まるで利益の泉。儲かる案が次々に湧き続けてくる組織内には「〇〇」がある
「伊東さん、この案、ニオイますか?」
ある社長からそう質問されたのは「儲かるニオイ」がするかどうか?
儲かるニオイとはどういうものなのか?
それは例えば
・セールで前年を超える数の商品を販売できた
・話題の商品を仕入れられた
・元気あふれる社員を採用できた
・好立地に出店が決まった
この4点の結果の中に、企業経営者にとって「おっ これは!」と他よりもひときわ輝きを放っていて、つい真っ先に目を奪われてしまう結果があるのではないでしょうか?
儲かるニオイとは「これが当たったら大きな利益が得られるだろう」という意味です。
他社よりも利益を大きく上げ続けられている企業の社員やスタッフは、他社とどう違うのか?
それは「儲かるニオイが強い一手ばかりを次々に上げ続けてくれる」ところです。
なかなか自社の業績を上げていけない企業ではこうおっしゃる方が多いです。
「もっと優秀な社員、スタッフが欲しい」
「ヤル気のある子はいないのか?」
「どうしたら皆がヤル気を出してくれるのか?」
求めているのは従業員の「能力」と「ヤル気」です。
なかにはどうにかヤル気を引き出そうと「まずは自分がお手本を見せて、それを真似してもらいたい」とリーダー自らが先頭に立って奮闘する企業も。
そこはやはりリーダー。優秀な社員やスタッフよりも良い結果を次々に出していく事ができます。
しかし、そればかりに集中してしまっていると、経営全体が見渡せなくなってしまいます。
サッカーでいうと、監督が自ら試合に出ている状態。
監督は経験則がものをいうプレイを次々に繰り出しますが、我がチームの誰が今ヘトヘトになって本気を出せなくなっているのか? また、相手チームの戦略の弱点はどこなのか? その弱点を突いたフォーメーションはどうあるべきなのか? それにあわせて急遽配置を変えるなどの「全体を把握できた上での一手」が打てなくなります。
では逆に他社よりも自社の業績を大きく上げていってる企業はどんなお考えなのかといいますと、求めているのは従業員同士の「近さ」です。
「当社にはもっと『従業員同士の協力』が欲しい」
「どうしたら本音を語り合うほど近づいてくれるのか?」
従業員同士の距離感が近ければ勝手に化学反応が発生し、儲かるニオイが強い一手をポンポン打ち出し続けてくれるようになるからです。
ではなぜの人の能力やヤル気ではなく、従業員同士の化学反応を求め、近づけようとしているのか?
大きな違いは2点です。
1.「一人の人間が繰り出した一手」よりも「複数の人が協力した一手」の方がはるかに強力だから
2.どの企業も簡単にはマネできないから。優秀な人やヤル気のある人、そして社長のような重要なポジションに居る人が単体で良い一手を打つ、という行為はそれほど難しくなく、どの企業もできちゃうから
そんな従業員同士の近さを実現し、上手に化学反応を得られている企業があります。
それは三菱商事です。
8/29 東洋経済オンラインより、「社員の時給が高い会社ランキングTOP100社」が発表されました。
三菱商事はランキング1位で 8458.3円
2位の不動産業のヒューリック 7782.6円 と
3位の総合商社の伊藤忠商事 7522.2円 を大きく引き離しています。
なぜ三菱商事が従業員同士の近さを実現できていると言えるのか?
それは2022年6月30日のニュースリリースからも読み取れます。
「三菱商事とマルハニチロによるサーモン陸上養殖事業会社の設立について」
とありました。
このタイトルだけで「儲かるニオイ」を嗅ぎ取る経営者も多い事でしょう。
世界的に消費の拡大が期待されている外国産サーモンを国内での養殖を実現しようと新会社を設立したということです。
まるで流れるように実現できました、と見受けられるリリースですが、これの実現には2つの注目すべき点が挙げられます。
1つ目の注目点は、新たなチャレンジが成された結果であるところ。
経営者としては社員やスタッフには、誰もが失敗を恐れず大きな挑戦を繰り返し、世の中に無い、また他社に無い結果を出してほしいものですが、やはりリスクはつきものです。挑戦ルートを選んでうまくいけばいいものの、失敗した時には自分の立場を失ってしまうかもしれませんので「挑戦する」という選択肢は簡単には選んでいただけません。
「私はここで一旗あげたいな~・・・」そんな危険なルートを進もうかどうか?迷っている人が、ふと横に視線をそらしてみると「超安全ルート」が存在します。それは「与えられた仕事だけをこなし続ける」というルート。こちらには失敗するというリスクがありません。しかも日々同じことを繰り返していてもOKというハードルの低さです。
会社として何も手を打っていなければ、多くの従業員がどちらのルートを選ぶのか?は想像しやすいことでしょう。
2つ目の注目点は従業員同士がタッグを組んでいるところ。
このビジネスの成立には複数人が絡んでいなければ成立しません。
少なくとも海外でサーモンの販売シェアが高い企業にパイプを持っている人。
そして国内の資源の特性をよく理解し、関係者をビジネスに誘える人が必要です。
ここで注目すべきは「どうやって離れた場所で働いている社員同士がタッグを組めたのか?」です。
三菱商事は、世界約90の国・地域に広がる拠点と約1,700の連結事業会社と協働しながらビジネスを展開していて、社員数は約9万人です。
社内に何かしらの「仕組み」が存在していないと、そう簡単に
「こんな案があるんですけど、誰か私のアイディアに協力できる方はいませんか?」
「それは私がこそが適任でしょう、ピッタリの資源が日本の富山県にありますよ」
とはなりません。
これは普段の経営で販促費、広告費に多額の投資をされ続けている社長であれば「ニーズを探し当てる」という行為がどれだけ大変なことなのか、よくご存じではないでしょうか?
よって会社内のマネジメントは「従業員同士の距離が近く、常に腹を割って話し合えるような環境」であるほど有利と言えます。
ここで、その視点でチェーン事業を見つめてみますとかなりハンデがあります。
なぜなら働いている人達の距離が他業種よりも離れているからです。
そしてチェーン事業の現場は接客業がほとんどです。
従業員同士が固まっていると、お客様に
「なんだこの企業は、従業員同士が接客もせずにおしゃべりばかりしてるじゃないか!」
と捉えられてしまいやすい事業です。
どうにか社員、スタッフ同士の距離感を近くしたいと願っても大きな壁がいくつも立ちはだかってきてしまいます。
しかしだからこそ、いくつもの大きな壁を乗り越えられたら、他社を引き離し大きな利益を上げていけているという楽園が存在するのです。
チェーンビジネスという他社と比べて従業員同士が遠くなってしまうという不利な状況下をはね返し「これでもか!」と従業員同士の「近さ」を縮められている企業にだけ、日々化学反応が生まれ
「社長!我々は〇〇を考えました」
「これはどの企業もやってません、何卒GOをください」
などと、儲かるニオイが強い一手ばかりが常に湧き続けられるようになるのです。
御社は社員やスタッフに何を求めていますか?
「優秀な人や、ヤル気のある人」でしょうか?
それとも、誰もが本音を語り合い、深く結束し、どこにもない一手を打ち出したくなる「従業員同士の近さ」でしょうか?
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