一緒に親身になって考えてくれるコンサルタントとは?
仕事柄、経営者の方々に、コンサルタント活用のメリットなどをお伝えしていますが、結構様々な反応がかえってきます。そうした中には、「自分の場合は、一緒に考えてくれる先生がいいんだけど…」と言われる方もいます。
色々な活用方法がありますので、一緒に考えてくれる…タイプがお好みであれば、そうした方にお願いするのも一つの選択肢だと思います。
自分が思い悩んでいるところを、一緒に考えてもらえることで、気分が和らいだり、様々なヒントを得られることで進めやすくなる…というメリットは大きいかもしれません。
ただし、物事にはメリットとデメリットがあります。多くのコンサルティング活用の実際を見てきているだけに、「一緒になって考える」タイプのコンサルタントを活用した場合、結果的に事業が低迷する例が多くなっています。
理由は単純です。「経営者の仕事は決定をすること」だからです。アイデアやヒントをもらうことはとても有難いことですし、重宝することですが、自分の会社の方向性に対して決定の責任を持っているのは唯一、社長だけだからです。
これほど当たり前のことはない、と経営者なら誰でもスグ分かることにも関わらず、「一緒に考えてくれる…」という言葉のウラには、「経営判断や決定に対する心理的依存」が隠されている確率が極めて高いからです。
実際、ベタっとへばりつく系のコンサルタントや、「一緒に考えましょう」系のコンサルタントを使っていると、最も重要な戦略に対して、自ら発想して下すことが徐々にできなくなっていきます。考えることを放棄していってしまうからです。
経営者が、経営の方向性を考えるのを放棄していけばどうなるか…。コンサルタントとは、経営の部分部分のスペシャリストではあっても、50人や100人を抱えた会社を儲かるように回す「経営」に関しては、ほぼ間違いなく素人です。経営をやったことがある人など、100人に一人もいないのが実際なのです。
「先生はどう考えますか?」とか「先生にご意見をうかがって…」といった、経営判断の主体が徐々にズレていくことは、大きなリスクを背負いながら、果敢に挑戦して事業を成長させていく経営判断とは、大きく異なっていくことになります。
重要なことは、アイデアや経営のヒントをくれるアドバイザーや、世の中の最新情報をくれる人、間違った判断かもしれないので…といった場合のご意見番など、様々な知識人の活用は重要ですが、これらの活用を「コンサルタント活用」と混同しないことです。
少なくともいえることは、プロの専門コンサルタントであれば、「一緒に考える」ことはありません。なぜなら相談を受けた段階で、「その場合でしたら、こうしましょう」など、明確な答えを返せるのが当たり前だからです。
一緒に悩んで…ということは、一見親身ですが、要は同じレベルで唸っていることを意味しています。そこには専門性など、何もないという証拠でもある訳です。
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