何百、何千ものインプットがなければ “神” は降りてきてくれない。
「うちの自慢の商品達を、何か強烈な一言で言い表わしたいのですが何かいい言葉は作れないでしょうかねえ・・・」
輸入販売業を長年営まれているS社長に先日ご縁があって初めてお会いした時、開口一番にこう話されました。
もちろん思いつきレベルで簡単に即答できるものではないのですが。そう、これは「キャッチフレーズ=謳い文句」です。
有名なものは過去からもたくさんあり、特に大手企業ではTV CMで繰り返し流すことで私たちは刷り込まれてきました。
以下にざっと上げてみました。多くの方が聞かれた、見られたことあると思います。
・味ひとすじ 永谷園
・Drive Your Dreams TOYOTA
・Inspire The Next 日立
・あなたとコンビに ファミリーマート
・セブンイレブン、いい気分 セブンイレブン
・24時間戦えますか リゲイン
・やめられない、とまらない かっぱえびせん
・インテル 入ってる インテル
・水と生きる サントリー
・ココロも満タンに コスモ石油
・見てるだけ〜 ニッセン
・お、ねだん以上。 ニトリ
・NO MUSIC, NO LIFE タワーレコード
これらのキャッチフレーズは、商品に直接掛かるものもあれば、理念や理想に掛かるものもありますが、いずれにしても、企業、店、商品の良さや、より多くの人々の生活にピッタリ馴染ませるためにとても分かりやすく、端的に表されたもので、そのインパクトが強ければ強いほど人々の印象に残り、ブランディング、マーケティングの成否さえも決定づけるような重要要素でもあります。
3年前のコラムにも書かせていただきましたが、アパレルブランド・レナウンの大ヒット商品のネーミング、あの「通勤快足」を手掛けられた大槻陽一さんの講演に参加した時に聞けたお話をここで、もう一度ご紹介します。
大槻さんとレナウンはこの結論に至るまで、約1年間、50個以上の候補を出していたそうで、当時のファッション業界からすると通勤快足という日本語の響き、ダジャレがダサい!など反対意見が強く多くあったそうです。ただ、この時の商品はまったくの新製品ではなく、既存品をリブランディングによって売上を向上させることが目的でした。
そして「通勤快足」に名前を変えた結果、売上は従来品の6倍→30倍にもなり、単品だけで年間26億円の売上にまでなったと言われています。
そして、売れていなかった時の名前は「フレッシュライフ」。
言葉の響きや意味の印象がもつインパクト、日本人が対象であること。さらにサラリーマン男性に直接的に訴えかけることが「フレッシュライフ」よりも「通勤快足」の方が、極めて優れていたという好事例です。
ですので、このようなキャッチフレーズを考えるときに根底になければならないことは以下です。
・製品の本質をどう伝えるか
・どんな人に利用して欲しいか
・ブランドイメージをどう伝えたいか
・読んだ感じの語呂感はいいか
・時代にマッチしているか
・時代を先取りしたいのか
・普遍的なものを求めたいか
・短期で回収したい案件なのか
・長期で大事に育ててたいのか
世に出てしまえば、キャッチフレーズは簡単に生み出されたように聞こえる言葉ですが、そこに至るまでの考えは相当に深くあらなければなりませんし、優れたアウトプットを行うためには何十、何百、何千ものインプットが必要だったりもします。そこまでしないと、“言葉の神” は決して降りてきてはくれません。
「うちの会社にも商品が大ヒットするようなキャッチフレーズが欲しいなあ」
ぜひ社長自身、担当者自身や全社員で知恵を出し合うことはもちろん、意識を高めるためにとても必要なことですので考えてみてください。
そして最終的には言葉のプロ=コピーライターに依頼したりして、向こう5年10年と錆び付くことがない「キャッチフレーズ=謳い文句」を生み出す。
ただし・・・
キャッチフレーズを生かすも殺すのも、根底の考え方と、優れた商品・サービスであることを決してお忘れなきよう。
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