて、考えられませんよ」
ある社長が呆れておっしゃいました。
ご覧になったのは毎回1つの企業に注目し、どんな企業なのか? 売りはどこなのか? 業績が良い理由などを掘り下げていくビジネスマン向けのメディアです。取材に受け応えをするのはその企業の社長なのですが、その人が「社長人事」を言い渡された時の心境としておっしゃった感想が
「え?私が社長? いや~あの時はびっくりしましたよ まさか私が?なんて・・・」
だったからです。
会社の業績をうまく伸ばしていけない企業には共通点があります。
その1つとして挙げられるのは、社内で働く人達の多くが「受け身」であることです。
彼らの言動に多いのは
「私なんかがとても・・・」
「もっと適任者がいるのでは?」
「今抱えている仕事が忙しいので・・・」
語尾に「・・・かも」とつけたり
人よりも前に出る行為を嫌い、何か理由を付けては目立たないように、指をさされないようにと隙あらば人陰、物陰に隠れようとします。
中には「〇〇さんがやるなら」とか平気で口にする人もいれば、「8割の人達がやって安全そうだったら私もやりますけど?」という思惑が見え見えの方も。
陰に身を隠したまま文句だけは言うという恥ずかしい状態にも気が付かず「あなたは何様ですか?」と言われてもしょうがないくらい口だけは一人前という方もいます。
こんな人にはいくら注意してもなかなかわかってもらえません。
反省してもらえるどころか見えない場所で「あいつムカつくよな」などと陰口教の布教活動に専念されている可能性さえあります。
会社は立派なビジネスマンの集団のはずなのに、まるで小学生の低学年?と思ってしまうレベルの人がいます。「みんなが手を挙げてるから、仕方なく自分も手を挙げました」並みの立ち振る舞いに頭を抱えてる経営者もいらっしゃるのではないでしょうか?
店舗ビジネスの場合、その状態の行く末に得られるのはお客様の満足ではなく失望です。
積極的な販売をしようともせず、やっているのは「ただ待つ商売」。
基本的な接客が出来ているか?も疑問です。店舗の清掃状況などチェックしようとするだけで「きっと褒められる状況ではないだろうな・・・」と実施前から頭が痛くなることもあるでしょう。
「せっかくいらっしゃったお客様にまた来てもらいたい」と全員で積み上げて来た会社全体の努力も虚しく、お客様はリピーターになるどころか
「〇社の〇店はヒドかったよ」
「モノは無いわ、店舗は汚いわ」
「従業員にはこんなことを言われたんですよ、信じられますか?」
「私は二度と行かないから」
など、せっせと悪い噂を流されてしまう人を増殖させてしまうといった最悪の結果になってしまうことも。
そうならないようにと考えているリーダーもいらっしゃるのではないでしょうか?
できれば組織で働く誰もが
「それは私がやります!お任せ下さい」
「こんなものを事前に用意してみたんです。いかがでしょうか?」
「●●さんは凄いよな~、私も負けてられない」
など、言われなくとも自ら動いてくれて、先手を打ち、ライバル達の後れを取りたくないと前へ前へと貪欲に突き進んでもらえる組織でありたい・・・と。
ただ人の心はそう簡単に変わる物ではありません。
ある社長がおっしゃいました。
「私は創業以来、何十年も欠かさずに『自分が組織を引っ張る気持ちでやりなさい!』と何度も何度も言い続けてきてるんですよ」
「それなのに、未だに『誰かが動いたら私も』という人が多すぎて」
また、ある社長は
「何か打ち出す度に『動く人は1~2割』という状況に腹が立ってしょうがない!」
と、動かない人達をどう懲らしめてやろうか!と敵意を剥き出しにされている方も。
では実際に「次々に私だからこそ!」と誰もが勝手に前へ前へと突き進んでいくスタイルに変わっていく流れを確立でき、他社と大きな差をつけられている企業は何が違うのでしょうか?
ここでマネジメント面において1つ挙げられる違いは「人事の原則」の違いです。
多くの企業の人事にありがちなのは、発令が先で「本人の意識は後からついてくるでしょ」という人事先行スタイルです。
例えば「〇〇店の店長が抜けてしまうから、次はあの人に任せようか」とか「発注担当者が欲しいから明日から君がやってみなさい」です。
こういったプロセスで懸念される反応は「難色を示され、仕事の精度が落ちる」です。
「私が・・・ですか?」
「え? ちょっと考えさせてください」
「自分にはまだ早いです」
「責任が発生する仕事はやりたくありません」
など。
こうなってしまっては「君しかいないんだ」とか「君ならできる」「会社に期待されてるんだよ」などといくらフォローしたとしても「本人にすでに宿ってしまったやらされ感」はそう簡単に拭えません。
運よく「わかりました、やります」とその場で快諾?を得られたとしても、もしかしたら本人にはこんな意識が新たに芽生えているかもしれません。
「会社は私が頼りなんだ」
「私が居ないとこの会社は何もできない」
「しょうがないからやってあげるか!」
もしも本人にこんな意識があったとしたら、本当にその組織は個人の「私はこうしたいんだ!」というわがままよりも「会社の方針が第一だ!」と優先してくれるのでしょうか?
「今こそ〇〇しなさい!」
という緊急を要するタイミングにおいて、はたして
「え~、やりたくないな~ ま、誰かやるだろう、私は無視しよう」
などと「会社の命令を突っぱねられることは絶対に無い!」・・・と言い切れるでしょうか?
一方、誰もが前へと突き進んでくれる組織の人事はといいますと、その逆の「意識先行」スタイルです。人事を発令する前に該当者の意識はすでにその役職を任せてもおかしくないレベルになっています。
逆に任命する側として日々感じてしまうのは
「〇〇さんはもっと上の立場に一刻も早く就かせるべきだ」
「あの人に更に上の仕事を任せたら、もっと稼いでくれるに決まってる」
「発令が遅れてしまうほど会社が損をしてしまうぞ」
それは例えば、外回りに行かせれば何件も契約を取ってこれるエース社員に電話番をさせているような感覚です。会社側から見れば
「なぜあの人に未だにそんな仕事をさせているんだ!」
と言いたくなるほど。
そしていざ「君がやってみるか?」と発令したら「え~私がですか?」などの反応はあり得ません。本人は「この日を待ってました!」と言わんばかりにバンバン結果を出し始め、それがしばらく経ちますと
「私が居なくてもこの組織は稼げるようになりました」
となり、会社として「またあの人の昇進を考えなければ・・・」となっていくのです。
当然「君が社長をやりなさい」と言われて「え? まさか私が?」などという反応もあり得ません。
働く誰もが「私にもっと上の役職をいただければもっと稼いで見せますよ!」という意識先行の人事スタイルへと自動的に変わっていく仕掛けが組織内に機能しているからです。
毎日社長がいちいち熱弁する必要もありません。
人には他の生物にはない最強の武器があります。
それは感情です。
感情はマイナス面に作用してしまうこともありますが、いざプラスに向かった時は凄まじいエネルギーが得られます。
ビジネスにおいて、その感情をうまく融合させられる企業が他者を圧倒できるのは必然と言えるでしょう。
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