再生と循環で稼ぐときのポイント
ウクライナ問題に前後して、世間では資源受給への関心がぐっと高くなったようです。スーパーで売られている商品の値札は明らかに高くなっており、ガソリン価格も高止まりしています。コロナ禍でやや足が遠のいたとはいえ、飛行機を予約しようとすると燃料サーチャージが高いのに驚かされる、そんな状況を伝えるメディアのニュースもまた、関心の高まりを後押ししています。
実はもっと深い話があります。秋田大学の渡辺寧先生によると、世界の鉱山で取れる鉱物資源の単位当たり含有量(品位というそうです)は長期的に見ると右肩下がりに劣化していて、その昔はたとえば1トン掘れば資源を確保できたものが、その倍以上掘らないと同じ量を確保できない、というようなことが当たり前になってきているそうです。この変化は銅の価格を見れば明らかで、かつては一トンあたり40-50万円だった銅が、今では120万円を超える価格になっているとのこと。
需給がタイトになってくると、当然ですが需要家は他の供給源を探すようになります。こうしてリサイクルを含む再生と循環にスポットライトが当たるようになるのです。
これまで捨てられていたものが、リサイクル資源として販売できるとなるとそこには様々な変化が生じてきます。まずは捨てられていたものを扱う=廃棄物ビジネスについて。これまでは規制遵守、行政依存、秩序優先に守られた側面が強く、資源受給については市場任せで何も考えなくて済む側面が強い分野でした。ところが資源受給がひっ迫すると資源確保に競争原理が働き出し、その論理に晒されることになります。
端的に言えばこれまで処理コストがかかっていた廃棄物に価格がついて販売されることが一般化し、単純に廃棄物として捨てられることが次第になくなって行くわけです。産業廃棄物の排出者としてマニフェストを切ってくれた製造業が、再生資源の供給事業者として振舞い出す流れの中で、伝統的な廃棄物ビジネスはその市場を大きく失うことになるでしょう。
そうすると、当然ながらそこでは生き残りゲームが展開されだします。いや、すでに始まっていると言える側面もあるのですが、そこでは「如何に価値を保全できるか」「如何にそれを可視化できるか」など、積極的に評価を勝ち取って行くことがポイントになってきます。
選別技術の高度化・効率化・コストダウンも大きな要素になるでしょう。単に再生資源として販売するよりも、リサイクル事業者に任せることで付加価値がつくようになれば、そこに新たな商流が生まれるわけです。
リサイクル事業者として提供すべきサービスがだんだん明らかになってきたと思います。つまりそれは資源としての付加価値であり、説明責任を積極的に果たすためのエージェント役がもたらす価値なのです。具体的に言うと再生資源のユーザーである素材メーカーが好んで使ってくれるような品質管理機能と需給調整機能であると言えるでしょう。それを数値に落としこみ、可視化することで市場の信頼も得られるようになります。
この流れに乗れた事業者だけが生き残る、資源循環ビジネスはそんな時代に入ろうとしています。ぜひ、時代の流れを読んで機先を制するアクションをただちに取ってください。
時代を読んで、その先に活路を見出そうとする経営者を当社はいつも全力で応援しています。
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