急成長組織に変えた、あるリーダーが疑った常識とは?
「頼むから君は口を閉じててくれないか」
まるで洋画のワンシーンのようなセリフで、さすがに現実にはそんなセリフを言う人なんていないんじゃないの?と思っていましたが、先週とある場で「言いたいな~」とつい感じてしまいました。明らかにその人にとっては荷が重い場だったのに、発する言葉は全て無理をされている背伸びばかりで虚しい空振りの連発だったのです。
我が組織を急成長させたいと願うトップには「この人にリーダーを任せるのは時期尚早か?」「荷が重く、潰れてしまわないだろうか?」と悩み、踏みとどまってしまうタイミングがあります。それでも思い切って任せた時、その人がメンバー達からどんな反応が得られるか?その結果は3つのパターンが挙げられます。
1.何故かわからないけど新リーダーからは魅力を感じる、この人についていきたい
2.イヤ、無理、この人のもとでは仕事したくない
3.新リーダーは背中を見せるタイプ。この人のもとではずっと楽が出来そうだ
組織のトップとしては、各部署のどのリーダーもメンバーからは1のような反応を得て欲しいところでしょう。ここで大事なのは「1の結果が得られるように組織全体として手を打てているか?」です。
こんな事を言いますと、もしかしたらどなたかに「伊東さん、そんな手を打たないままの組織なんてあるんですか?」とつっこまれそうなほどシンプルな事ですが、実はそんな企業はゴロゴロ存在します。
ここで質問です。
Q:貴方はある組織のリーダーです。その組織に新しく入ったAさんには仕事をいち早く覚えてもらいたい、一人前となって稼ぎ続けられる人になって欲しい。貴方はどのようなマネジメントを選択しますか?
多い回答としては
「つきっきりで直接指導する」
「まずは実践。成功も失敗も含め経験を積んでもらう」
「課題を与えて一緒に検証するというサイクルを何度も重ねる」
などではないでしょうか?
行く末には「君はある程度覚えたし、結果も出し始めているからあとは自力で稼ぎなさい」と言えるくらいに育ってもらえれば、組織としての総合力もUPできることでしょう。
仕事を覚えてもらうには、この「直接指導」という選択肢は一番早く、しかも確実に育てられるところが魅力です。
しかし何故かマネジメント面となるとこの「直接指導」を選択しない企業が多いのです。
ある企業の例ですが、会社として新たな部署を発足し、そのリーダーにBさんを任命しました。その後Bさんが企業の思惑通り、社長のイメージする方向へと導ける方針に沿ったマネジメントを行っているのか?などを確認しようとすることは無く、ほぼ任せっきりでした。彼の上司達は当時こういう心境だったのです。
「きっとBさんはうまく指導しているはずだ」
その後はBさんの部署はそこそこの結果を出せていたので、会社としても
「ほら、彼を任命した我々の目には狂いはなかった」
というスタンス。
しかし、半年ほど経過してからは目標数値が全く達成できなくなってきたのです。
「Bさんの部署がなぜ結果を出せないのか?」
当人を責めるのはもちろん、会社としての課題と取り上げるものの、未達成の原因は「売り方」にあると見ていたのです。誰も「Bさん自身のマネジメントに問題があるのでは?」と捉えていなかったのです。
では、いつ経営幹部らがBさんのマネジメントに問題があると見たのか?
それはBさんの部下から会社に対して衝撃的な密告があってからでした。
世間に流出してしまうと会社がひっくり返ってしまう程の問題です。
「B君、君は普段からそんな異常なマネジメントを日々行っていたのか!」
会社は懲戒を発令。Bさんの代わりにCさんをその部署のリーダーとして任命されました。ところがCさんが二の轍を踏まないようにと会社が行った対策はと言いますと
Cさんに「Bさんはこんなマネジメントをしていました。君はそういうことをしないように」という注意喚起のみだったのです。
その企業ではその後も
「どのリーダーが普段からどんなマネジメントをしているのか?」
それは謎のままが当たり前だったのです。
かつて似たような組織に、いち社員として働いていたKさんは疑問を持ちました。
「業務を教えるという行為には手取り足取り、マンツーマンが一般的なのに、何故マネジメントだけは丸投げが当たり前となっているのだろうか・・・?」
Kさんはのちに社長となってから自分が束ねる組織において、独自に編み出した「マネジメントのマネジメント」ができる仕組みを適用し、数年後には優秀な人が優秀な人を次々に生み出せていく良いマネジメントの連鎖が続く組織を確立できました。大躍進が続いている理由はここにあります。
業務は手取り足取り教えている
しかしマネジメントは「信じてるぞ」
はたしてそんな組織は本当に「躍進」していけるのでしょうか?
「本当にこれでいいのだろうか?」
現状に対するささいな疑問は、もしかしたらその後の大きな進歩につながる「きっかけ」となるのかもしれません。
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