専門家は使い倒せ
先日、ある地域で小売業を営む経営者の方から相談を受けました。コロナ禍で現業がかなり厳しくなり、それをカバーする新規事業を検討中で、事業資金に補助金が使えないかとのご相談です。内容的に補助金の利用はまったく問題なく、むしろ積極的に活用した方がいいくらいの案件でした。
さて、ここまではよくあるご相談です。いろいろヒアリングをしていく中で、びっくりするお話が飛び出してきました。その方は何と、毎年正月に放送され、国民的タレントが司会をする一般参加型のテレビ番組で優勝経験があるそうです。私が子供のころからやっているあの番組です。「お~!!」と久しぶりに興奮してしまい、経営相談を忘れて話に聞き入ってしまいました。
その話の中で、非常に興味深い内容がありました。当番組は出場希望者が多く、書類選考から地方予選等、複数回の選考会があり、決勝本番に残るのはかなり難しい状況だったそうです。で、運営側とのやり取りが毎回行われるそうですが、そこが出場のキモになるとのお話でした。
経営者の方曰く、やり取りをするときに運営側に積極的に働きかけると、色々とアドバイスをくれるそうです。運営側も番組のレベルを上げ、視聴率を取ることが至上命題の一つです。番組を良くするために、出場者に対し「過去の傾向」や「どうすれば審査員の反応が良くなるか」などを惜しみなく教えてくれるとのこと。
ただ、こちらから聞かないと親身になってはくれません。しつこく質問することで、より優勝に近づく本質的なアドバイスがもらえます。そしてそれを聞くだけでなく素直に実行する。徐々に信頼関係が醸成され、さらに適時的確なアドバイスによってどんどんクオリティが上がっていく。
結果、この方のグループは優勝することができました。本人も言われているとおり、自分達だけで黙々と頑張っても同じ結果にはならなかったでしょう。
翻って、冒頭で出た新規事業の話です。この方は優勝した番組と同様、「その道の専門家」から指導・助言を受け、綿密な準備を行われています。独りよがりではなく、高い確率で成果が残せる方法を実践されているのです。おそらく何の問題もなく事業化されるでしょう。
つまるところ、世の中の大半の事は、自分で試行錯誤するよりその道のプロに聞いた方が早い。もちろん、自分自身の努力も必要ですが、それだけでは単なる自己満足に過ぎません。自分だけで頑張っても、意識的にも無意識的にも視野が狭くなり、周囲のレベル感や何が成果につながるのかがつかめないのです。
経営者の皆さん。自助努力は必要ですが、成長スピードを上げるために「その道のプロ」を活用するのはズルでも何でもなく、絶対的に必要なことだと私は思います。その証拠に、成長する企業のほとんどが専門家をうまく使っています。ぜひ信頼できるパートナーと共に歩みを進めていきましょう。
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