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親子経営 繁盛と繁栄の秘策 父親がしてはならない7つのこと①

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

親子経営 繁盛と繁栄の秘策 父親がしてはならない7つのこと①

5R1A0045父親自ら育て得ない

経営者である父親が自分の息子を自らの手で次の経営者たるべく育てようとすることには無理があります。あえて断言するなら、経営者である父親が自分の息子を育てることは出来ないということです。

ではなぜ父親が息子を育てられないのでしょうか。それには理由があるからです。今回はその理由をお話しします。結構たくさんあるのですがまずは、ひとつ目です。父親が自分の考え方や価値観を息子に押し付けようとするからです。

二つ目、父親は自分の経験値ですべて判断しようとするからです。父親には自分がこれまでしてきた自分の経験が良くも悪くもすべての判断基準になります。あえて言うなら自分の経験したことしか分からないのです。

三つ目、父親が自分への感謝を強要するからです。父親が家族みんなに、今があるのはすべて俺のおかげだと臆面もなく言うことがあります。これまで育て上げ大学まで行けたのもすべて俺のおかげだから父親に感謝するのが当然だと言います。

四つ目、父親が息子へ過度な期待をするからです。父親が自らの出来は差し置いて末は大臣か博士かと夢見てきました。息子が自分と同じ仕事をしても自分がしてきた以上のことができると相変わらず夢見続けています。

五つ目、父親は息子がいくつになっても息子を基本、認めていないからです。父親にとっては息子がいつまでも頼りなく見えてしまいます。出来ているところは見ずに常に出来ないところばかりを見ています。

六つ目、父親は所詮、息子には父親のことが分からないと思っているからです。父親は息子のことが全部分かっていると思っています。しかし息子にはいつまでたっても父親のことなど決して分からないと思っています。

七つ目、父親は息子に何も言わずとも父親の背中を見ていれば出来るし分かるものだと思っているからです。これは父親が息子との付き合い方、まして育て方などまったく分かっていないと自ら言っているようなものです。

さて、中国儒教の経典、四書のうち「孟子」から、「公孫丑曰く、君子の子を教えざるは何ぞや。孟子曰く、勢い行なわれざればなり。」孟子の門人の公孫丑が孟子に尋ねました。「昔より君子は自分の子を自ら教育することがなかったということですが、それはなぜなのでしょうか。」孟子は「それは父親が直に子供を教えることが結果として親子の関係性を悪くすることが多いからだ。」と言われました。

「教うる者は必ず正を以てす。正を以てして行なわざれば、之に継ぐに怒を以てす。之に継ぐに怒お以てすれば、則ち反って夷う。」教える父親は絶対の確信を以て息子に事の道理を教えます。しかし教えた通りのことを息子ができないと父親はついつい怒りをもって叱ります。本来良かれと思って教え始めたことが反って息子との関係性を悪くしてしまいます。

「夫子我に教うるに正を以てするも、夫子未だ正を行わざるなり、則ち是れ父子相夷うなり。」息子は父親が自分に厳しく指導をするものの父親自身の行動を見ると「自分ができていないことを私に強いている。」と思って不信感を抱いています。これでは互いの不信の連鎖が止まりません。

「父子相夷えば則ち悪し。古者は子を易えて之を教う。父子の閒は善を責めず。善を責むれば則ち離る。離るれば則ち不詳これより大なるはなし。」親子の関係が悪くなることは決していいことではありません。よって昔の人は他人の子と取り換えて教えていたものです。特に親子の間で堅苦しい道徳のみを無理に押し付けるのは良くありません。無理強いすれば親子の関係性が悪化します。親子の関係が悪くなることほどの人生の痛恨事は他にありません。

今から2300年以上前の人である孟子が、まるで今、彼が生きているかのように我々に語りかけているのが驚きとともに感動ですらあります。孟子が言うように父親が自ら我が子を教え育てることは慎むべきことです。



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