社員の2割が変われば会社は変わる
役員を含めて社員の2割が変われば会社は変わるといいます。それまで見て見ぬふりをしていた人たちが、当事者としてふるまうようになれば組織は方向を変えられるということです。
しかし、むずかしいのはその当事者をどのように作っていくかです。「この指と~まれ」では集められません。一人づつ腹を割って話し込むというやり方もありますが、時間がかかりますし、相手が本音で話してくれるとは限りません。裏切られる可能性もあります。
もちろんこの方法が一番いいのは分かっていますが、人は自分が一番かわいいわけですし、立場が違えば考え方も違います。したがって、当事者を増やす方法を別に考えることになります。
セミナーの参加者で、「社員に緊張感がなくて困っている」「自分の指導が間違っていないか不安になる」という経営者の方がいました。
この会社は、ある地方で卸売業を営んでいます。歴史が古く、会社全体の雰囲気はのんびりした感じです。現代的な考えを持たない古参の社員が多く、仕事は自分のできる範囲でやっている風な仕事ぶりです。
社長はこれまで会社を変えようと努力はしてきましたが、その考えについてきてくれる社員がいません。ショールームを持っていますが活用はできず、なんとも暗い雰囲気です。
地方の歴史ある地元企業ですので、のんびりしていてもお客様はついてきていました。しかし、こんな地方にも大手企業は進出するものです。会社のすぐ隣に大手ライバル会社が進出してきました。
「さあ、大変」。社長はそう思っても、肝心の社員がのんびりしています。社長はそれまでも、ライバル店の出店を警戒して会社を変えようとしてきましたが、うまく行かなかったのです。
「先生、社員が危機感を持ってくれません」
「放ったらかしのショールームを何とかできればと思っています」
「どうしたらいいでしょう?」
この社長はセミナー終了後のミニ個別相談で、このように訴えます。どうやら、当社の書籍を読んだあとホームページをじっくり見て、何とかしてもらえそうだということでセミナーに参加したようです。
「社長、社員の2割が変われば会社は変わるといいます」
「その2割の社員をどう作るかということですが、主だった社員にコンサルティングにも参加してもらうことです」
「コンサルティングでは課題を出しますので、その課題を参加者全員で取り組んでもらうのです」
「そうすると、参加者は全員当事者になります」
現実的には、いきなりコンサルティングに参加というわけにはいきませんので、社員を集めてもう一度セミナーを行うことにしました。そしてその後、コンサルティングにオブザーバーで参加ということにしました。
コンサルティングの課題は、参加者が協力して取り組まなければならない構造になっています。したがって、おのずと当事者となって意識も変化します。
中には、意識改革のための社員研修を実施する経営者の方もいますが、そのようなぬるい方法で社員の意識が変わったなどと聞いたことがありません。やるだけ無駄です。
当社のコンサルティングでは毎ステップごとに課題が出ますが、その課題ができていると認められない限り次のステップへ進めません。したがって、皆さん真剣に取り組んでいただいています。
危機感を煽るようなことはよくないでしょうが、実際にこの会社は危機が迫っています。したがって、早急に手を打たねばなりません。「習うより慣れよ」です。課題という実践で社員を鍛えることにしました。
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