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デジタルと人間のオーケストレーションを狙おう

鈴木純二
SPECIAL

顧客接点強化による成長型IT導入コンサルタント

ベルケンシステムズ株式会社

代表取締役 

顧客接点の強化を軸に、業績に直結するIT導入を指導するスペシャリスト。世に無駄なIT投資が横行するのと一線を画し、顧客の利便性向上、新規取引先、深耕開拓、利用促進…などを主眼に置いた、実益のIT活用と投資戦略を、各会社ごとに組み立てることで定評。

鈴木純二

何やら難しい表現を使ってしまいましたが、実はこの「オーケストレーション」という言葉は良く理解すると組織のデジタル化の意義を深く理解できるものなので、あえてタイトルに使いました。

「オーケストレーション」。。。Wikiで調べると「複雑なコンピュータシステム/ミドルウェア/サービスの配備/設定/管理の自動化を指す」と出てきます。これは少し技術寄りすぎる解釈だと思いますが、この文字列の中に「人間」を入れると私が申し上げたい趣旨に適合します。つまり・・・

人間と複雑なコンピュータシステムがある定まった法則やルールに則って合理的に動いている状態

です。何をいきなりこんな話をするのか?と言われると思いますが、最近少し感動したことがあって、今回のコラムはこのタイトルにしました。

コロナの問題で公私共々旅行から遠ざかってもう2年以上経過しました。しかしその間もテック系企業の進化は著しく、ここ数年は自動車を巡る動きが非常に活発になってきています。この数年の間に、日本の自動車メーカーが避けたがってたEVシフトは決定的な動きとなり、グリーントランスフォーメーション(GX)は国連レベルの動きとなって、世界中の流れの方向を急変させていると感じています。もちろん、様々な媒体や手段で情報のキャッチアップをすることは可能ですが、やはり人間は現場現実現物で体得できる情報を一番理解しやすい存在なので、できることならば三元主義でいきたい。それがそろそろ(様子を見ながらですが)解禁されつつあるので、米国で毎年1月に開催される巨大なショーに行くことにしました。

海外出張から縁遠くなってからすでに数年。久しぶりの米国行きなので、以前は手慣れていた準備をおっかなびっくり進めたのですが、米国系航空会社のネットサービスの充実ぶりには正直なところ感心しました。

彼らは、かなり合理化に舵を切ったのか、メールでの問い合わせ窓口をどうやら閉鎖した模様です。WEBサイトにはアドレスの表示が無く、いくら探してもでてきません。電話番号もWEBサイト上には表示されておらず、検索すると奥から出てくる程度の深さに沈められています。要するに電話やメールのコールセンターは人件費がかなりかかるのでなるべくそれを避けたいわけですね。米国系企業なので思い切ってこれらの窓口を表面から沈めてしまったのだと思います。それはそれで合理化策としてはアリだと思うのですが、感心したのは予約の後でした。

現地をかなりの早朝に出立する便しか予約できなかったので、チェックインの時間が心配です。あまり早く行っても窓口が開いていないでしょうし、遅く行ったら間に合わないかもしれません。その点をメールで尋ねたかった(電話だと待ち行列に入ってしまうので好きではない)のですが上記の通りアドレスが見当たらない。ふとスマートフォンにダウンロードしたアプリを立ち上げたところ、チャットサービスが目にとまりました。通常、チャットを使ってもチャットボットが自動応答する程度の対応しかせず、その後は人間が登場するものですが、この会社のチャットはひと味変わっていました。つまり、、、

 AIがいったん対応するも、決まり文句だけでは対応できない問い合わせだとすぐに判断され

 人間に代わるが良いか?と聞いてきて

 すぐに人間が出てきて対応し

 合間合間は、自動メッセージが適切に入り

 問題完結の意思を少しでも表明すると

 即AIに切り替わってクロージングトークを始め

 満足度調査もすべて一問一答形式

という振る舞いをしました。しかも、これらの対応をムリなくスムーズに交互に入れ替わっていました。これは要するに

 人間とAIが協業している

という状態で、上手にシームレスに作業分担をしている証拠です。冒頭に申し上げた「人間とAIのオーケストレーションがうまくできており、不協和音が全く聞こえない状態である」と言えます。

それに比べて、日本でのチャットボットの使い方はとても遅れています。全部が遅れているとは言い切りませんが、だいたいはせいぜいFAQレベルのコンテンツをチャットボットに入力しておく程度で留まっている企業が多いのではないでしょうか?

米国企業なので、電話窓口やメール窓口を隠してしまえ、という日本ではあまりやらない極端な対応をした影には、このように上手にテクノロジーを使いこなした、という自信があったのかもしれません。

感心したと同時に、日本も早くここまで使いこなせる様にならなければならない、という焦りも感じた経験でした。

 

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