表彰という名の演出
世の中には、さまざまな賞があります。ノーベル賞のように、授与する側がさまざまなチャネルを使って受賞者を探して選定する賞もあるかと思えば、公募によって自薦を受け付け、選考を経て受賞者が決定する、というメカニズムで運営されているものも少なくありません。
経営者としてある程度の実績ができてくると、半ば当然のように社会から認められたいという欲求が働き始めます。そういうときに目に入ってくるのがこのような公募型表彰の機会です。「ウチはここまでの実績を上げたんだから、選考対象として十分だろう」応募する人はみな、そう考えて書類を作成し、締め切りまでに応募しようとするわけですが、ここで一つだけ注意していただきたい点があります。
それは、選考形式がどのようなものであれ、つまるところ表彰とは「成功に対する演出」にすぎないという、言われてみれば至極当たり前のお話なのです。公募形式の場合は、「公」つまり募集範囲がどのくらい広いかにもよりますが、通常の場合は選考プロセスに相応の負荷がかかる程度の応募があります。賞の規模にもよりますが、規模が大きければ1000を超す応募があるものから、「公募」案件なら小さくても100を下ることはないでしょう。
その中で、賞に選ばれる応募者は1つか、多くても2~3つ程度だろうと思われます。つまり、応募者の95%以上は落選する仕組みになっているということです。成功に対する演出、それもかなりの高倍率をくぐり抜けた先にしかない、というのが表彰の優れたところでもあり、応募する上ではわきまえておくべき特徴でもあるということです。選ばれなかったからと言って、全く気にする必要はありませんし、また応募の機会も一度だけではないということですね。
そんな中にも、受賞確率を上げたい、何とか是非この表彰を取りたい、というニーズは確かに存在すると思います。そういったご要望にお応えして当社がご案内しているポイントは以下のようなものです。①募集要項をよく読むこと、②応募書類が評価基準を満足しているか、できれば第三者の目でチェックしてもらうこと、③事例をなるべく盛り込むこと、④成果は数字で表現すること(半減した、平均25%増加したなど)の4点です。
募集要項をよく読むことは基本中の基本ですが、ありがちなパターンとして、要求されている内容よりも自社の成功の中身を言いたい欲求が勝り、聞かれたことの答えになっていない応募書類があります。いくら中身が良くてもこれでは募集の趣旨を満たさないため、落選は不可避ということになります。このミスを予防するには、第三者の目による確認プロセスを経ることが何より重要です。事例と数字の重要性は言うまでもないでしょう。
95%以上が落ちると言っておきながら矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、可能であれば「成功者への演出」以上の目的を持たせ、そのための予行演習をしておくと、万一受賞してしまった場合も後から慌てることがありません。
受賞が決定すると、主催者による表彰に続いてメディアや関係団体からの問い合わせが入ったり、さまざまな催し物に招待されたりする機会が増えます。多くが時間や手間がかかる割に営業的な実入りに直接つながらないものだったりするので、何のための表彰かと思うこともあるかもしれませんが、冒頭述べたように「表彰とは成功への演出」にすぎません。
ここで馬脚を露呈するようだと、あっという間にブームは去ってゆきます。成功者として祝福されたはずだった・・のが、逆効果になることすらありえるのです。
逆に言うと、表彰を受けたことをうまく使いこなすことさえできれば、そこから先はそれまでのものと多少以上景色が違う「成功者の道」が待っているのです。
社業好調で表彰という演出を考えたいという経営者を、安全にそこまでご案内することを、当社はいつでも全力でお約束しています。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。