優等生よりも悪ガキがこの時代を切り拓くと認識すべし!
「これから施策を打って、いろいろと攻めていきたいので、私の右腕になってくれるような優秀な人材を獲得しようとしているのですが、なかなかうまくいきません。
ちょっと面白いと思った若者がいたのですが、これがまた悪ガキという言葉がぴったりな人物で・・・やはり、ウチのような中小企業に優秀な人材を求めるのは無理なのでしょうか?」──とある機械製造業の社長からのご相談です。
確かに、我々のような中小企業が、従来からのいわゆる優等生を採用しようとすると、非常に難しいのが現実です。特に、日本ではこれから労働人口が激減してきますので、若くて優秀な優等生は、大企業との奪い合いとなり、これを勝ち抜かなければならないのです。
でも、経営者として少し本気で考えてみてください。
この混沌として不安定な時代に、これまでのような優等生が本当に活躍できるのでしょうか?
これまでのように右肩上がりで経済成長しているわけでなく、誰もが同じものを求めるわけでもなく、各自がそれぞれの欲求・欲望に基づき、多種多様なものが求められる状況下で、これまでのような正解がない世界なのです・・・
これからは全く前提条件が変わってしまい、予測することができず、正解のない世界において、変化への対応や新たに創造することが求められてくるのです。
これまでのように知識として学んだことや、経験によって習得した経験値、暗黙知といったものは全く役に立たなくなるかもしれません・・・
もし、状況を把握し、順序立てて理論的に考えて正解を出すといった優等生が全く役に立たなくなるとすれば・・・
われわれ経営者はどうすればいいのでしょうか?
決められた業務をきちんと効果的・効率的に進め、イレギュラーなことがあっても、冷静沈着に対応し、上司だけでなく部下からも尊敬される優等生でも全く役に立たないとすれば・・・
混沌として閉塞感が漂うだけでなく、変化が激しい状況を突破していくには、諦めずに一点集中・アクセル全開で行くしかありません。
優等生は、アクセルとブレーキをバランス良く、最適化して全体をコントロールしようとするのですが、それでは不十分なのです。
こんな時こそ、いつもアクセル全開しか考えていないような、悪ガキが変化に対して臨機応変に対応・活躍したりします。
また、悪ガキに頭の中では、失敗することが当たり前ですので、失敗しても挫けません。周りに迷惑を沢山かけたとしても、成功するまでやり遂げようとします。そして、その情熱などが状況を変えて、周囲をも味方につけてしまいます。
特に、経営者であるあなたの右腕となる人物を採用・育成したいというのであれば、それこそ、悪ガキをターゲットとするのもありです。
雇われ社長(=サラリーマン社長)であれば、悪ガキを育成するのは難しいかもしれませんが、オーナー社長であれば経営についての覚悟が違いますので、全く問題ないはずです。
元は悪ガキかもしれませんが、立派なあなたの右腕に育成されてみてはいかがでしょうか?
私が存じ上げている建設業の社長は、ご自身が筋金入りの悪ガキでしたので、悪ガキの指導・育成はお手のもの・・・(笑)
独立された後、悪ガキを中心に採用(というよりも悪ガキしか集められなかった)し、
できたことについてはきちんと誉める。
できないことや、不満を持っていることがあれば、納得のいくまで誠意を持って説明する。
親分-子分の関係なので、指導・育成については親心で接するものの、上下関係でのけじめはきちんとつける。
そして、自分の右腕にしてもいいと思えるような見込みのある悪ガキには、それぞれの持ち場で、権限を移譲してお互いに競争するように仕向ける。
そうすることで、生まれつき持っている闘争心に火がつくとともに、負けず嫌いな性格もあり、真っ当な責任者としての責務を果たすのです。いいか悪いかではなく、数々の修羅場をくぐり抜けてきたので、やり遂げようとする情熱や覚悟は優等生の比ではありません。
この建設業の社長の場合、一人親方として独立されたのですが、
十数年で30名ほどの従業員を抱え、売上規模も20億円程度まで拡大されています。
そのほとんどが元悪ガキですが、
「オタクの社員は、礼儀正しくて、いい気持ちにさせてくれる。」
「整理整頓がいつも行き届いている。」
「現場報告もきちんとしてくれるので助かっている。」
など、取引先からの評判は極めて良好で、信頼も勝ち得ています。
この社長の凄いところは、悪ガキへの対応だけではありません。
もちろん、悪ガキを手懐けるという意味では、
「できたことについてはきちんと誉める」
「納得のいくまで誠意を持って説明する」
「上下関係でのけじめはきちんとつける」なども大事なのですが、
何よりも組織として回るように仕組みをつくり上げたことが一番のポイントなのです。
「ウチの会社には、悪ガキしか集まってこない。」
だからこそ、誰がやっても同じような結果を常に出せるように手順を整理したマニュアルがあります。
そして、どうしてそれをする必要があるのかという考え方や会社としての方針を決めた経営計画書もあるのです。
つまり、やるべきことはマニュアルに、考え方や会社の方針は経営計画書に明文化されており、それを更に良いもの・時代の変化に対応したものに変えていくことを元悪ガキにやらせる仕組みが社内にあるのです。
言葉で言うと簡単に聞こえるかもしれませんが、実際にマニュアルを整備したり、
考え方や会社の方針を経営改革書に明文化することは非常に負担が大きいものです。
この社長の場合、一人親方として独立されましたので、マニュアルの整備も経営計画書の会社の方針策定も、お一人で作成されました。
ご自身が考えるベストな対応を誰でもできるように・・・
紆余曲折あり、現在では見込みのある悪ガキたちに、それぞれの持ち場で、権限を移譲してお互いに競争するように仕向けることで、マニュアルの更新も仕組みに組み込んでいます(わかりやすいように意義や考え方もマニュアルに記載されました)。
会社の方針などは、経営者である社長の専門事項ですので、現在でも社長が毎年更新しています。
このように、会社を回す仕組みがあるので、悪ガキだけしか採用できなかったとしても、悪ガキを手懐けることで驚くような成果を出すことができるのです。
あなたの会社には、悪ガキだけで成果を出せる仕組みがありますか?
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