戦術の限界
今、とある企業の経営状況の調査分析、収支シミュレーションを行っています。各種数値を事前に預かり、実際に現場に赴き、サービスや運営方法を確認し、スタッフの方々に話を聞き…といった流れで調査を進めていきます。
さて、世の中には多様な業種がありますが、基本的にはどの企業であっても、社長をはじめ、現場スタッフの皆さんも自分なりに頑張っています。今回調査している企業も例外ではありません。皆さん長年頑張ってこられた方々です。
ただ、10年、20年経つと取り巻く環境がガラッと変わり、それまで普通にやってきたことが通用しなくなります。多くの業種は先端技術によって効率化され、細分化され、さらに痒い所に手が届くサービスとなって生まれ変わっていくのです。
そんな中、今回の企業も例に漏れず、業績が芳しくありません。現場スタッフがいくら頑張っても、そもそもの仕組みが(設備も含め)時代に合わなくなってきているのです。要するに、「戦略のミスは戦術でカバーすることはできない」という話です。
コロナ騒動によって、上記のような企業が増えています。この3年弱の間で時計の針が一気に進み、これまでの戦略が通用しなくなっているのです。それでも同じことを繰り返しながらドツボにはまっていく企業が後を絶ちません。
ちなみに戦略とは、「勝つためのストーリー」です。戦略というくらいなので、相手に勝つことが目的となります。経営における「勝つ」とは、お客様から、他社ではなく自社の商品・サービスを継続的に選んでもらうことです。そのために「事前にストーリーをつくる」のが戦略策定となります。
一方で戦術はその場で行う作業的な意味合いが強くなります。要は「現場で成果を出す方法」です。基本的にはスキルなので、経験を繰り返すことでレベルアップすることが可能です。
翻って、戦略が通用しなくなった場合、現場レベルの「改善」でどうにかなるものではありません。戦略そのものを変える「改革」をしなければ、現場で上手く立ち回るだけでは絶対に業績は回復しません。というより、そのままでは近い将来、企業としての活動ができなくなってしまうでしょう。
戦略を変える、つまり社内の改革をするのは従業員ではありません。経営者の仕事です。経営者しかできません。現場スタッフの頑張りには限界があるのです。そして勝つためのストーリーには、いい話ばかりではなく「不採算事業撤退」という厳しい決断が必要な局面もあります。
経営者の皆さん、勝つためのストーリーを考えていますか? ストーリーを実践していますか? 他でもないあなたが従業員の将来を担っています。覚悟を持った経営を行っていきましょう。
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