知られざる『トップライト断熱列伝』2
あくなき「快適性」の追求
自宅にはソーラーシステムが搭載されています。
冬は最高に暖かいのですが、新築時に設置してもらったタイプは夏に屋根裏が暑くなるのが難点でした。一昨年に新型制御盤に交換、ダクトを改造してからは夏も快適な屋根裏空間に生まれ変わりました。
ソーラーシステム「そよ風」については、夏のための、『変身』をご覧ください。
おかげで夏の日中も屋根裏で過ごせるようになりましたが、そうなると気になってくるのがトップライトからの熱でした。トップライトは北側の屋根面についているのですが、真夏はほとんど一日中日射を受けています。明るいのはいいのですが、近くにじっとしていると脳天が焼けそうでした。そこで、トップライトの断熱対策について、この数年色々と試しているのです。
これまでのトップライト断熱との戦いの軌跡は、知られざる『トップライト断熱列伝』、暑い寒いの『モノサシ』2をご覧ください。
「まだやってみてない」のを試す
これまでも、思いつくまま色々な対策を試して、その中でいちばんいい方法を「定番」にしています。今回、別件で余った発泡スチロールを試してみることにしました。 保護用としてついてきた20mmの薄いもので、トップライトの大きさに切ってはめてみることにしたのです。
それでは結果です。
軽装備の状態から順次、普通の画像とサーモ画像を見ていってください。 7月22日、時間はちょうどお昼12時頃です。
①ガラス+透明ポリカーボネート
↑透明ポリカーボネートをガラスの内側に取り付けたトップライト(北側)
↑上記透明ポリカーボネートの表面温度(54.4度もあります)
↑ガラスの内側のポリカーボネート(断面がハシゴ状の中空構造です)
Low-eペア強化ガラスの内側にポリカーボネート板つきですが、その下は日射を受けて強烈に暑いです。
②ガラス+透明ポリカーボネート+ロールスクリーン
↑さらにロールスクリーン下ろした状態(四角い影は挟み込んだ紙のもの)
↑上記ロールスクリーンの表面温度(「透明ポリカだけ」より5度ぐらい下がりました)
リネン生地のロールスクリーンに紙を挟んで、日射を和らげています。写真では中途半端に紙が挟まれていますが、こんなことでも効果はあるのです。
③ガラス+透明ポリカーボネート+ロールスクリーン+ベニヤ板+遮熱ポリカーボネート
↑さらにベニヤ板と遮熱ポリカーボネートをプラスした状態
↑上記遮熱ポリカーボネートの表面温度(「透明ポリカだけ」より15度以上下がりました)
↑やけくそで挟んでみたベニヤ板ですが、思ってたより明るくいい感じ
↑隙間からの光でも机は十分な照度です
「暗くなってしまうけど効果があるのでは」と思い、2.5mmのベニヤ板を遮熱ポリカーボネートの内側に挟んでみたのです。サイズが合ってなくて隙間があるのですが、適度な光も入ってきて意外といい感じでした。なんだか子供の頃の「基地」のような感覚を思い出す、いいあんばいです。冬場は大きい方がいいのですが、夏場は小さなガラス面でも十分です。
④ガラス+透明ポリカーボネート+ロールスクリーン+発泡スチロール
↑ガラスの内側に取り付けた透明ポリカーボネート+発泡スチロールの状態
↑上記発泡スチロール(20mm)の表面温度(「透明ポリカだけ」より20度ぐらい下がりました)
新材料の発泡スチロール。まずは単体で挟んでみました。さすが「断熱材」薄くても強力です。厚みが薄いので想像していたよりも光が通って明るいです。
⑤ガラス+透明ポリカーボネート+ロールスクリーン+発泡スチロール+遮熱ポリカーボネート
↑透明ポリカーボネート+発泡スチロール+遮熱ポリカーボネートの状態
↑上記遮熱ポリカーボネートの表面温度(「透明ポリカだけ」より25度ぐらい下がりました)
↑発泡スチロール+遮熱ポリカーボネート(両方で30mmです)
やはりこのパターンが「最強」でした。暗くならずに断熱できるので当分の間「採用」です。しかし、これらを挟むとトップライトが開けられないというデメリットが発生します。最近、桜島の降灰が少ないので、湿度の低い日の「トップライト開放」には未練が残ります。
湿度さえ低ければ。。。
ちょうどこの日は、実験をしながらトップライトを開け放したりしていました。この日は晴れていて暑いのですが、トップライトを開けると風が気持ちいいので夕方までエアコンなしで過ごしていました。
しかし、翌日はトップライトを開けていても暑苦しくて、お昼前から耐えられなくなって全部閉めてエアコンを入れました。同じような天気のようでしたが、この2日の差に快適さの「限界点」があるようです。
日頃から自宅のあちらこちらで温度・湿度を測っていますので、この両日を比較してみました。温度・湿度のグラフで見てみるとかなり微妙ですが「違い」はありました。
↑グラフでは微妙な差ですが「体感」ではかなりの違いがあるのですね
グラフでは一見すると両日ともに似たようなパターンに見えます。しかし、体感と重ねてみると気温がピークに達する時間が違っています。さわやかに感じた7月22日は15:30頃、暑苦しく感じた7月23日は早く上昇して13:00頃です。また、最高気温が1℃ほどですが23日は高くなっています。
7月22日のように、外気温の最高気温が15時ごろまでかけてゆっくり上がって31℃程度といった日は、屋根裏の室温は窓を開けていれば30℃を下回り、なんとかエアコンなしで過ごせるようです。
相対湿度はというと、15:30の最高気温29.4℃の時に53%です。これは絶対湿度が「15〜16g/m3」です。一般に快適範囲は12g/m3までと言われていますので、快適範囲とは言えない水蒸気量です。
↑気温(℃)と相対湿度(%)から絶対湿度(g/m3)を調べる早見表
ひょっとすると、このあたりが自宅の屋根裏でエアコンなしで過ごせる「限界点」なのかもしれません。毎日あまりにむし暑いので、このくらいのコンディションが涼しく思えたのでしょうね。
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