未来の価値を考える
「あなたにとって、未来が持つ価値とは?」と聞かれた時、あなたはどう答えますか?これから起こることなどわからない、未来の価値はわからない、という方もいるかもしれませんが、仕事を持つビジネスマンの多くは向こう数年の間にもらうことになる給料について、おおよそのメドを持っていると思います。たとえばその予想額を積算することで、一つの答えを用意することができるのではないでしょうか。
起業家にとっても、それまでつぎ込んできた資源や時間を取り返すだけのリターンを想定することで、ある程度未来の価値を計算することができると思います。俗にフィージビリティスタディと言われる領域の考え方ですが、毎年のキャッシュフローを想定し、その価値を積算するという方法論が確立されています。
ここで厄介なのが、「未来は本当にそうなるのか」という疑問の存在で、結論から言うと「そうなるかもしれないし、そうでないかもしれない」としか申し上げようがありません。仕方ないので、フィージビリティスタディでは「悲観論・楽観論・中立論」などと場合分けをして、3通りくらいの数字を用意するのが常道になっています。
最近では、それでもまだ不十分ということで、未来のシナリオを分けて考える「シナリオ・プランニング」と言う手法が流行っています。具体的な例として、深刻化する地球温暖化について、気温上昇が1.5℃で収まるシナリオ、2℃上昇するシナリオ、4℃上昇してしまうシナリオのそれぞれにおけるビジネス上のリスクと機会を考える、というようなアプローチのことを聞かれた方も少なくないと思います。
温暖化対策についてなら、シナリオの設定をどうすれば良いか、ある程度考え方は絞れているのですが、これが一般の社会、あるいは企業だと、そもそもどんなシナリオを考えれば良いのかと言う入り口の段階で議論が進まなくなることもあるかもしれません。
そこで注目されているのが「フューチャーデザイン」と言う手法です。これは高知工科大学の西條辰義先生が提唱されている手法で、少人数によるワークショップ形式で超長期の未来像を炙り出そうとするものです。「今から〇十年後の世界へ、今の年齢のままタイムトラベルをして、そこで起きていることや、どうしてそうなったのかについて話し合う」という、一見すると「時間旅行ごっこ」と取られてしまうような取り組みなのですが、どうしてこれが各方面で目覚ましい成果を挙げているということに驚かされます。
特に目に見えた成果が出ているのは全国の地方自治体で、住民の参加意識に明確な変化が出たり、具体的な政策についても、長年解決しなかった問題が一気に解決したと言う例も報告されています。
これを企業経営に応用したら何が起こるか?来る7月4日に開催される「大手町ビジネス研究会」では、西條先生にご登壇いただき、フューチャーデザインの活用可能性について参加者との間で議論を行います。まだ間に合うと思いますので、ご関心をお持ちの方はぜひ「大手町ビジネス研究会 C日程第三部会」へお申し込みください!
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