黒字経営でも資金繰りが苦しい会社の共通点
いつもお金が足りない…、月末になると資金繰りで必死…、という社長さんは、世の中に結構多くいらっしゃいます。大切なことは、資金繰りの方法を考えるのではなく、なぜ資金繰りに困っているのか…という根本原因を正しく特定して、的確に対処することです。
しかしながら、多くの場合は目先の資金繰りだけを考えて終わってしまっています。確かに、毎日が必死で、それどころはないかもしれません。
社長として、社員と会社を守るため、毎日必死に考え、経営のかじ取りをすることは大変重要なことですし、社長にしかできない仕事です。しかし、資金がショートしてしまっては元も子もありません。
ですから、お金が足りなくなったら、銀行から借りることは、よくある手段の一つです。そうすることで、一時的にしのぐことは可能です。
しかし、その状態では、いつまでたっても自転車操業から抜け出せません。毎月資金繰りで悩み続けます。資金繰り対策で時間が奪われますし、精神的にもゆとりがなくなります。
更に言うと、今は、激動の時代です。あらゆることがスピード感を持って変化をしていっています。激動の時代を生き抜くためには、真剣に経営に向き合い、お金が足りなくなってしまう根本原因を考えてみることが大変重要です。
当社には、会社経営にかかわるお金の悩みが非常に多く寄せられます。特に資金、キャッシュについてのご相談はとても多く、社長さん方の悩みの深さを実感させられます。
よくよくお話を聞いてみると、問題の本質はキャッシュや資金繰りではなく、ほかの場所にあるということがほとんどです。それも、融資、税務、相続対策など、複数の要件が複雑に影響していることが多く、一筋縄ではいかないものばかりです。
だからこそ、からみあった複雑な問題を一つ一つほぐし、解決していくために、資金繰りに困っている原因を掘り下げて考える必要があります。困っている度合いの高い社長さんほど、要件が複雑に絡み合ってがんじがらめになっており、抜け出すのも困難な状況です。
資金繰りとは、いわば目先の状況です。本質的には別の問題からお金が足りなくなっているにも関わらず、社長が見えているのは表面的な資金繰りの問題だけ、という状況です。
資金繰りのためだけに、銀行からお金を借りるというのは、対処療法にすぎません。対処療法を繰り返すだけでは、資金繰りを引き起こしている根本原因は解決されず、資金繰りの悩みから脱することはできません。
根本原因を解決せず、銀行からお金を借り続けていくと、その場でのショートは回避できます。しかし、根本原因が解決していないため、なかなかお金は増えず、返済も困難になってきます。気づけば、借金だけが増えていくという負のスパイラルに陥ります。
しかし、日々の忙しさにかまけていると、負のスパイラルに入っていることに意外と気づけないものです。そして、気づいた時には、ただ銀行に借金を返すためだけの会社になってしまったというケースは、意外なほど多く存在します。そして大変厳しい現実ではありますが、いずれ資金は尽き、銀行にも見限られてしまいます。
何の戦略もなく、ただただ目先の資金不足を乗り切るためだけに銀行を頼る…という考えでは、いつまで経っても手元にお金は残りません。
間違った常識のまま経営のかじ取りをすればするほど、ますますお金は減っていって、資金繰りは苦しくなっていくのです。
社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。
あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか?
ダイヤモンド財務®コンサルタント 舘野 愛
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