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報告が遅い人ほどペナルティを重くしている企業は伸びない

SPECIAL

チェーン企業のマネジメントの仕組み構築コンサルタント

株式会社ピアーズ

代表取締役 

マネジメントの仕組み構築のスペシャリスト。
これまで20年以上チェーン事業に身を置き、実際に15の組織のリーダーを務め、200以上の経営に関わり売上、利益を上げてきた経験を持つ。チェーン事業の売上が兆単位の企業や創業40年以上の歴史を持つ企業にさえマネジメント面の仕組みが1つも存在していない事に疑問を持ったことから、チェーン事業に共通するマネジメント面の仕組み構築方法を体系化。その効果は大きく、マネジメントの半ば自動化と質の向上により、クライアント企業は利益2~3倍増、業種によっては仕組み実装の初月から数値を跳ね上げさせる指導を展開している。

KDDIで通信障害が発生し、最大3915万回線に影響があったとのニュースが報じられました。

他社が大問題を発生させ、対応に苦慮されている姿をご覧になった経営者はどう捉えていることでしょうか?

多くの経営者はきっとこう見ている事でしょう。「他人事じゃないな」

 

どんな大問題にも必ず前兆や予兆があります。いきなり大問題が発生するケースは稀です。

その為、各企業は問題が発生した時点での早期発見、早期解決ができるようにと、事前に効果的な対策を確立しておこうと努力しています。

その対策が上手に施されている企業では、報告者が

 「この問題は報告する必要がある程のレベルなのだろうか?」

 「もしかしたら『くだらんこと報告するんじゃない!』と言われるかも・・・」

 「やっぱり報告はしないでおこう」

などと自己判断で保留されることもなく、

またまるで小学生が先生を自分の味方につけようがごとく幼稚なレベルの報告が続くこともありません。その結果、大問題に発展しないうちに解決できることはもちろん「社員やスタッフの目線とはこういうものなのか」「それならば」と会社の更なる業績向上につながるマネジメントのヒントを得られる貴重な手段として成立している企業もあります。

 

大問題に発展する前に早期発見、解決をしようとする各企業の努力は、人類が「どうしたら大火災を防げるのか?」と何世紀にも渡り、求めてきた努力と似ています。

日本の総務省消防庁が毎年刊行している消防白書によりますと、全焼件数は

1956年 25,368件 をピークに

2017年  6,967件 

約60年で4分の1にまで減少させることができています。

これまで火事によって何万、何億もの尊い命が失われてきた歴史の果てに人類が導き出した知恵は「早期発見、早期解決が最良」として、各企業が建物を設置する際に遵守しなければならない消防法という形になっています。そこはさすが長年の歴史の末に生み出された仕組みで

 ・建物の要所要所には消火設備が適度に配備されていて

 ・その設備は初めて使う人でも簡単に理解でき、操作はシンプル

 ・あらゆる素材には外観を損なわない防炎加工が施され

 ・延焼を食い止められるシャッターは電力が寸断されている状況でも動作し

 ・いざという時にはビルの外からでも窓が開けられる

など、まさに知恵と工夫の結晶で人々は豊かな暮らしを手に入れられつつ、火事を遠ざけるという両立を見事に成し遂げられています。

 

そんな消化手段の一手のように、企業で発生する問題解決の一手として挙げられるのは Bad News First や Bad News Fast などのマネジメントがあります。

会社組織の構造がよくわかっていない勤務歴の浅い従業員は、報告時に「何が言いたいのか?」後回しにする傾向がありますのでこの一手は非常に有効な手段と言えるでしょう。

しかし問題なのはその運用方法です。

一部の企業では「そうじゃないぞ」と体に染み込ませよう、徹底させようと権力に頼ったり、また「君への罰則が重くなったのは報告が遅れたからだ!」とまるで見せしめのように処分を下したり、他の従業員には「自分はあの人みたいに吊るし上げられたくないな」と感じてもらいたいと震え上がらせようとする企業もあります。

 

ある社長からこんな質問をいただきました

Q:「伊東さんは、クライアント企業にはどんなバッドニュースの報告体制をお勧めしているんですか?」 

そんな質問をいただいた理由は、最近発生したとある回転ずしチェーンの広告問題と、ある牛丼チェーンの問題発言などをご覧になったからとのこと。

業績好調なチェーンほど一糸乱れぬ組織体制を築き上げられている。しかし、そんな一致団結しているチェーン組織だからこそ「これ大丈夫なの?」といった社内には客観的視点が薄れてしまうから、大問題に発展しやすくなるのではないか?

という疑問を持っていたからだそうです。

 

鋭い質問です。私の返答は

 A:「御社にはこんな報告体制を築きましょう」というお勧めしている方法はありません。なぜなら「報告させよう」とするのではなく「報告したくなる組織づくり」をお勧めしているからです。

社員やスタッフから勝手に報告が上がってくる形になりますので、経営陣は「どうしたら従業員が早く報告、早く解決してくれるのか?」にエネルギーと時間を注ぐ必要がありません。

よってこんな行為は不要です。

 ・「悪いニュースほど早く報告しなさい」と強く、何度も言い続ける

 ・「理解したらサインしなさい」などと自己責任を持たせようと迫る

 ・誰かを見せしめに罰して「こうなりたくなかったら・・・」

 ・社外取締役を増やす

この「報告したくなる組織づくり」のメリットは「今さら報告しても怒られるだけでは?・・・」という我が身可愛さための報告遅延もなくなるところです。

エネルギーを割く必要があるのは最初だけです。

それはまるで人類が今日までに知恵と工夫を重ねてきた消火設備のように。

至る所に設置されているからすぐ使える。一度も消化設備など触ったことが無い方でも簡単に扱える。消化効果に優れた素材があらかじめ充填されている。そんな事前準備型のマネジメントです。企業経営者にはこんな事前準備型のマネジメントを確立してもらいたいものです。

 

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