作業と付加価値
先日、とある飲食店を利用しました。テーブルが20以上はある比較的大きめのお店で、ホールスタッフの他に今流行り?の配膳ロボットが動き回っています。配膳ロボットはチェーン店以外であまり見かけないため、興味深く観察しました。
まだ試験導入の段階だと思いますが、あまり効率化には寄与しておらず、むしろムダな仕事が増えているようにも見えました。とにかく配膳ロボットが行く先々でスタッフやお客様の進路を妨害し、渋滞が起こっているのです。まあ、目新しいうちは「ご愛敬」で済みそうですが、今後の配膳ロボット市場は淘汰が進み、本当に使えるものだけが残っていくでしょう。
ちなみにこの店のホールスタッフの主な仕事は「オーダー取り」「料理の提供」「食器下げ」です。接客サービスに関して特筆すべきものはなく(あえて言えば、ちょっと機械的で感じは良くなかったかも…)、すべて配膳ロボットに変わってもお客側として不満に感じることはないかもしれません。併せてセルフオーダーシステムが導入されればさらに効率化が進み、良し悪しは別にして「人」によるホールサービスはほぼ必要なくなるでしょう。
さて、ここからは大規模な会場で行われたイベントの話です。手作り雑貨や陶芸などをメインに、プロや玄人はだしの方々が一堂に会したイベントで、ブース数も来場客数もかなりの規模になっています。
このイベントにお客として来場した人の話で興味深かったのは、いわゆる「無愛想」な出店者が少なくなかったということです。出店者本人はそんなつもりは毛頭ないでしょう。ただ、これは職人系の方が店に立つとよく見られる現象です。お客側からすれば相当買い物がしづらい。「いいな」と思っても、買うのをあきらめて帰ることもよくあると聞きます。
冒頭の飲食店とイベントに関しては、いずれもスタッフとお客が実際に対面するリアル店舗と呼ばれる業態です。リアル店舗が顧客に提供している付加価値とは何でしょうか。商品?、接客サービス?、それとも良い雰囲気の空間でしょうか。
何が顧客満足度を上げる付加価値となり、あるいは削減すべきコストとなるのか。この点を見誤ると、せっかくの付加価値を効率化で無機質な作業にしてしまったり、単なる作業なのにその付加価値を上げようとしたり、店舗の存続を左右するような致命的なミスを犯す恐れがあります。
店舗によって提供する付加価値はそれぞれですが、すべてのリアル店舗に共通する付加価値があります。それはスタッフの「感じの良さ」です。この点、今回挙げた飲食店やイベントの出店者は価値を棄損していると言えるでしょう。スタッフが変われば売上は倍以上変わることも珍しくありません。ことほど左様に、感じの悪いスタッフの店で買いたいと思う人は一人もいないのです。
もっと言えば、「感じの良さ」は仕事もプライベートも関係なく、すべてのモノゴトを成功に導く最強の武器です。「感じの良さ」を自然に出すには、「上機嫌」な状態を作っておくことです。人間である以上、心の状態に波はあるかもしれませんが、ぜひ「上機嫌」でいるようにしてください。上機嫌でいることにデメリットは何一つありません。
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