お金で困らない経営をするために不可欠なこと
金融機関との関係は、社長の精神状態にも少なからず影響しますから、たいへん重要な社長の実務です。金融機関と良い関係性が築けていれば、精神的にも安定し、攻めの経営を実践しようという気になります。
一方、金融機関との関係が悪化していく局面になると、社長は資金繰りや資金ショートの不安が一層強くなり、精神的に不安定になります。攻めの経営どころか、守りの経営だけで手一杯です。
金融機関の態度は常に同じではなく、日々変化していきます。銀行側の経営も、自社の経営も、お互い日々刻々と変化します。
当然のことながら、長く付き合える金融機関もあれば、時間の経過とともに、入れ替わっていく金融機関も存在します。
それに、銀行の方針・支店の方針・担当者の力量等、様々な不確定要素の中で成り立っています。ですから銀行対応は、まさに生身の生き物なのです。
そんな中、大きく分けて2つの局面で関係性が変化する時があります。「今まで塩対応だったのが、急に積極的に営業してくるようになった」というプラスのケースと、「今まで好意的だったのが、急に消極的になった」というケースです。
ここで言えることは、今の状況が良くなかったとしても、挽回するチャンスはあるということです。一方で、今の状況が良いからといって、ずっと良いとは限らないことです。
大切なことは、社長は金融機関との関係性に健全な緊張感を持ちながら、自社にとっての財務戦略を持つこと。いつどんな不測の事態に見舞われたとしても、影響を受けない盤石の体制を事前に構築しておくことです。
なぜなら、漠然と銀行交渉に臨んでいたり、銀行の担当者にいわれるがままの条件で資金調達をしていたりすれば、たとえ「今」は何とかなっても、5年後10年後の「未来」は不確実なものになってしまうからです。
当社には、実に様々なバックグラウンドをお持ちの社長さん方がご相談にお見えになります。そんな中、毎年、金融機関出身・経営コンサルタント出身の社長もご相談にお見えになります。
なぜ、一見財務に詳しそうな方々が、当社の門戸を叩いてくださるのか、不思議に思われる方もいるでしょう。答えは、「アタマでわかっていること」と「実際に行動できること」は、全く別物だからです。
「アタマでわかっていること」と「実際に行動できること」の違いに気づけている社長さんは、意外と少ないものす。この違いに気づけている社長さんほど、成功者であることは間違いありません。
会社経営の現場において、どんなに知識があっても、どんなに経験が豊富でも、それがお金を生み出さないものであれば、存在しないのと同じことです。
意外なことに、博識で専門知識が多い社長さんほど、「たくさん知っている」のに「思うような結果が出せない」という状態に陥りがちです。
それは、知識や過去の経験が邪魔をしてしまう。つまり「先入観」や「固定概念」が自らの可能性を狭めてしまうのです。例えば、一昔前は、銀行からお金を借りるには、社長個人が連帯保証人になって、不動産を担保に入れて…が当たり前でした。
でも、今は時代が違います。財務の実務を社長が身につけて、正しい方法で銀行と交渉すれば、無担保・無保証での資金調達が出来る時代です。
もし、本質的に自社の経営を良くしたいのならば、社長は、自社独自の財務「戦略」を持ち、それを「実践」することが最も重要です。知っているだけでは、何の意味もありません。大切なのは実践して経営に活かすことです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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