“おうち劇場”時代の『モンスター』商品のつくり方
今朝の日経新聞によれば、アマゾンが処方薬をネット販売することを検討し、来年にも中小薬局と連携とのことです。一方、9月5日付の日経流通新聞(日経MJ)に、ファミリーマートの代表・細見研介氏の記事がトップを飾り、デジタル時代の「リアル店舗」の役割を提言しています。
世界中のインフラが「デジタル」となり、Amazonはネット書店から、インフラ企業となっています。多くの小売店が淘汰され、リアル店舗が減って、ネットでの流通に変化する流れです。
商空間が減少することで、都市の緑化が整う。リアル店舗やオフィス事務所が空店舗となりリノベーションが進み、都心に人が暮らすスタイルになる予兆を感じます。
そして、生活者はお家で働き、お家で買い物し、お家で健康や美容のケア。お家で薬を受け取り治療する時代。お家で学び、エンタメを楽しむことができるようになる、背極的な「巣ごもり」時代の幕開けです。
冒頭でご紹介した、ファミリーマートの細見社長は、リアル店舗は「リアル」と「デジタル」をつなぐ「メディア」になる、と宣言しています。メディアとはそもそも「触媒」や「霊媒」という語源を持っていますが、「ハブ」的な意味で、「つなぐ」をお店は提供していきます。
そうした予兆を感じる中、ライフスタイルが移行している今現在、まだまだ旧態依然の体制で商売やビジネスをしている会社が多々あります。
大風呂敷を広げるコンビニエンスストアですが、お客さまの声に耳を傾ければ、危うい店づくりのままで低迷を許しています。
例えば、セブンイレブンでもファミリーマートでも、少量の野菜を販売している店舗が増えています。しかし、その運用状況をお客さまはよく知っています。「日の当たる場所に放置している」とか、「腐ったものを見切り品として売ろうとしている」など、不満や不快感で「買わない」「信用できない」とそっぽを向かれている店があります。
地域のたった1店舗の運用状況が、全体のブランドイメージになってしまうことは、時代が変わっても変わらぬ怖さです。ブランディング以前に、そういう商品を放置していることが、お客さまから見れば、その企業姿勢に矛盾を感じるのです。
接客もまた同じです。コンビニの店員にサービスを求めない、というのはひと昔前の話です。今は逆です。ネット上でのオーバーストア、過剰情報の時代、リアル店舗にお客さまが求めるものは、癒しや優しさ、すなわち「ホスピタリティ」です。目に見えないホスピタリティが、利益構造の源泉になるのです。
わたしたち中小企業家は、世の中を良くするために利益を出すビジネスをする。のではなく、逆です。利益を出せる仕組みがあるからビジネスを永続できる。永続することで社会貢献できるのです。利益構造の構築とその運用こそが、わたしたちの使命です。
利益を出すために「事実」を見ることです。今の時代に生きているお客さまは刻々と変わっています。その変化を知ること、理解すること、受け入れること、から始まります。
お客さまに直接お聞きするのです。「知らなかった」「お店が不衛生だった」「サイトがつかいにくい」「店員さんの感じが悪い」「商品がわかりにくい」等々、自社が思ってもみないような事実が出てきます。
この事実こそが、チャンスです。お客さまの声を聞くことで「気づき」を得ます。この気づきを、わたくしどもでは「洞察」と呼んでいます。お客さまの不満や不安が濃ければ濃いほど、光輝く可能性が増します。お客さまの心をグッとつかむリニューアル商品が誕生します。
これまで、日本だけでなく、欧米においても「オーバーストア」が問題視されてきました。中小企業が多すぎて、お客さまを取り合っている。価格競争になって、一社一社の利益が薄くなる。ゆえにお給料が上がっていかない、そんな負のスパイラルです。
そして、2019年からのパンデミックがその状況を一掃しています。今、さまざまなところで中小企業の淘汰、大手企業の統合などが活発化しています。
自社の使命は「経営理念」をつくること、発表することではありません。社会貢献をすることでもありません。お客さまが求めてくださってこそ、の企業です。お客さまがいらしてこそ、のお店です。手にした利益こそが「お客さまの喜び」を大きく強くするために在ります。利益が先、社会貢献は後です。
あなたは、お客さまの気持ちに気がついていますか? お客さまがどんなことを不満に思い、不快に感じ、悩み、苦しみ、困っているか、気づいていますか? お客さまが、どんな願望をもち、どんな幸せを描き、どんな喜びを求めているか、その一点を洞察する。それが、この混沌を澄ませる視点です。
今を生きるお客さまの視点があって、自社の想いが輝くのです。この順番はどんなに時代が変化しても、変わりません。お客さまの方から自社を視る。あなた自身の“自社贔屓”を、冷たく突き放すことが問われています。
やわらかく、しなやかに、そして楽しく発想をひろげるために「無」になって世の中を見る姿勢が求められています。そして、社長の心がひらいたとき、世界がまるで違って見えてくるのです。そのタイミングこそが、商品サービス、そして自社ブランドリニューアルの好機です。
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