運転手の仕事の本質
私は普段、移動の際は基本的に電車・バス等の公共交通機関やタクシーを利用します。交通機関が提供するサービスは当たり前ですが「移動すること」です。とはいえ、今の時代「移動すること」だけ提供していても、顧客にとっての価値は下がっていく一方ではないでしょうか。
何が言いたいのか。一言で言えば、運転手の方が価値を棄損している場合が多々あるということです。私は交通機関をよく利用しますので「運転手の方のレベルの違い」を相当感じます。長年の店舗ビジネスで体に染みついた接客応対スキルも影響し、細かい部分が気になるのかもしれません。
特にバス、タクシーについては運転手の力量(運転技術からホスピタリティまで)の差が出ていると感じます。運転技術に関しては、皆さんその道のプロですので、「慎重」とか「荒い」などの性格が影響することはあっても、基礎的な技術は大差ない場合がほとんどです(一部を除いて)。
一方、ホスピタリティ(いわゆる接客応対やおもてなしなど)については、びっくりするくらいの差があります。まさに雲泥の差ともいえる大きなギャップがあるのです。
例えばバス。乗客全員に「ありがとうございます」や気遣いの言葉を使われ、常にお困りの方がいないか配慮をしている運転手もいれば、ずっと無言で、停留所も何を言っているのかわからず、間に合いそうな乗客を乗せず、高齢者への配慮も少ない運転手もいます。
タクシーはもっと如実に差が表れます。最初から無愛想な運転手は結構な数…。乗った瞬間から、なぜか重苦しい雰囲気が流れたり、逆に何でも詮索するように聞かれたり…。
個人的には、タクシーを含む交通機関は単なる移動手段ではなく、接客応対まで含めた対人サービス業だと思っています。ただ目的地に運べばOKではないのです。先述したように、移動するのは目的の一つではありますが、乗客側はそれ以外のサービスの差を必ず感じ取っています。最終的に選ばれるのは感じが良く、ホスピタリティ精神を持った方です(私もタクシーはリピートしています)。
ホスピタリティを特に難しく考える必要はありません。特に接客応対については「スキル」なので誰でも習得可能です。おじさんだから愛想が悪くて当然とか、今さらこっぱずかしくてできないとか言っている場合ではないのです。この点、個人・法人関係なく、研修の場を設け、スキルアップするのは必須(経営者の義務)だと考えています。
今は業界を問わずすぐに評価され、そのすべての情報が公開されます。サービスを提供する運転手側だけではなく乗客側も同様です。ある意味監視社会ではありますが、可視化されることで、お互いにこれまでの甘えが通用しない世の中になりました。
移動手段については、自動運転が当たり前になる世の中になるかもしれません。ただ、人によるサービスすべてがなくなることはないでしょう。プラスアルファのサービスは人間にしかできないと私は思っています。
サービス提供者側も、受ける側も、人としてのホスピタリティ精神を持って、お互いが甘えることのない「良い関係」を築いていきたいものです。
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